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【初心者向け】バリエーションルートに挑む為に必要なこと

「バリエーションルート」と聞くと、「難しい・危険・別世界」というイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか?

それと同時に挑戦してみたいけど、「どうやれば良いのか分からない」というのが実情ではないかと思います。

今回は、自身の経験から「初心者がバリエーションルートに挑戦する上で必要なこと」についてお話ししたいと思います。

【初心者向け】バリエーションルートに挑む為に必要なこと

そもそもバリエーションルートって何?

バリエーションルートについては、大体想像が付く方が多いとは思いますが、整備が行き届いた一般登山道とは異なり、バリエーションルートには、基本的には道標やマーキングがなく、登山地図にも載っていません。

より困難なルートから山頂を目指すものとなります。

 

バリエーションルートとは?

一般ルートとバリエーションルートの違いを超簡単にまとめるとこんな感じです。

▼登山地図
一般ルート:載っている
バリルート:載ってない(地形図を読む)

▼コースタイム
一般ルート:登山地図で分かる
バリルート:自分で判断

▼道標やマーキング
一般ルート:迷わないように付いている
バリルート:無い(自分で判断する)

▼ルートの整備
一般ルート:整備が行き届いている
バリルート:全くされていない(原始の姿)

▼危険箇所
一般ルート:梯子や鎖がある
バリルート:何もない(原始の姿)

【例:夏】

  • 槍ヶ岳 北鎌尾根
  • 剱岳北方稜線
  • 前穂高岳 北尾根
  • 表妙義縦走
  • 谷川岳(一の倉沢南稜・中央稜)

【例:冬】

厳冬期 奥穂高岳(涸沢岳西尾根)2022年1月

道なき道を自分達だけの力だけで進むバリエーションルートは、サバイバル感に富んでおり、本来の山登りの姿に近いので、登頂時の満足感はとても大きな物となります。

 

しかし、それだけに大きな危険が付きまとうので、相応の経験と準備が必要となるので、安易にバリエーションルートに挑戦するというのは良くありません。

 

 

バリエーションルートに必要なこと

一人前の登山者であること

当然と言えば当然のことですが、一般登山道よりも困難なルートから山頂を目指すので、登山者としての基本的なスキルは全て習得していなければいけません。

基礎的技術が必須

  • 歩行法

    静荷重静移動歩行法など

  • 基礎的な岩登り

    三点支持、基礎的なムーブは呼吸と同じくらいスムーズに行えるようになる

  • 判断力、スケジュール管理

    天候判断や、計画の時点で自身の体力でどのくらいの時間で登れるのかを考える。当日も、天候判断は勿論、計画通りに進んでいるかなど、常に考えて行動する

  • 悪天候下での行動

    雨の日、風が強い日、カモシカ山行など、様々な状況下(危険がない範囲)で山に登る事で、対応出来る幅を増やす

  • ビバーク術

    のんびりテント泊だけではなく、緊急時を想定したビバーク訓練を行う

  • アイゼン・ピッケルワーク

    疲労が溜まっていてもブレない技術が発揮できるくらいが目標

などなど、

登山の基本事項を熟知し、各種動作を円滑に行える事が大前提となります。

 

ざっくりと言うと、一般登山道であれば、あらゆる状況下で自分一人で歩けるくらいには、登山者として一人前でなければいけません。

 

 

ワンランク上の体力

厳冬期 奥穂高岳(涸沢岳西尾根)2022年1月

バリエーションルートに挑む上で、最も大切と言っても過言ではないのが体力です。

(極端に言えば、技術があるのは当然で、体力があるかどうかが要となってきます。)

 

マカルー

一般登山道と違い、道中に山小屋や水場といった補給ポイントが無い為、食料や水などを多めに持っていなければいけません。

ルートによってはロープなどの安全確保の装備も必要となる為、装備の重量は一般登山道よりも重たくなります。

また、登山道として整備されていない為、歩行時の体力の消耗も激しく、ルートによっては歩行時間も長大となります。

 

また、岩稜ルートでは岩登りの経験が必要となりますが、どちらかと言えば高度なクライミングスキルよりも、基礎的な技術長時間持続させられる方が重要となってきます。

ポイント

▼クライミングゲレンデ

短時間高度な技術を発揮する

▼バリエーションルート

基礎的な技術を長時間に渡り発揮する

また、バリエーションルートは地形の関係から、携帯の電波が届かず圏外となる事も珍しくないので、緊急時にも自力下山が必要となる場合があります。

バリエーションルートでは、あらゆる局面でも体力が求められるという事を念頭に置いておきましょう。

 

忘れてはいけないのが、「体力をつける」というのは予想以上に時間がかかるという事です。

毎度の山行でのロング山行やボッカトレなど体力増強を意識した山行が大切ですが、登山の頻度や基礎体力によっては下界でのトレーニングも欠かせません。

 

 

最低限のロープワーク

南岳西尾根2022年5月 懸垂下降

「バリエーションルートに行く場合、ロープを扱えること」という言葉をよく耳にしますが、実際にどのような内容であるかは不明瞭でることが殆どです。

そもそもソロ登山者などからしたら、ロープで安全確保をしてくれる人がいない、、、という事も往々にしてある事でしょう。

 

ソロであろうが無所属登山者であろうが、バリエーションルートに挑むからには、最低でも「懸垂下降」などの「危険箇所を安全に下降する技術」くらいは習得しておきましょう。

進むからには撤退も視野に入れて置かなければいけません。

危ないと思えば引き返せばいい」というのは正論ですが、人間は登れても降りられない生き物です。

 

南岳西尾根2022年5月

超急斜面も案外スイスイと登れますが、

超急斜面を下る事は簡単ではありません。

 

 

懸垂下降は危険箇所を安全に下降する為の技術で、最も使用頻度の高いロープワークの一つとなります。

この技術を習得しているか否かで、危険箇所での安全面が大きく異なってきます。

 

注意ポイント

懸垂下降は便利な反面、死亡事故の多い技術の一つでもあります。

必ず専門知識が豊富な人のもとで学習し、必要に応じて講習会なども活用しましょう。

実践で使用する前に、必ず安全な場所で十分な練習を繰り返し、技術の習得に励まなければいけません。

 

 

ルートファインディング力

南岳西尾根2022年5月

「バリエーションルート=ルートファインディング力」

ということは、周知の事実だと思います。

では、「ルートファインディング力」とは何なのか?について個人的な見解を述べたいと思います。

.「僅かな痕跡から正解を導き出す」
.「想像力」

主にこの2つではないかと思います。

 

≪僅かな痕跡から正解を導き出す≫

道なき道を行くバリエーションルートですが、有名なバリエーションルートは一定数の登山者が定期的入山しているので、僅かながらも人が通った痕跡が残っている事が多いです。

 

深い藪漕ぎも...

 

マーキングのない岩稜帯も...

しっかりと観察すれば、人の足跡を見つける事が出来ます。

 

しかし、気を付けないといけないのが、間違った踏み跡も沢山あるという事です。

  • バリエーションルートを歩いている人が全員ルートファインディングが優れている訳でもないので、誤った踏み跡も多数あります。
  • 間違えて進んで、その後戻ってきた踏み跡は2回踏まれているので、それだけ濃い踏み跡になります。

その為、僅かな痕跡の中にある複数の選択肢の中から、正解を見つけだすという事が大切になってきます。

 

 

≪想像力≫

登山は「判断」が求められるアクティビティですが、特にバリエーションルートで適切なルートファインディングを行う為には、「想像力」が重要なポイントとなってくると思っています。

 

これから向かう斜面を見た時に、

どんな斜面で、どこを登れば安全で、更にその先に「どんな状況が待ち構えているのか」ということをどれだけイメージできるか。

イメージ通りの状況だった場合に、自身のスキルで打破できるのか。

逆に、想定外だった場合に、撤退を含めて、対応可能なのか。

これらの事を、進む前に考えなければいけません。

 

 

▼例:南岳西尾根

南岳西尾根2022年5月

目の前の尾根に乗りたい場合、どこを登りますか?

おそらく中央の雪を繋げて尾根に乗ると思います。

 

南岳西尾根2022年5月

でも実際には、こんな感じの超急斜面が待ち構えています。(上部はもっと急)

こんな斜面を下る場合、懸垂下降が使えないと相当厳しいものとなります。

懸垂が使えない場合、ここには取り付いてはいけません。

 

ルートファインディング力、即ち「山を見る目」を養うには、実践的な山行」を繰り返して経験を積んでいくしかありません。

研鑽を重ねていれば、自ずと技術は身についてきますので、冒頭で述べた「登山の基礎技術」をしっかりと習得したら、少しずつバリエーションルートへ向けてステップアップをしていきましょう。

イメージ

色々な状況の一般登山道で経験を積む

破線ルートや準バリエーションルート

バリエーションルート入門

 

自分で考える」
×
実践的な山行」

山を見る目を養う

という感じです。

 

そして、これはルートの選定に限った話ではありません。

天候の判断、行動食の量などにおいても、自分で考える」ということが大切になってきます。

 

「山を理解して、どれだけ正確なイメージを膨らませて計画を立てられるか。」ということが、山で事故を未然に防ぐ大切なポイントとなります。

 

余談:心構えが大事

大切なのは明確な目標を持って、日々を計画的に過ごし、そして何よりも時間とお金を惜しまないこと。

 

お金が掛かります

技術を習得するには、

  • 講習費用
  • 装備代金
  • 参考書代

などなど、予想以上にお金が掛かります。

また、講習会の開催日が決まっていたり、希望する講習会が遠い場所でしか開催されていない場合もあり、交通費もバカになりません。

※お金を惜しんで、ネットの独学だけとかは「〇亡」フラグですので、やめましょう。

時間も掛かります

直ぐに成長する事は出来ません。

どれだけのスピードで成長できるかは、その人の体力や登山に割ける時間などにより様々ですが、

私達夫婦は本当に運動音痴で、他の人の何倍も努力しないといけないタイプなので、一人前の登山になるまでに3年くらい掛かりました。

 

「登れちゃった」ではなく登れた」でないといけません。

 

 

 

まとめ

おさらい

バリエーションルートに挑む上で、必要なもの

  • 1人前の登山者であること

    基礎技術を習得した上で、他人任せにすることなく、全て自身で判断できる。

  • ワンランク上の体力を有していること

    テント泊装備を背負って休憩込みで一般登山道をコースタイムで歩けるくらいは必要

  • 最低限のロープワークを心得ていること

    最低でも懸垂下降は出来ること

  • ルートファインディング力があること

    想像力を働かせ、僅かな痕跡から正しいルートを導き出す力が必要

 

そして、何よりも大切なのは絶対に生きて帰ってくるという想いです。

一般登山道でも事故は起こっていますが、バリエーションルートという更に危険な領域に足を踏み入れている自覚を持たなければいけません。

 

現代社会において、ネットの情報は最大限に活用すれば良いと思いますが、

それと同時に、自分自身が挑戦するに相応しいかどうかを今一度確認するようにしましょう。

 

バリエーションルートは危険な世界ですが、それと同じだけ素晴らしい世界でもあります。

一般登山道では感じることの出来なかった景色が広がっています。

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