山の中も春から夏へと向かっており、これからテント泊登山を始めようという方も多いのではないでしょうか?
今回は、テント泊の登山に必要な装備をご紹介し、装備の選び方についても解説していきます。
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【徹底解説】夏山登山 必要装備一覧&選び方「テント泊編」
必要装備の一覧
夏のテント泊登山では、夏山基本装備+以下の装備が必要となります。
テント&就寝具
- 【必須】テント
- 【必須】ペグ
- 【必須】シュラフ(共通)
- 【必須】マット
- 【必須】タオル
- 【任意】テントマット
- 【任意】座布団
食料&食器類
- 【必須】クッカー
- 【必須】バーナー/ストーブ
- 【必須】燃料(ガス・アルコール・ガソリン)
- 【必須】ライター・チャッカマン
- 【必須】フリーズドライ/ラーメンなど
- 【任意】コーヒー
- 【任意】浄水器
装備の選び方「テント&就寝具」
【必須】テント
登山靴の選び方に関しては、こちらの記事で解説していますので、ご覧下さい
メモ
テントの固定に必要なペグですが、これまでの経験からペグを使う機会は意外と少なく、周辺に落ちている石などで固定する方が圧倒的に多いですし、上手く固定すれば、ペグよりも石の方が固定強度は高いです。
とはいえ、ペグは必ず持参しています。
【必須】シュラフ
シュラフを選ぶ際の主なポイントとして、
- 【1】ダウンか化繊か
- 【2】防水性の有無
- 【3】対応温度
の3つがあります。
ダウンか化繊か
ダウンと化繊の違については説明が不要とは思いますが、
- ダウン:濡れに弱いが軽くて嵩張らない。価格は化繊よりも高い。
- 化繊:濡れに強いが重くて嵩張る。価格はダウンよりも安い。
特殊なケースでなければ、登山用の場合、通常はダウンを選びます。
防水性の有無
ダウンを使ったシュラフの欠点として濡れ弱いという性質があります。
シュラフの濡れ対策として主な方法は、以下の通りです。
- 【1】ダウンに撥水性が施されているモデル
- 【2】シュラフの生地に防水性があるもの
- 【3】シュラフカバーを併用する
個人的には【1】【2】がお勧め。
【1】ダウン自体に撥水性が施されていれば、シュラフの生地自体には防水性が無くても、テント泊で想定される結露程度であれば問題ありません。(※オープンビバークなどの特殊な環境下では、シュラフ生地が防水加工されているか、シュラフカバーの併用が必要です。
【2】シュラフの生地に防水加工されているモデルは「内側の湿気が逃げずに結果的に蒸れる」という意見を見かける事がありますが、そんな事はありません。私はNANGAのオーラシリーズを実際のテント泊で100泊以上してきましたが、内側からの蒸れを感じた事はありません。
対応温度について
シュラフの対応温度の選び方で、使用する環境で想定される最も低い温度に対応できるモデルを選ぶというものがあります。
ここで気をつけたいのが、基本的にシュラフに記載されている対応温度は「アンダーウェアなどの肌着のみを着用した状態での指数」となっているという事です。しかし、実際の登山での就寝時は防寒着など全ての衣類を着用した上で寝袋に入ります。
つまり、シュラフの選定時は、防寒着の暖かさを加味した上で、適切な保温力のシュラフを選ぶ事が無駄のない選択となります。
個人的には、対応温度2度くらいのシュラフが春夏秋の低山、真夏の高山に対応できるちょうど良いサイズはないかと思います。対応温度2度のシュラフの場合、秋の高山になってくると個人の耐寒性や持参する防寒着の性能で対応可否は変わってくるので注意が必要です。
いずれにしてもシュラフは冬用と夏用で2種類使い分けるので、夏はある程度薄手で済ませておき、秋口は防寒着で調節するか、冬用で対応するというのが良いと思います。
【必須】マット
テントでの就寝時に必須になるのがマットです。所謂スリーピングマットです。
軽量化の為にマットを持たずに山に行った事がありますが、硬いわ、寒いわでろくに眠れませんでした。
必ず、マットは持っていくようにしましょう。
さてさて選び方ですが、
- ブランド
- 種類
- 対応温度
の3つを考慮して選ぶことになります。
ブランド
登山用のマットの有名ブランドとしては、
- Therm-a-Rest(サーマレスト)
- EXPED(エクスペド)
- SEATOSUMMIT(シートゥサミット)
- NEMO(ニーモ)
などがあり、一応、モンベルやイスカなどの日本ブランドからもマットが出ています。
種類
マットの種類が大きく分けると以下の2種類に分類されます。
▼クローズドセルマット
所謂「銀マット」と呼ばれる物で、物理的なマットの為、穴開きの心配なくガシガシ使う事が出来ます。
《長所》
- 5,000円くらいでコスパ最強
- マットの中では最軽量です。
- 耐久性抜群パンクの心配一切不要。砂利の上に直接おいても、暑いクッカーを一時的においても、パンクの心配はありません。
《短所》
- 嵩張るので、ザックが小さい場合、外付けが前提となる。
- R値(R値)がエアーマットに比べて低い
▼エアーマット
空気を注入して、厚みをもたせるタイプでR値や形状など種類が豊富ことが特徴です。
《長所》
- コンパクトに収納できる
- R値が高いものが多く、温かい
《短所》
- 意外と重量がある。
- 穴空きのリスクがあり、穴が空いた場合に備えて緊急修理キットの携帯が必須で、持っていない場合や、対応出来ないレベルの穴開きの場合、ペラペラの布1枚と化します。
対応温度
マットの暖かさを数値として表しているのが、R値というものです。
この数字が大きければ大きいほど、地面からの冷気を遮断し、暖かさを保つ事ができます。
▼クローズドセルマット
クローズドセルマットの代表格であるサーマレスト社のリッジレストクラシック(ロール式)はR値2.0で、Zライトソル(折りたたみ式)はR値1.7となっています。クローズドセルマットはこの2択しかありません。
▼エアーマット
それに比べてエアーマットはR値2.3からR値7.0というハイスペックモデルまで豊富な設定がされています。
R値が高いと温かいのは事実ですが、それに比例して嵩と重量はまして行くので、注意が必要です。
これらの情報を踏まえて、自分がどのマットを用意すべきかですが、
夏のテント泊であれば、R値1.7~2.0のクローズドセルマットで問題ありません。秋の高山になってくると人によっては寒さを感じる人もいるので、必要に応じてR値の高いエアーマットも考慮した方が良いかもしれません。
ココがポイント
因みにですが、若い人や、寒さに強い人、経験者などはR値1.7~2.0のクローズドセルマットでも、厳冬期の北アルプスでも問題なく眠る事が出来ていますので、冬期だからといって必ずしもR値の高いエアーマットを選ばないといけないという事でもありません。
最初の1個目は安価で丈夫なクローズドセルマットでテント泊をスタートさせて、必要に応じてR値が中級程度のエアーマットを追加で購入するという方法をお勧めします。
尚、晩秋や冬期など寒さが厳しさを増してくる季節の場合、エアーマットのみでの使用はお勧めしません。上述の通り、エアーマットは常に穴開きのリスクがあり、万が一破損した場合、断熱効果は一切無いと思った方が良いでしょう。
その為、雪山などの厳しい環境下ではリスクの分散の意味でも、クローズドセルマットとエアーマットの併用をお勧めします。
【必須】タオル
テント内の結露を拭いたり拭いたり、零した水を拭いたり、雨の日の濡れた衣類を拭いたりと、タオルの出番は結構多いです。
タオルは綿のものではなく、吸水性の高いマイクロファイバータオルを使いましょう。
車の洗車時の拭き上げ用の安価な物でOKです。
【任意】テントマット
ここで言うテントマットは、シュラフの下に敷くスリーピングマットとは別に、テントの中の床全体に敷くマットのことを指します。
このテントマットは必須ではありませんが、
- テント全体の断熱性のアップ
- テントの生地の保護
などの理由から、個人的には使用した方が良いと思っています。
私は、オールウェザーブランケットを使用していますが、今では廃盤となっており、ネット通販ではとんでもない価格が付いていますが、一応参考としてリンクを貼っておきます。
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一応、似たような商品は売っていますが、重量的には少し増えてしまいます。
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【任意】座布団
こちらも必須ではありませんが、熱々のクッカーを置いたりと、色々と使い所があるので、持参しています。
軽量化に拘った山行の時は持っていきませんが、場面によって使い分けています。
装備の選び方「食料&食器類」
【必須】クッカー
クッカーは色々なメーカーから出ていますが、
とりあえず最初の1個目は以下の基準を目安に選ぶと良いでしょう。
- ガスとバーナーが一緒に収納できる形状
- 容量は1リットル前後
- 持ち手にゴム付き
- 底に滑り止めが付いているタイプなど
メーカーは、PRIMUS、DUG、ヘリテイジ、メスティンなどの有名ブランドから色々と出ていますので、ある程度は好みで選んでいても問題はありません。
迷ったらこれ
どれを買ったら良いか迷った際は、岩谷PRIMUSの「イージークックNS・ソロセットM」を選んでおけば失敗がありません。
日本製品だけあって造りもしっかりしており、容量も900mlと最初の一つ目としては丁度良いサイズ感となっています。
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テント泊に慣れてきて、軽量化を意識し始めた時には、容量500mlで重量が78gといいう軽量モデルを買い足す等もありです。
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【必須】バーナー/ストーブ(+ライター・チャッカマン)
火を起こす為には、「バーナー/ストーブ」が必要です。
選び方は幾つかありますが、まず大前提として、燃料(ガス缶)と同じメーカーの物を使いましょう。
ネットではガスとバーナー違うブランドであっても問題ないという意見もチラホラと見かけますが、原因は様々ですがガス漏れによる引火などの話もよく聞きます。必ず同じメーカーで揃えるようにしましょう。
一体型か独立型か
▼一体型
ガスの抽出口と点火箇所が一体になっているタイプです。
- メリット
・火力が高い
・軽量
・点火装置が付いている - デメリット
・安定性が低い
▼独立型
ガスの抽出口と点火箇所が分かれているタイプです。
- メリット
・安定性が高い - デメリット
・点火装置が付いていない事が多い。
・一体型に比べて少し重い
私は湯沸かしのみ場合は一体型、本格的な調理をする場合や、雪山などで長時間ガスを使用する場合は安定性を重視して独立型を使用しています。
最大出力
「3600kcal/hで圧倒的なパワー」とか「3.6kW/3000kcal/hで高出力」とかの表記を見たことがあると思います。
細かい説明を省略すると数値が大きいほど火力が大きく、火力が大きければ、その分早くお湯が沸くので、「じゃあ、数値が大きいやつを買おう!」となると思いますが、
登山のバーナー(ストーブ)において、この出力値はそれほど重要ではありません。
なぜかと言うと、メーカー記載の出力値は火力を最大にした時の数値だからです。
登山で使うようなクッカーのサイズは小さな物が多く、火力を少し大きくするだけで、炎はクッカーの外からはみ出てしまい、はみ出た炎は湯沸かしにおいて意味はなく、燃料の無駄遣いとなります。また、無駄に炎が側面にはみ出すとクッカーの持ち手の部分が焦げてしまい、使い物にならなくなります。
このような理由から、バーナーの炎を全開にする事はないので、最大出力にはそこまで拘る必要はありません。
目安としては、最初の1個目で、湯沸かし用とちょっとした料理も楽しみたいななら、独立型の「3000kcal/h」あれば十分。
UL系で攻めたり、3シーズンの湯沸かし専門というなら一体型の「2500kcal/h」でも十分対応可能。
また「ガス消費量245g/h」などという表記も目にしますが、これは一定の温度の下で計測された教科書的な参考値なので、あまり当てには出来ません。
山の中の気温や風の有無などの諸条件でガスの消費量は大きく変動します。
自分自身の経験からガスの消費量を判断できるようになるまでは、十分に余裕を持ったガスの持参をお勧めします。
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【必須】燃料(ガス・アルコール・ガソリン)
登山で使う燃料としては、ガス・ガソリン・アルコール・固形燃料などがあります。
やはり初めての場合は最初はガスがお勧めです。
それぞれにメリット、デメリットがありますが、重量面や火力、火加減の調整、扱いやすさなどの総合的なバランスで考えると、ガス缶に群杯が上がります。
但し、ガスの忘れてはいけない注意点としては、気温が下がると出力が低下するということです。
その為、気温に応じたガスを使用しなければいけません。
例えばPIRMUSからは3種類のガスが販売されています。
- ノーマル:夏の低山用(ブタンガス100% )
- パワー:夏の高山用(プロパンガス約25%、ブタンガス約75%、)
- ウルトラ:雪山用(プロパンガス30%、イソブタンガス70%混合)
私は、もっぱら夏は低山も高山もパワーガス、雪山はウルトラガスの2択のみです。
ノーマルガスは気温が少しでも低くなると途端に火力が低下するので、使っていません。
【必須】食料「フリーズドライ/ラーメンなど」
山で食べるご飯は美味しいですね。
山飯、男飯、インスタ映え、山でステーキ!などなど、夢が膨らむ言葉がたくさんありますね。
個人的には最初のテント泊はやっぱり、お湯を注いだら完成のフリーズドライがお勧め。
インスタントラーメンもいいですね。
ちょっとくらい水が多かったり、少なかったり、細かいことは抜きにして美味しい。
食事に関してはこちらの記事でも詳しく解説しています。
【登山歴6年】僕の行動食はコレ「夏山~冬山/日帰り~テント泊」
【任意】浄水器
テント泊ではクッカーと燃料があり、沢の水を煮沸させる事が出来るので、浄水器は必須ではありません。
しかし、真夏などの暑い時に、沸騰したあっつ熱の熱湯を飲む気にはならないですよね?
そんな時に浄水器があれば、冷たい沢の水を安心してそのまま飲む事が出来ます。
また、浄水器で濾過をすることで、お湯を沸かす目的を食事のみに絞る事が出来るで、燃料消費を最小限に抑える事でき、軽量化に繋げる事が出来ます。
【任意】プラティパス(水汲み用タンク)
テント泊では、飲料用以外にも食事用として、たくさんの水を使用します。
持参した水筒で水場に汲みに行けばいいのですが、何度も何度も水場に足を運ぶの面倒なので、プラティパスの2ℓタンクなどを持参すると便利です。
【任意】コーヒー
これは好みの問題すが、山で飲むコーヒって美味しいですね。
Q&A
ランタンって必要?
結論:最初はヘッドライトで十分
ヘッドライトの光のテントの内側に向けて照らすと、光が反射して間接照明的な明るさで、ランタンと同じような機能を果たしてくれます。
尚、ヘッドライトの電池の種類にもよりますが、電池を1セット余分目に持っていく方が、ランタンを別で持って行くよりも軽いです。
という感じでヘッドライトで十分に代用できるので、自分自身が欲しいと感じてからの購入で十分です。
枕って必要?
結論:スタッフバックで代用可能。
スタッフバックにレインウェアなどの就寝時に着ない衣類を入れれば簡易の枕の完成です。
着替えって必要?
結論:要らない。
山に着替えを持ってくる人って結構いるのですが、着替えって要りますでしょうか。
真夏は猛烈な汗を描きますが、吸汗発汗性に優れてウェアを着ていれば、テントを設営して一息つく頃には乾きますし、要らないなぁ〜って思います。
これは個人の好みですが、初心者こそ、無駄な荷物は少ない方が良いので、別に要らないと思います。
まとめ
いかかがでしたでしょうか。
皆さんの装備選びの参考にして下さい。
では、またお会いしましょう。