登山は素晴らしい趣味ですが、それに伴う「弊害(デメリット)」もあると思っています。
私自身はデメリットだとは思っていませんが、これから始めようと思っている人に向けて、登山のデメリットを6個ご紹介します。
目次
登山のデメリット6個「これが嫌なら山には登らない方がいい!」
デメリット1:お金がかかる
これは実際に登山を始めて一番驚いたことでした。
夏山のハイキング程度なら、さほど大きな出費にはなりませんが、本格的な登山を始めていくと活動の幅も広がっていき、「気がつけば100万円以上山に費やしていた!」なんて事も珍しくありません。
装備代金
- 夏山登山(日帰り):総額10万円〜
- 夏山登山(テント):総額20万円〜
- 雪山登山(日帰り):総額25万円〜
- 雪山登山(テント):総額45万円〜
※近年は物価上昇でもっと必要だと思います。
クライミングや沢登りなども行う場合、出費は鰻登りとなっていくので注意が必要です。
また登山は厳しい自然環境の中で行うので装備が摩耗・劣化していき、数年単位での買い替えが必要となることにも留意しておかなければいけません。
【有名ブランドは魅惑的...】
これは人によりけりですが、マムートなどの海外ブランドに魅了されてしまうと、これがまた厄介です。超カッコいいですが超高いです。「mont-bellじゃ満足できない、MAMMUTじゃなきゃ嫌!」とか言い始めたら重症です。
交通費
「普段どこの山に登るのか」「車か公共交通機関なのか」「複数人で行くのか」など条件によって異なってくるので、一概にいくらというのは算出が難しいですが、積み重なると結構な金額になります。
最初は自宅近郊の低山で満足していても、いずれはアルプスなどの高山に登りたくなってくるのが登山の困った所です。
また、場所によってはロープウェイに乗る必要があるなど、別途乗り物の料金がかかる場合もあります。
▼目安大阪から北アルプス南部の西穂高岳に登る場合
- 高速道路代:片道3,760円
- ガソリン代:片道4,500円
- ロープウェイ代:3,900円
往復合計:20,420円
※高速道路は、「ETC割引・深夜割引・軽自動車割引」を適用した金額となります。
※ガソリン代は、平均燃費「13kmg/1ℓ」、ガソリン単価「165円/1ℓ」で算出しています。
※ロープウェイ代は荷物券600円を含みます。
...ちょっとした旅行くらいの金額ですね
宿泊費
宿泊費用は小屋泊なのかテント泊なのかにより大きく異なってきます。
小屋泊は1泊1万円以上となっており、最近は値上げ傾向にあります。
テント泊は1泊1人2,000円〜となり、小屋泊に比べると価格は安いですが、最初にテント泊装備を揃える段階で15万円ほど必要になります。
食事代
山の中での食事代金は、全て自身で担ぎ上げるのか、それとも小屋の食事を利用するのかにより大きな差が生まれます。
小屋の売店で売られている「牛丼」「カレー」などは800円以上の事が多く、「カップ麺」なども下界に比べると割高となります。
また行動食に何を持っていくのかにもよりますが、フリーズドライやそれを作る為のガスなどの燃料、またアミノバイタルなどを飲む場合も地味に料金がかかるポイントとなります。
下界で生活費が浮くとはいえ、結局はトントンか場合によっては下界での食費よりも高くなる場合があります。
一般的な趣味としては非常に高額になりやすい部類ではないかと思います。
毎月決めた金額内に留めるようにしないと、山貧乏になってしまいますよ。
デメリット2:人混みが苦手 & 観光地に感動できない
これはちょっと語弊がある言葉を使いましたが、登山をやればやるほど起こりうる問題です。
▼症状1:人が多い所に疲れやすくなる
普段、大自然と対峙していると、人の多い場所が苦手になっていき、ひどい時は「人酔い」を起こしてしまいます。
- 休日のショッピングモールが苦手
- 駅の雑踏が苦手
- ロープウェイでアクセスできる山は人が多くて苦手
どれかは、経験がある人も多いと思います。
一般的な街の中の観光名所も人が多くて疲れるので、段々と敬遠するようになってきます。
▼症状2:旅行もアウトドア思考になる
旅行に行く際も、街中の観光地よりも郊外のドライブコースを選んだり、アウトドア寄りの観光を選択するようになります。
家族や恋人と旅行に行く際は、意見の衝突も起こりうるので十分な注意が必要です。
▼症状3:旅行において秘境的な要素を求めるようになる
「普通の郊外の観光名所じゃ満足できない!もっと秘境的な所に行きたい」と言い出す。
もうこうなったら後戻りは出来ません。家族がいる場合は、呆れられないように気を付けましょう。
これは決して観光地を否定している訳ではなく、「感じ方」に変化が起こってしまうのです。
デメリット3:家族に心配をかける
「登山=危険」というイメージがありますよね。
確かに「山」という大自然の中に身を置くというのは、ある程度は危険な要素があるというのは事実です。
しかし、真剣に登山をやっている人であれば「リスク管理」を物凄く重視していて、安全対策に万全を期しているので、一般の人が思っているほど危険性は高くはありません。
登山が趣味の私からすれば、「サイクリング・ツーリング・サーフィンとかも危険だなぁ〜」と思っていますが、これも実際にやっている人からしたら、安全対策を施していて周りが思うほど危険ではないのでしょう。
そうは言えっても、「家族が心配して帰りを待っている」という事実は変わりません。
「社会やマスコミがどう思っているか」なんかは正直な所どうでもいいですが、家族に心配をかけてはいけないので、できる限りの対策をするのと同時に、山に登っている際も定期的に連絡を入れたりするなど配慮は必要だと思います。
デメリット4:山を基準にした生活になる
これは「登山あるある」ですが、日常の全てが登山を中心とした生活になっていきます。
- 週末の天気予報を小まめにチェックする(登山の為)
- 週末に予定を入れたくない(登山の為)
- 日常的にトレーニングに励む(登山の為)
社会生活も大切なので、登山に人生を全振りしている訳ではありませんが、生活の大部分で登山を中心に送っています。
独り身ではない人は、家族から愛想を尽かされないように気をつけましょう。
デメリット5:ガングロマンになる
登山は日焼けします。
山の上などの標高の高い場所は紫外線の量が多いので、下界での通常のスポーツに比べて日焼けが起こりやすくなります。
- 夏の山は暑いので発汗量も半端ではなく、日焼け止めを定期的に塗り直さないと日焼けしてしまいます。
- 冬の山は雪焼けがあるので、夏以上に日焼け対策を行わないと、顔面が真っ黒になります。
▼社会生活も大切です
以前、友人の結婚式の直前に雪山に行き、日焼け対策を忘れてしまい、顔は悲惨な状態に....
当日参列者から「お前、クロッ!!」と突っ込まれました(反省)
▼火傷も起こります
北アルプスの夏山で、「日焼け止め忘れた」&「タンクトップ」で登ったところ、下山直後から両腕は火傷のよう炎症が起こっていました。その日の夜は強烈な痛みで寝返りを打つ事すらままならず、翌朝は着替えで袖に腕を通す時は歯を食いしばりました。病院で薬を貰いましたが、治るのに1週間くらい掛かりました。
結論:山の日焼けを舐めてはいけません。
そして、夏山から冬山まで一年中山に登っている場合、たとえ日焼け対策を万全に行っていても、日焼けからは完全には逃れられず、ある程度は顔が黒くなってしまうのは覚悟しておかなければいけません。
デメリット6:死の危険がある
既に述べた「家族に心配を掛ける」の項目では、「周りが心配するほど危険ではない」と述べましたが、
やはり「命の危険がある」という事実は否定しきれません。
登山に限らず、ダイビングやカヤック、川遊び、釣りなど、自然を相手にするアクティビティは、どうしても命の危険が直ぐ側にある言えます。
それ以外にも、ツーリングも近年の交通事情を考えると危険性はありますし、旅行だってドハマりすると普通の旅行ガイドブックに載っている観光名所では飽き足らず「秘境」や「辺境地域」など、より奥地へと足を踏み入れていく事になるので、何事も入れ込み過ぎると危険な側面が出てくると思います。
とは言え、これらの趣味が必ずしも危ないという訳でもなく、
世間一般で報道されている山の遭難事故もマリンスポーツの水難事故も、基本的な安全対策を徹底していれば防ぐことが出来た事故が多いと思います。
言い方は悪いですが、登山やマリンスポーツの事故数は、
・無知な観光客(外国人含む)
・無謀な高齢者
・管理不行き届きの未成年
などの認識力の低く非常識な人達による事故が、事故数の分母引き上げに起因しているのもあると思います。
とは言いましたが、
...何度も二転三転してすみません。
登山では、どれだけ安全管理を徹底していても、命の危険を完全に消し去ることは出来ません。
登山における安全管理の大原則である
・正しい知識と計画
・必要な装備とその運用能力
・十分な体力と経験値
これらを持ち合わせていれば、いわゆる普通の山登りでの遭難事故のリスクは非常に小さくする事が出来るでしょう。
しかし、
登山のレベルが上がれば上がる程、事故を起こした時に死亡する確率は上がっていきます。
怖いのは、一つのミスが即死亡に繋がるような、一発アウトの事故です。
例えば、
- 岩稜登山での滑落
- 雪山登山での雪崩、稜線からの滑落
- 沢登りでの滑落、水難事故
などです。
例えば、、、
こんなんとか、、、
こんな登山がやりたくなったら、危険信号です。
「いやいや、自分はそんな登山やらないから、大丈夫。」
と思っているかもしれませんが、その考えは甘いです。
私も登山を始めた頃は「雪山登山はやらない」って決めてましたが、登山始めて半年後に冬の伯耆大山でテント泊やってましたし、その2ヶ月後には西穂独標に登って、いつか「冬の西穂に行くぞ!」と目標を掲げていました。
山登りでは、日常では絶対に見ることが出来ない景色が広がっています。
登山は非常に中毒性の高い趣味だと思います。
実際に、私の応援していたプロ登山家や山の専門家、知人なども山で帰らぬ人になってしまっています。
どの人達も非常にレベルの高い登山者で、安全管理を何よりも大事にしていた人達ばかりです。
これらの事は登山のレベルに限らず、真剣に取り組んでいれば誰もが気が付くことですが、これに気がつく頃には、山の沼からは抜け出せない状態になっていることが多いです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「えっ、そんな事があるなら、登山はやめておこうかな...」と心配になる方もいるのではないでしょうか。
大丈夫です、安心して下さい。一度でも山に登って山の素晴らしさを知ってしまうと、不思議と全てが許容出来てしまいます。
それにデメリットを防ぐ方法はちゃんとあります。
【デメリット1】「お金がかかる」
→ちゃんと使う金額を決めればOK
【デメリット2】「人混みが苦手 & 観光地に感動できなくなる」
→単身ならモーマンタイ。家族持ちなら家族サービスを忘れなければOK
【デメリット3】「家族に心配をかける」
→日頃から安全登山を第一に考えよう。
【デメリット4】「山を基準にした生活になる」
→単身ならモーマンタイ。家族持ちなら家族サービスを忘れなければOK
【デメリット5】「ガングロマンになる」
→日焼け止め対策をしっかりとすればある程度は大丈夫
【デメリット6】「死の危険がある」
→潜在的な危険性を十分に理解し、慢心することなく、山に謙虚に取り組むことが大切
山に出会うと人生は大きく変わります。
私自身「山を始めていなければ今はどんな人生を歩んでいたのだろうか」と考える時があります。