ザックのサイズ(容量)は「どれを選べばよいか」というのは迷うポイントだと思います。
今回は自身の経験からザックの容量の選び方についてお話ししていきたいと思います。
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登山ザックの容量について「どれを選ぶべきか」
まず今回お話しする内容ですが、"日帰り登山は○○Lリットル"と言った数字に関しては参考値としてご紹介し、選ぶ際の基準などを中心にご紹介します。
サイズ・容量の選び方
ザックで選びで最も悩むのがサイズの問題ではないでしょうか?
まずは、個人的に思うザックの容量をまとめてみました。
ザックの容量の目安
- 夏山日帰り(20L)
- 夏山小屋迫(30L)
- 夏山テント泊(45L~50L)
- 冬山日帰り(30~40L)
- 冬山小屋迫(30~40L)
- 冬山テント泊(70L~)
こんな感じで、山行の種類によって荷物の量が異なる為、求められるザックの容量も幅があります。
7年間 登山をやってきた経験から言うと、
「複数のザックを山行によって使い分ける」
というのが理想ではありますが、、、、
最初のうちは難しいと思うので、取り敢えずどれか一つを買うことになると思います。
ということで、
最初の一つにお勧めのサイズがこちら
20L前後のザック

※写真は30Lのモデルとなります。
夏山日帰りは20Lあれば十分対応可能となります。
レインウェアも収納可能で、夏の高山で防寒着が必要となる場合でも、パッキングを工夫すれば十分対応可能となります。
アイゼンやプローブの収納が不要な場合は、雪山でもギリギリ対応可能となります。
40L前後のザック
装備品をコンパクトなモデルで揃えれば、40L前後のザックでも夏山テント泊もギリギリ可能。
ロープやを含む本格的な冬山登山(日帰り)でも40Lあれば十分対応可能。ロープ等を持参しない場合は30Lでも十分です。
この2種類のどちらかを持っていれば、
どの季節でも登山が開始できると思います。
「大は小を兼ねる」は止めた方が良い
補足事項として、ザック選びにおいて「大は小を兼ねる」はダメな理由についてお話しします。
例えば、テント泊もやる予定ということで50Lのザックを買って、
「このザックだけで全部対応しよう!」というのは止めてましょう。
良くない理由は、オーバースペックなザックで山に行くと、ザックに空白部分が出来てしまうからです。
注意ポイント
50Lのザックのみで登山した場合
- 夏山日帰り(20Lで十分)
→30L分余る - 夏山小屋迫(30Lで十分)
→20L分余る - 冬山日帰り(30~40Lで十分)
→10~20L分余る - 冬山小屋迫(30~40Lで十分)
→10~20L分余る
余りが出来ると何が良くないかと言うと、
▼理想像
パッキングの基本は「軽い物は下、重い物は上寄りの背中側」というのが基本となります。
正しくパッキングすると重心が背中寄りになる為、ザックとの一体感が増し安定感が生まれます。
ザックのサイズが適正であればあるほど、理想的なパッキングが可能となります。
▼駄目な例
容量的にオーバースペックなザックの場合、中がスカスカで綺麗にパッキングする事が困難で、例え整えたつもりでも歩行中にいつの間にかザックの中がぐちゃぐちゃになってしまいます。
そして、重心が下に偏るので、バランスにも影響します。
この様に「荷物の量」と「ザックの容量」があまりにも合っていないと、基本に乗っ取ったパッキングが出来ません。
不快なだけではなく、安全面へも影響しますので、「大は小を兼ねる」は止めておきましょう。
サブザックという考え方もあり
テント泊など、大きなザックで登山に出掛けた際、縦走ではなくBC型で、テントから山頂を往復する時など、どうしてもザックの容量と荷物の量が合わず、背負い心地が悪くなる時があります。
そんな時は、サブザックを導入するというのもアリです。
私も実際に「マカルー80L」と「28Lのサブザック」の組み合わせで山に登っています。
詳しくはこちら
大切なのは自分のスタイルを考える事
一般的な○○リットルというのは一つの目安に過ぎません。
ザックに求めるサイズは登山者によって千差万別で、これらはパッキングの上手下手という事だけではなく、「山に何を持って行くのか」などの、それぞれのスタイルが大きく影響してきます。
スタイルは千差万別
【カメラ系】
- 一眼レフ or アクションカメラ
【宿泊系】
- テント or ツェルト
- エアーマット or クローズドセル
- マットは外付け or 収納
- 着替えの有無
- 食料はドライ系 or 調理
【登攀ギア】
- ロープやガチャ類の有無
- ヘルメットは外付け or 収納
例えば「テント泊の為のザックが欲しい!」という場合でも、テント泊が「目的」なのか「手段」なのかによっても、装備品やザックの選び方は変わってきます。
メモ
山旅を楽しむという事であれば、基準よりも大きめのザックを購入しておけばOKですが、
荷物を少しでも軽くして軽量即効型で行きたいのであれば、各装備を購入する時点でザックの容量を考慮し、可能な限りコンパクトな装備を選んで購入する必要があります。
このように
自分がどんなスタイルの登山がしたいのか
ということをしっかりと考えておくと、ザック選びで失敗せずに済みます。
パッキングは大事
一番忘れてはいけないポイントはパッキングは大切だという事です。
パッキングが正しくされていないと...
- 背負い心地が悪くなり、疲労が溜まりやすい
- バランスも悪く、事故を誘発しやすい
- 欲しい物を直ぐに取り出せない
- 装備を紛失しやすい
などなど色々と不具合が起こってしまいます。
このようにパッキングはとても大切で、パッキングの為には適切なサイズ選びが重要となってきます。
そして、それと同時に「そのザックがパッキングしやすいかどうか」を必ず確認するようにしましょう。
「どんなザックがパッキングがし易いか」は登山者によって好みが大きく異なってきます。
ザックの内外の便利な機能が欲しい人もいれば、要らない人もいます。
自分のこれまでの山行を振り返り、実際に使うイメージをしながら選ぶようにしましょう。
その他 予備知識
便利機能は使用する環境によっては邪魔なだけ
背面メッシュ
背面にメッシュが強いものは、夏の時期は汗を感じにくく快適に使用することが出来ますが、メッシュは雪が付着しやすいという側面もあります。
サイドポケット
ザックのサイドポケットは水筒やトレッキングポールの末端を入れたり便利なように見えますが、雪山登山では雪が大量に溜まるポイントとなります。
ペットボトルホルダー
岩稜登山や藪漕ぎでは岩に引っ掛けるリスクが高い。
ウエストベルトのポケット
無くても困らない
そして便利な機能というのは、不思議なもので過酷な環境に行けばいくほど邪魔な機能へと変わっていきます。
結論
雪山登山での使用を視野に入れている場合は、作りがシンプルなものに限ります。
軽量ザックは生地の薄さに注意
軽量ザックというのは無駄な機能を省いていると同時に、生地が薄いものが多いので、注意しなければいけません。
通常使用しているくらいでは問題はありませんが、過酷な環境で使用する場合は、注意が必要です。
こんな時は要注意
- 強烈な藪漕ぎを行ったり、
- 岩稜登山で岩を磨りながら登ったり、
こんな環境では、薄い生地のザックの場合、穴が開くリスクが高まります。
デニールなどの数字は参考値として捉えておく事をお勧めします。
まとめ
色々とお話してきましたが、
ザックの選び方に結論はありません。
それだけにザックのサイズ選びというのは、個人の考えやスキル、目指すスタイルによって千差万別だからです。
その上で私の経験からアドバイスをさせて頂くと、
初めてのザックを購入する場合
20L程度の小さなザックを購入して日帰り登山を楽しみましょう。
20Lのザックでも防寒着、レインウェア、水筒などの最低限の装備を入れることができます。
その上で、自身の登山スタイルを見極めて行き、次のザック選びの際の基準を見つけていきましょう。
テント泊のザックを購入する場合
テント泊のザックの容量に関しては、夏季と冬季で大きく異なってきますが、
夏であれば50L~60Lのザックがあれば余裕を持ってパッキングが出来ますが、装備を選定すれば40Lのザックでもいけなくはないです。
冬であれば60L~70Lのザックがあれば余裕を持ってパッキングが出来ますが、装備を選定すれば50Lのザックでもいけなくはないです。
ザックを複数所持するというのはお金の掛かる事ですので簡単ではありませんが、山行スタイルに合わせて適切なサイズのザックで登山に出掛けると、とても快適で楽しむ余裕が生まれます。
是非、皆さんの参考にして下さいね。
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