私は、日帰り登山では夏山冬山ともにMAMMUTの「Trion Nordwand(トリオンノードワンド)38L」を使用しています。
軽量アルパインザックTrion Nordwandの紹介とレビューをして行きたいと思います。
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軽量アルパインザックMAMMUTトリオンノードワンド38L
ザックの紹介
まず、MAMMUTの「Trion Nordwand(トリオンノードワンド)38L」がどんなザックかを説明すると、、、
Trion Nordwandの特徴
- MAMMUTのEiger Extremeシリーズの一つで、商品開発にはトップアスリートの経験やノウハウが生かされている。
- 38Lで960gと軽量ながら、背負い心地が抜群
- 伸縮性のあるチェストストラップで安定性と快適性の向上
- ピッケルキャリング2つ搭載されており、利便性が高い。
- 雨蓋やウエストベルト(パット)は取り外し可能で自身のスタイルに合わせる事も可能。
詳しくはMAMMUT公式サイトをご確認下さい。
超ざっくりとまとめると、
「トップアスリートの経験が生かされた素晴らしいアルパインザック」ということのようです。
建前はこのくらいにしておいて、早速、細部を見ていきましょう。
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サイズ
サイズは、
(38 L)幅約27.5cm,高さ約63.0cm,マチ約18.8cm,背面長約46.0cm,重量960g
(28 L)幅約27.0cm,高さ約47.0cm,マチ約16.5cm,背面長約46.0cm,重量810cmg
となっており、実際に計測してみましたが、概ね公式の数値と同じと言えます。
背面パット
背面パットは薄めで立体感はありません。
メッシュも最小限となっており、夏の時期などは背中に汗をかきそうですが、これは冬山登山において雪が付着しにくいという事でもあるので、これは評価すべきポイントと言えるでしょう。
それに、真夏はどんな背面パッドであっても、大なり小なり必ず汗はかきますので、アルパインザックという特性を考えると、特に気にする必要は無いかと思われます。
ショルダーハーネス
ショルダーハーネスは薄めとなっており、大容量ザックにあるような分厚いタイプではありません。
但し、ショルダーハーネスの形状及びザック全体の設計が考えられているのか、パットの薄さによる不快感は感じていません。
極端な重量物を入れなければ問題はありません。
左右のショルダーハーネスにはメッシュのポケットが付いています。
これに関しては特になくても良かった機能ですが、折角なので、行動食やコンパスなどを入れています。
因みに、iPhone13などの比較的大きめのスマートフォンの場合は「ケースを外せばギリギリ入る」という程度の大きさですので、スマホの収納には不向きと言えます。
因みに、レディースモデのショルダーハーネスは、女性の身体のラインによりフィットするようにショルダーハーネスが脇に向かうほど先細りとなっています。
この為、レディース用にはメッシュポケットは付いていません。
チェストハーネス
チェストハーネスはゴム紐タイプとなっています。
ゴム紐と効くと"締め付けがきつそう"であったり、"食い込みそう"と心配になるかもしれませんが、どちらかと言うと、胸に均等に圧が掛かっており、通常のベルト式よりも胸への圧迫感は低い印象です。
ココがおすすめ
普通のチェストハーネスだと呼吸が苦しいと感じていた人には、こちらのゴム紐タイプの方が良いと思います。
また、チェストハーネスの位置は簡単に調整することができます。
ウエストベルト
腰ベルト(ウエストベルト)は薄めで、どちらかというとペラペラタイプに入ります。
ただし、このパットは取り外しが可能となっているので、ハーネスとの干渉を嫌う人にはおすすめのポイントとなっています。
また簡易的なギアラックも付いています。
ポイント
ペラペラと聞くとマイナスの意味に聞こえがちですが、ウエストベルトが「分厚い=優秀」という訳ではありません。
縦走用などの大型ザックなどは高重量を扱う為、腰に荷重を移せるように分厚さと形状に工夫がされていますが、
アルパインザックなどは登攀などを行うことが視野に入れられている為、立体的な動きを妨げないように、ウエストベルトの厚みなどは最小限に抑えられています。
目的に合わせた形状であるという事を、ポイントとして押さえておきましょう。
雨蓋
雨蓋の収納ですが、
表面には「500mlのサーモス」「GPS」「地形図」「ヘッドライト」を入れて8割ほど埋まるといった感じでした。
雨蓋の背面はメッシュ構造になっています。
上述の通り、表面に上記の物を入れた状態で、裏面には「ゴーグル」と「常備薬」を入れていました。
雨蓋の収納力としては、「見た目の割にそこそこ入る」といった印象です。
雨蓋の固定は1箇所のみとなっています。
今まで2箇所での固定のタイプしか使ったことがありませんでしたが、1箇所の固定でも揺れることもなくしっかりと固定できています。
尚、この雨蓋は取り外し可能で、雨蓋を外してもロープを固定する為のストラップが装着されているので、汎用性は高くなっています。
本体
ザックの内部は上から見るとこんな感じです。
外から見ているよりも、沢山入ります。
背中側にはハイドレーションを入れるスペースがあります。
私はハイドレーションは使わないので、この場所に小型のマットを入れたりして背中のクッション性を増強しています。
フレームも取り外す事ができるので、不要な場合は取り外したり、形状が合わない場合は取り出して曲げたりすることが出来ます。
因みに、28Lの場合、雨蓋が無い代わりに、ザックの本体内部にチャック付きの小袋が付いています。
収納量に関しては後ほど説明しますが、そこそこ入りながらもデカ過ぎないので、パッキングはやり易い印象です。
ザックの上部はロールトップ式となっているので、雨の侵入を防いでくれます。
(※完全防水生地ではないので内部の雨対策は別で必須)
但し、ロールトップ式は荷物を入れ過ぎると巻くことが出来ないので、収納可能な量を把握することが必要です。
ザックを持ち上げるフックは比較的固めのしっかりとした物が付いており、こちらは握り易い印象です。
ピッケルキャリング
ザックの外部にピッケルキャリングが搭載されており、ピッケルをザックに固定することが出来ます。
これが非常に良く出来ており、刃が外を向かないように設計してあるので、ロープウェイなどの多くの人と接触する場所では非常に助かる機能と言えます。
上部はマジックテープでシャフトを固定できるようになっています。
この様な機能が付いていない場合は、サイドのコンプレッションベルトで固定する事がほとんどですが、これがあるか無いかで脱着のスピードが段違いです。
収納力について
夏山(日帰り)
夏山でのアルパインの日帰りではロープやガチャ類などが全てザックの中に収納する事が出来ます。
登攀中はロープとガチャ類が抜けるので、ザックの空間に空きが出来ますが、それによる背負心地への影響はありません。
夏山(テント泊)
装備の選定すれば、夏山テント泊も可能となります。
実際にこのザックで、槍ヶ岳北鎌尾根に行ってきました。
出来たといっても、テントやクッカーなどは非常に小型の物を選定するなど、軽量化には大分と気を使っています。
ゆったりとしてたテント泊の場合はもう少し大きなザックが必要ですが、装備を厳選した攻めの山行の場合は、38Lで十分に対応可能となります。
詳しい装備の内容はこちらの記事で紹介しています。
雪山(日帰り)
厳冬期の「阿弥陀岳 南陵」に日帰りで行った時に、このザックで行ってきました。
▼持って行った装備一式
雨蓋に収納
- サングラス
- ゴーグル
- 水筒(サーモス750ml)
- ヘッドライト
- 常備薬
- テーピング
本体に収納
- 50mダブルロープ(1本)
- ダウンジャケット
- バラクラバ
- グローブ予備(ミレー・ソロイスト)
- アイゼン
- ショベル(これも入ります)
- プローブ
- 水筒(ナルゲンボトル1L)
- ツェルト
- 非常食
- 行動食
- GPS(+予備電池)
- モバイルバッテリー(+充電コード)
- ヘッドライト予備電池
- 地形図
- トイレットペーパー
ザックの外に収納
- ピッケル(2本)
- ワカン
- コンパス
- ホイッスル
日帰りの雪山装備一式を余裕を持って収納する事が出来ました。
ロープなどを持参しない人であれば、少しスペースが余ってしまうくらいだと思います。
耐久性について
38Lで重量が980gと比較的軽量な部類に入るので、その分ザックの生地も少し薄めといった印象です。
これはこのザックに限った話ではありません。
ザックの軽量化を実現する為には、ある程度は生地を薄くすることは避けられません。
アルパインでの使用に関しても、普通に扱っていれば問題はありませんが、
ザックを擦るような狭いチムニーの通過や、岩の上からザックだけ引き上げるなどの、ザックを積極的に乱雑に扱うシチュエーションでの仕様は避けた方が良いでしょう。
まぁ、そのようなシチュエーションに耐えられるのは、クライミングザックだけになってくると思いますが、、、。
結論:アルパインザックなので、アルパインルートでの通常使用なら問題ありません。
使い心地について
早速結論ですが、
非常に気に入りました。
ダイナミックな動きをしてもザックの干渉による動きの制限も殆どない為、クライミングなどもザックを背負ったまま快適に行えるので、
メーカーが謳っている「背負い心地が抜群」という点にも文句はありません。
ザックの自立に関しても、綺麗にパッキングを行えば問題ありませんし、
雨蓋の収納力も38Lの割には入る方なので、休憩時に毎回雨蓋を空ける手間が省けます。
何よりもピッケルキャリングが優秀で、ブレード(刃)が外に向かずに収納可能で、この点は非常に気に入っています。
勿論、夏山も大活躍です。
2023年7月の槍ヶ岳 北鎌尾根では、ザックに収納している装備重量は11キロほどでしたが、2泊3日の行程を非常に快適に歩ききる事が出来ました。
先述の通り、両手両足をフルに使う岩稜帯のコースでは、アルパインザックの優位性がフルに発揮される事となりました。
- 【山行記録】槍ヶ岳 北鎌尾根/2023年7月15日〜17日「1日目」
- 【山行記録】槍ヶ岳 北鎌尾根/2023年7月15日〜17日「2日目」
- 【山行記録】槍ヶ岳 北鎌尾根/2023年7月15日〜17日「3日目」
補足:38Lと28Lの比較
▼夏山テント泊装備(2泊3日)を入れてみた
前から見るとこんな感じ。(左が38L、右が28L)
38Lは、雑にパッキングしても普通に入りました。
28Lは、丁寧にパッキングしたらギリギリ入りました。
【入れた装備】
夏山テント装備一式(軽量テント、夏用シュラフ、銀マット(サーマレスト)、レインウェア、ダウン、ミドルウェア、小型クッカー&燃料、フリーズドライ6食分、行動食、ナルゲンボトル1L、プラティパス2L、ヘッドライト、モバイルバッテリー等)
横から見るとこんな感じ。(左が38L、右が28L)
38 L:幅27.5cm(±0.5cm),高さ63.0cm(±16cm),マチ18.8cm(±2.3cm)
28 L:幅27.0cm(±0.5cm),高さ47.0cm(±16cm),マチ16.5cm(±2.3cm)
とサイズ的にも結構な差があるので、雨蓋の有無だけの違いではありません。
こうやって見ると、この差が分かりやすいでしょうか。
38Lは銀マットがそこそこ余裕を持って入りますが、28Lに銀マットを入れようとするとパツパツで出し入れに苦労しました。
後ろから見ると、こんな感じ。
他にも色々入れてみて気が付いたがこちら。
夏山日帰り
《38L》
空間が余ってしまうので、中がスカスカになってしまいますが、ザックの背面性能が高いので、容量不一致における不快感等は殆どありません。
《28L》
夏山日帰りであれば、厚手の防寒着を入れても十分に入るので、低山~高山まで十分に対応可能です。
夏山テント泊
《38L》
銀マットをザックの中に入れる場合は、軽量テントを選んだり、小型のクッカーを選ぶなど、パッキングを工夫する必要がありますが、問題なく入ります。エアーマットなどであれば、問題なく入ります。
《28L》
38Lと同じ物が入りますが、パッキングを工夫してギリギリ入るので、それなりの経験を経た上でのサイズダウンとしての選択が好ましいと思います。
冬山日帰り
《38L》
ロープ込みの本格雪山装備が十分入ります。
《28L》
ロープ込みの本格雪山装備もギリギリ入ります。ロープが無い場合は、余裕を持って入ります。
冬山テント泊
《38L》
ハイレベルなパッキング術及び装備の厳選が無ければ不可能。一般人には無理だと思います。
《28L》
不可能
まとめ
MAMMUTのTrion Nordwandを実際に登山で使っていますが、想像以上に使いやすく非常に気に入っています。
流石はマムートといった所です。
アルパインザックをお求めの人には、自身を持っておすすめ出来るザックの一つと言えます。
では、またお会いしましょう。
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