軽量化が求められる北鎌尾根。
この記事では、実際に北鎌尾根に行った時の全装備をご紹介します。
尚、この記事は、
- 「全装備の紹介」
- 「重量」
- 「解説」
の三部構成となっています。
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【解説】槍ヶ岳 北鎌尾根の全装備を紹介「重量と食事内容も紹介」
全装備一覧(※重量も公開!)
まずは北鎌尾根に持っていた全装備を紹介します。
重量も併せて公開します!
ウェア類
《常時着用》
- 靴下+アンダー/100g
(finetrackドライレイヤーインナーソックス) - パンツ/381g
(MAMUT Courmayeur SO Pants Men) - ドライレイヤ/100g
(ミレードライナミックメッシュ) - Tシャツ/106g
(MAMMUT Aenergy FL Half Zip T-Shirt AF ) - 時計/70g
(Gamin Fenix7) - サングラス/30g
《状況により使用》
- ミドルウェア/330g
- レインウェア(MAMMUT CLIMATE Rain-Suit AF)/540g
- ダウン/200g
- +スタッフバック/50g
《予備》
- 靴下(予備)/70g
- 下着(予備)/40g
- +スタッフバック/50g
合計:2,067g
シューズ、ザック類
《常時着用》
- 靴(ライトアルパインブーツ)/630g
- ヘルメット/250g
- ザック(MAMMUTトリオンノードワンド38L)/960g
《状況により使用》
- ストック(共通)/510g
- ザックカバー/140g
合計:2,490g
ロープ・ガチャ類
- ロープ8.3mm30m/1400g
- スリング120cm
+安全環付カラビナ×1セット/90g - ATC(ペツル ルベルソ)
+安全環付カラビナ×1セット/130g - プルージックコード
+安全環付カラビナ×1セット/100g - 捨て縄×1本/60g
- ハーネス(エーデルリッド)/430g
- セルフビレイコード(ペツル コネクトアジャスト)
+安全環付カラビナ/190g - ナイフ(エーデルリット ロープツース)/49g
合計:2,449g
テント・寝具
- シュラフ(イスカ エアドライト290)/560g
- 銀マット(サーマレスト リッジレストソーライト)/260g
- テント・カミナモノポール(+ペグ)/990g
- テントマット(オールウェザーブランケット)/350g
- マイクロファイバータオル/15g
合計:2,175g
水筒・食器類
- ナルゲンボトル(1リットル)1本/180g
+水1リットル/1,000g - プラティパス(2リットル)1本/36g
+水2リットル/2,000g - バーナー(PRIMUSウルトラバーナーP-153)/116g
- クッカー(エバニューMP500 Flat ECA620)/79g
- ガス1個(PRIMUS IP-110)/213g
- ライター/20g
合計:3,644g
食料
- 行動食(フルグラ)/375g
- 行動食(ソイジョイ)/150g(30g×5本)
- 行動食(チョコバー)/74g(37g×2本)
- 行動食(クラッカー)/74g(9枚)
- 行動食(スズカステラ)/85g
- 非常食(スニッカーズ4本)/200g
- フリーズドライ4食/400g(100g×4)
- ラーメン2食/202g
合計:1,560g
その他・備品
- ヘッドライト(ペツル アクティックコア)/88g
+予備電池/30g(3本) - GPS(Garmin MAP64S)電池込/300g
+予備電池/60g(2本) - モバイルバッテリー+充電コード/150g
- ココヘリ/20g
- 地形図/50g
- コンパス/30g
- ホイッスル/5g
- 熊鈴/30g
- トイレットペーパー+ゴミ袋+ジップロック/110g(袋込)
- ゴミ袋(45リットル4枚)40g(4枚)
- マスク(必要な時の為に一応 持参)
- 金(テント場代+バス代+予備)
合計:913g
医療品
- 常備薬/10g
- テーピング/30g
- 絆創膏/10g
合計:50g
撮影機材
- カメラ(RX100M5A)/300g
- カメラ(GarminVIRB ULTRA 30)/154g
合計:454g
総重量は15.8kg!
常時着用のウェアやシューズ、ハーネスにぶら下げているギアを除き、背負っている重量で言えば11.7kgとなります。
各装備解説
ウェア・ザック・シューズ
シャツ&パンツ
ウェアに関しては基本的な夏山登山と同じで、「吸汗性・速乾性・伸縮性」に優れたウェアで、ドライレイヤーも併用して着用しています。
ポイント
ドライレイアーは真夏など大量をお汗をかく季節にもおすすめ。シャツが地肌にへばりつくのを防ぐのは勿論のこと、万が一稜線などで雨に打たれた際にも、汗同様に濡れたシャツが地肌にへばり付かないので、低体温症の軽減に貢献してくれる。
この辺りについては、特に解説は不要だと思うので詳細については省略しますが、詳しくは以下の記事でも紹介しています。
レインウェア
真夏においても、稜線上では風が吹けば寒いので、防風対策としてレインウェアも積極的に着用しました。
ポイント
「稜線+岩稜」という環境下で積極的に使用する場合、スタイリッシュでありながらもツッパリ感のないものがお勧めです。
使用しているレインウェアはこちら
防寒着とミドルウェア
《ミドルウェア》
アプローチの日や日中は半袖シャツだけで過ごせますが、夜間や稜線上ではミドルウェアを着用することが多いです。
真夏はそれほど気温が低くならないので、比較的薄手のモデルが良いですが、秋に近づくにつれて稜線上の気温も徐々に下がっていく為、「半袖+冬季用のミドルウェア」の組み合わせでも丁度良い場合があります。
《ダウン》
尚、真夏でも夜はそれなりに冷えることと、緊急時のビバークも想定して、防寒着の携帯は必須。
実際に7月中旬の北鎌尾根の稜線上で幕営した際は、夜はそれなりに冷え込んだのでテントの中でダウンを着用しました。
真夏は薄手のダウンでOKですが、初夏や秋口は比較的しっかりとしたダウンが必要になるでしょう。
シューズと靴下
《登山靴》
北鎌尾根は、「岩稜+テント泊+長時間歩行」ということで、登山靴はソールのしっかりとしたライトアルパインブーツを選択。
使用している靴はスポルティバの「エクイリビウム ST GTX」
靴に関しては足型にもよるのですが、抜群の安定性と岩場での安心感がありました。最高に満足しています。
《靴下》
靴下は特に解説不要だと思いますが、テント泊なので予備の靴下も常備。
尚、私は非常に汗かきななので、靴下用のドライソックス(finetrackドライレイヤーインナーソックス)を併用しています。
ストック
特に必須装備ではありませんが、初日のアプローチで足の疲労を少しでも軽減する為に、
- 上高地〜水俣乗越〜北鎌のコル
- 槍ヶ岳山荘〜新穂高
の区間でのみ使用しました。
ストックに関しては、重量などは特に気にせず一番安い物を購入して使っています。(※超軽量のものは高すぎて買えません。)
時計
時計はGamin Fenix7を使用。
時刻や登降スピードの表示は勿論、ディスプレイで現在地をMapで確認できるので便利です。
時計に関してはこちらの記事で紹介しています。
サングラス
3,000mの高所は紫外線も強いので、目の保護は必須。
ザック
ザックはMAMMUTの「トリオンノードワンド38L」を使用しています。
このザックは960gと非常に軽量なアルパインザックで、ハーネスとの干渉も少なく、アルパインルートに挑む方にはお勧めです。
トリオンノードワンドの詳しいレビューはこちらの記事で紹介しています。
尚、ザックカバーは風が吹くと内側に空気を含んで煽られる可能性があるので、稜線上では基本的に使用しません。強い雨が降った時は使用しますが、その場合も十分な注意が必要です。
ヘルメット
解説不要ですね。必須です。
忘れた場合は、諦めて帰りましょう。
尚、10時間以上被りっぱなしとなることもあるので、
出来る限り「軽量性・通気性」に優れたモデルを選ぶ事をお勧めします。
ロープ・ハーネス・カラビナ・スリング
《ロープ》
ロープは8mmの30メートルロープを持参し、懸垂下降でのみ使用しました。
尚、残置のある所はほぼ懸垂下降でおりましたが、全区間30mで足りました。
メモ
ロープがないと下りられない場所というのは基本的になく、懸垂用の残置があるところでも、冷静に降りればクライムダウンが可能な場所がほとんどです。
しかし、今回は疲労感など総合的な判断で「懸垂下降」を積極的に活用しました。
実際の使用の有無は現場での判断とし、ロープの持参は必須だと思います。
《ハーネス》
今回は一般的な一般的なクライミング用を持っていきましたが、積極的なクライミングではなく、緊急時の使用のみとなるので、軽量ハーネスも視野に入れると良いかもしれません。
《その他・ガチャ類》
- スリング120cm+安全環付カラビナ×1セット
- ATC(ペツル ルベルソ)+安全環付カラビナ×1セット
- プルージックコード+安全環付カラビナ×1セット
- 捨て縄×1本
- セルフビレイコード(ペツル コネクトアジャスト)+安全環付カラビナ
- ナイフ(エーデルリット ロープツース)
最低限の内容のみとしました。
テント・水筒・水・食料
テント
テントはFineTrackの「カミナモノポール2」を使用しました。
軽量化が重要となる本ルートにおいて、
装備の軽量化を考える場合、幕営装備は全装備の中でも最も重い装備であると同時に、軽量化の幅が最も大きな装備でもあります。
「テント?ツェルト?」
ツェルトの軽量性はスバ抜けていますが、私は妻との2人パーティーの為、テント一択となります。
とはいえ、通常のテントは重量的にもそれなりに重さとなる為、超軽量テントであるテントはFineTrackの「カミナモノポール2」を選択しました。
テントの詳しいレビューはこちらの記事で紹介しています。
メモ
尚、今回「北鎌沢出合」と「稜線」の両方で幕営しましたが、どちらもペグの効きは悪かったです。とはいえ、ペグの持参は必須だと思います。
マイクロファイバータオル
マイクロファイバータオルはテント泊では必須装備です。
今回も、2日目の稜線上での幕営時にテント内に多くの結露が発生したので、それを拭き取る為に使用しました。
シュラフとマット類
《シュラフ》
シュラフはイスカの「エアドライト290」を使用しました。
撥水ダウンが使用されている為、シュラフカバー無しで使用する事が可能です。
2日目の夜はテント内に結構な量の結露が発生し、テントが風に靡いた際に、大量の水滴がシュラフの上に飛び散りましたが、全く問題ありませんでした。
関連リンク
Amazonはこちら:https://amzn.to/3Sj3XA6
※エアドライトには、サイズ展開として、「レギュラー」と「ショート」があり、公式サイトでは「身長170cm未満はショートの使用をお勧めします。」との記載がありますが、男性で身長が168cm程ある場合はショートでは少し窮屈な印象がありました。男性で160cm後半の場合は、レギュラーでも良いかもしれません。
《スリーピングマット》
スリーピングマットはサーマレストの「リッジレストソーライト」を使用しています。
軽量で頑丈なので使用から7年が経過していますが、まだまだ現役です。
尚、マットはザックの中に筒状にして収納しています。北鎌尾根などの岩稜コースでマットの外付けは引っ掛けのリスクもあるので注意が必要です。
《テントマット》
テントマットは、今は廃盤となっている「オールウェザーブランケット」を使用しています。
テントマットは省略可能ではありますが、私は快適性とテント生地の保護の為に使用しています。
水筒、クッカー、水
《水筒と水》
- ナルゲンボトル(1リットル)1本
- プラティパス(2リットル)1パック
- 浄水器(ソーヤーミニ)
1日目は、上高地〜槍沢〜北鎌沢出合の要所でまでだけの為、常に1リットルだけザックに入れておくようにしました。
2日目は、稜線上に水を1人3リットル(2人で6リットル)担ぎ上げました。
途中で幕営することを考えると、正直少ないです。もう少しあった方が安心です。
今回は天気予報から、雲が多い事く気温もそこまで上がらないという事で、最小限の量としましたが、真夏日の場合などは一人5リットルは必要となるでしょう。
また、一応浄水器も携帯しています。
実際に使用している水筒はこちら
《クッカー》
クッカーは、エバニューの「MP500 Flat ECA620」を今回新たに導入しました。
なんと79gという超軽量!
それでいて、注ぎ口ありという優れもの。
容量も550mlと2人分のフリーズドライのお湯が沸かせるので、実用面でも文句なしです。
これから冬以外はこれ一択ですね。
《バーナー》
バーナーは有名なPRIMUSの「ウルトラバーナーP-153」を使用しています。
更に軽量なモデルもありますが、まぁ、今はこれで十分です。
因みに、夏といえど標高の高い稜線ではバーナーの点火装置は作用しない事が多いので、フリント式のライターは必須です。
実際に使用している装備はこちら
《ガス》
ガスはPRIMUSの「IP-110(小さい奴)」を使用しました。
夏はお湯を沸かすだけなので、小のガス管で十分賄えます。
2泊3日で2人分のお湯を2リットル分くらい沸かしましたが、まだまだガスが残っています。
実際に使用している装備はこちら
▼食料
今回の食事も全て軽量性を最優先に考えてドライ系一択で、フリーズドライとインスタントラーメンのみ。
行動食は、フルグラ、ソイジョイ、チョコバー、クラッカー、カステラとし、
栄養補助食品としてアミノバイタル(顆粒)も持参しました。
▼献立
1日目
朝食:車
日中:行動食
夕食:フリーズドライ1食+ラーメン半食
2日目
朝食:フリーズドライ1食+ラーメン半食
日中:行動食
夕食:フリーズドライ1食+ラーメン半食
3日目
朝食:フリーズドライ1食+ラーメン半食
日中:行動食
夕食:フリーズドライ1食+ラーメン半食
※非常食(スニッカーズ4本)
食事や行動食に関して、詳しくはこちらの記事で紹介しています。
その他、備品
▼ヘッドライト
ヘッドライトはペツルのアクティックコアを使用しています。
軽量でありながら、必要十分な光量を備えており、これを買っておけば失敗はないでしょう。
予備電池には、充電電池を使用しています。購入時の単価は高いですが、繰り返し使えることと、大容量であること、そして何よりも寒冷地に強いので、冬季の低温による電力の過剰な消費を最小限に抑えてくれます。
充電電池の実用性についてはこちらの記事で紹介しています。
▼GPS(Garmin MAP64S)
GPSはGarminのMap64sを使用。
電池は、上記と同じく充電電池のエネループプロ「ハイエンドモデル」を使用しています。
GPSに関してはこちらの記事で紹介しています。
▼モバイルバッテリー
山の中で外界との連絡手段であるスマートフォンを充電する為のモバイルバッテリー。
大容量であれば、最新のスマートフォンの完全充電を複数回行えるので、安心感が強いですが、その分重量は非常に重たくなります。
最近のiPhoneは充電に必要な電気量も多くなってきてはいますが、そもそも登山の最中はスマホを触る事が殆どなく、1日の終わりでも90%以上というのが殆だと思うので、モバイルバッテリーも必要最低限の容量でも問題ありません。
この辺りは個人のリスク管理の範囲になってきますが、
個人的には、これまでの経験からモバイルバッテリーの容量は6300mAhもあれば十分に足りると思います。
▼ココヘリ
完璧な遭難対策というのは存在しないので、重ねがけが大事ですね。
ココヘリは捜索サービスだけに留まらず、装備の損害補償や、遭難対策保険など、様々なサービスが含まれているので、もはや入らなない理由がないくらいです。
ココヘリについはこちらの記事で紹介しています。
▼医療品
《常備薬》
山行日数+2日ほどを持参しています。
《鎮痛剤》
それ以外にも鎮痛剤として「解熱鎮痛剤」と「消炎鎮痛剤」の2種類を持って行って、痛みによって使い分けています。
《テーピング》
怪我や装備破損時に対応用に若干。
《絆創膏》
靴連れ、軽い擦り傷などの為に数枚常備しています。
▼その他
- 地形図:バリエーションルートにおいて必須
- コンパス:GPSがあれば使う機会は殆どありませんが、必須
- ホイッスル:緊急時、コール、熊避けなど、使う機会は意外と多い。勿論、必須。
- 熊鈴:北アルプスで6回熊に遭遇しています。
- トイレットペーパー:小さなゴミ袋とジップロックをセットで持っておけば、匂いを漏らさずに下界まで持って降りる事ができまよ。
- ゴミ袋:靴入れ、濡れたテント入れなどとして、45Lの厚手のゴミ袋を4枚
- マスク:最近は特に着用義務もなくなってきていますが、一応1人1枚は持参。
- 金:テント場代+バス代+予備として若干。
▼撮影機材
カメラ(RX100M5A)
カメラ(Gamin VIRB)
体力がないので、撮影機材は最小限のもので抑えています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
皆さんの装備選びの参考にして下さいね。
ではまたお会いしましょう。