山のあれこれ 成長の仕方について

登山のモチベーションが続かなくなったら?「そんな時の解決法をお伝えします」

登山を始めた頃は、どんな山に登っても楽しいと思います。
雨が降っていても、ガスで視界がなくても、山に登れるだけで幸せ。

しかし、何年も登山を続けていると、最初ほどの情熱を注げなくなる時がやってきます。

今回は、自身の経験から、山へのモチベーションが続かなくなった時の対処法をご紹介します。

登山のモチベーションが続かなくなったら?「そんな時の解決法をお伝えします」

対応策1:トレーニングに励む

何度か敗退をしてしまうと不思議なもので、「負の連鎖」で敗退が続いてしまうことがあります。

そんな時は、直ぐに山に行くのは止めて「どうして敗退が続いているのか」をじっくりと考えてみましょう。

  • 実力が伴っていないのか。
  • 体力不足なのか。
  • スケジュールに無理があるのか。

 

敗退の原因を探りつつ、山に行かない間は「トレーニング」に勤しみましょう。
トレーニングの成果は直ぐに出るものではありませんが、トレーニングに励むことで山へ向き合う気持ちがより一層強くなります。

次に山に戻ってきた時には、負の連鎖から抜け出すことができるでしょう。

 

 

また、ナイトハイクや歩荷トレーニングなど、少し自分を追い込むトレーニング山行もお勧めです。

普段よりもストレスの多い山行で自分自身に不可をかけることで、体力や経験値は勿論ですが、精神面を強化する事ができます。

 

 

 

 

 

対応策2:初心を思い出す

比良山系釈迦岳大津ワンゲル道2022年8月

最初の頃は、山でカップヌードルを食べるだけで、ワクワクドキドキしていましたよね?

それが今では、

  • 「行動食も栄養成分重視で、夕食はアルファ米と常に軽量性を重視した献立」
  • 「荷物を切り詰めて過酷なルートを行くガチ山行」
  • 「重い荷物を背負って何日も歩くテント泊」

など、目標を達成する為に、自分自身を追い込んだ山行ばかりになっていませんか?

勿論、山のレベルが上がるほど、綿密な計画性が求められるので正しいことではあるのですが、もしも、そんな山行に疲れてしまった時は、一度初心に戻ってみると良いかもしれません。

 

  • 山頂でお湯を沸かしてカップラーメンを食べたり...
  • テントに肉を詰め込んで、テント泊でのんびり過ごしたり...
  • 軽量なザックで、軽い足取りで、自然に耳を傾けたり...

山の中でのんびりとゆっくりと過ごして、山の素晴らしさを思い出すのも良いことです。

 

 

対策3:登山用品を買い替える

Trion Nordwand 38

画像引用元:マムート公式サイトhttps://www.mammut.jp/items/2520-03841

登山を始めた頃は当然ですがザックやウェアなど必要な装備品の一式を買い揃えていたと思います。

その時の感情を思い出して下さい。

装備を選ぶというのは不安要素も大きいですが、カッコいいウェアやギアを眺めながら"ワクワク"胸が躍っていたと思います。

 

装備一式を買い揃ればしばらくは、買った装備を使いこなす期間へと入っていきます。

もしも今、登山のモチベーションが続かなくなっているならば、思い切って装備を買い替えたり、欲しかった装備を買って、最初の頃のワクワクする感情を思い出すというのも良いことだと思います。

 

装備はあくまでツールの一つなので、装備を最新のものに変えたからと言って、登山者の能力が向上する訳ではありません。

だからと言って「一度買った装備を壊れるまで使い続けなければいけない」という必要もありません。

 

そしてこれは決して、モチベーションの為に贅沢をするという訳ではなく、一定の経験を積む頃でより最良な装備の考えが生まれてくるからです。

 

常に適切な装備で山に向かうのは大切なことなので、こういった機会に装備を買い替えるのは十分に有意義なことだと言えるでしょう。

 

 

対応策4:次の目標を立てる

いわゆる「燃え尽き症候群」に陥ってしまうパターンです。

これは、大小れど誰もがあるものですし、私自身も遠征登山の後の数日は「プチ・燃え尽き症候群」状態です。

 

「いつかは登りたい憧れの山やルート」
それに向けて、体力をつけて、練習して、経験を積んで、必死に努力して、「遂に念願の○○岳、○○ルートに登った」となれば、もう最高!ですよね。

努力してきた過程の全てが山登りであり、簡単な道のりではなかったからこそ、素晴らしい想い出として、心に刻まれるのだと思います。

 

そして、こういう登山の後に訪れるパターンとして、
1.直ぐ次の目標が見えてくる
2.抜け殻のようになってしまう

この2つがあるのではないでしょうか。

 

今回は後者に陥ってしまった場合のお話です。

ちょうど人生の節目なんかに大きな山行を終えた場合、それを機に登山の第一線から身を引くなんてこともあるかもしれませんが、
「まだまだ登山を続けて行くぞ!、でも次に行きたい山が見つからない」というケースも多いと思います。

これまで、ただがむしゃらに一途だったからこそ、次に登りたい山が見つけられないんだと思います。

 

より難易度の高い山を見つけるだけなら簡単ですが、情熱を注げる山を見つけるのが難しいという点です。

 

 

槍穂高完全縦走2日目(西穂~ジャンダルム~奥穂)

大きな目標を達成した場合、次の目標になるのは、多くの場合が以前よりも難易度の高い山行となるでしょう。

しかし、難易度の高いものとなれば、ポンポン挑戦できるものでもありませんし、それに向けて長い準備も必要となるので、心血を注げるだけの魅力を感じられる目標でなければいけません。

 

やりたい山にひとしきり登って、毎回の登山に何か「物足りなさ」を感じてしまう時も同じ事が言えますが、

そんな時は、まずは視野を広くもって登山の新しい領域に足を踏み入れるのも一つの方法です。

 

活動山域を広げる
・北アルプスを主軸に登っていた場合は、南アルプスにも行ってみる
・思い切って北海道や屋久島などにも目を向ける

登山の種類を変えてみる
・日帰りロング山行
・テント泊
・バリエーションルート

新しい領域に挑戦してみる
・雪山登山
・沢登
・クライミング

などなど、自分がやった事のない山行はまだまだあります。

 

新しい領域に挑戦する場合、揃えなければならない装備や知識はありますが、想像しているほど敷居が高い訳ではありません。

 

 

ステラリッジテント

例えば「テント泊」で言えば、適切な登山用のテント泊装備を揃えたうえで、天気の良い日の標高の低い樹林帯の中であれば、特に危険もなく、問題なく始められるでしょう。

 

 

 

雪山登山」に関しても、「何度も足を運んだことのある1,000級の低山」で尚且つ「人気のある山」であれば、天気の良い週末であれば登山者も多く、適切な装備さえあれば、大きな危険もなく始める事ができます。

 

 

上の2枚の写真は「比良山系の大津ワンゲル道(1,000m級)」の同じ場所で撮影した物で、「左は夏」「右は冬」となります。

この場所は、夏は落ち着いて登ればアスレチック感覚で楽しく登る事ができるルートですが、冬になり雪がつくと「雪壁」と化し、ノートレースでは容易に登れる状態ではなくなります。

因みにこの日は休日でしたが、他の登山者の姿はなく、深いラッセルに苦しめられて、通常3時間ほどの距離に1ビバークを強いられる結果となりました。

このように1,000m級の低山であっても、視野を広げて工夫次第で非常にエキサイティングな山行を楽しむ事ができます。

「遠征に行くほどの余裕がない」という時なども、柔軟に考えてみると意外と「可能性」が広がっているものです。

 

 

 

一般登山道ではない、バリエーションルート。

そこには一般登山道とはまた違った景色が広がっています。

勿論、難易度も一般登山道とは大きく異なり、相応の危険が伴うのでおいそれと挑戦できるものでもありませんが、そこには挑戦した人だけが見ることが出来る景色が広がっています。

 

 

新しい領域に挑戦する場合、「学ぶ姿勢」は必ず必要ですが、一番重要なのは一歩踏み出す勇気です。

 

 

 

 

対応策5:あえて休むという選択肢

石垣島 スキンダイビング

「目標もあるし、やる気もあるけれど、予定や事情が重なり山に行けない。」

「気持ちはあるけれど、仕事の疲れで気力が湧かない。」

「以前ほど、登山に情熱を注げなくなった。」

といった状況になることもあるのではないでしょうか?

 

私自身、ここ1~2年は仕事や家庭環境の変化など色々な事が重なり、以前に比べて山に行く回数が減っています。

「山に行けていない」という焦りの感情がどんどん湧いてきて、精神的にもキツい時期もありました。

 

そこで山に行けない間は、

・ドライブに出かけたり...
・旅行に行ったり...
海に泳ぎに行ったり...

思い切って「山を休む」つもりで、山以外の趣味を存分に楽しみました。

※しかし、休み過ぎると登山に復帰した時に、身体が使い物にならなくなるので、下界でのトレーニングだけは継続しました。

 

登山といっても趣味の一つです。

登山という趣味は素晴らしいもので、人生をこれ以上ないくらいに輝かせてくれるものです。

しかし、所詮は趣味です。

山に登らなくなったからと言って、人生が悪くなるものでもありません。

 

趣味の事で思い悩むのは本末転倒ですよね。

山に行ける時間も、山に行かない時間も、大切な時間です。

 

 

 

登山を休む時の注意点

これまでどれだけの経験を積んできていても、登山を休めば体力や実力は低下するという事を忘れてはいけません。

 

▼体力低下

筋力、心肺機能、瞬発力など登山に順応・特化してきた肉体の能力は、これまでの下済みや山から離れる期間にもよりますが、確実に低下すると言って良いでしょう。

登山を再開すれば程なくして元の水準に戻りますが、登山を再開する時は、能力の低下の現実を受け入れて、決して背伸びをした山行をしないようにしましょう。

また、山を休んでいる間に加齢による肉体の衰えも並行して進む事にも、十分に注意しなければいけません。

 

▼感覚も鈍ります。

「計画性」「判断力」「洞察力」「勘」など、登山において非常に大事なポイントである「感覚」も山登りから離れる事で、低下してしまいます。

寒さへの対応力の低下すれば、低体温を誘発し、

諸動作が緩慢になると、行動の遅れに繋がり、

判断を誤れば、事故へと直結します。

 

 

▼装備も劣化します。

もしも数カ月~数年などの長期間山登りから離れる場合は、装備品の劣化にも注意しなければいけません。

これは登山装備に限った話ではありませんが、特に登山は屋外で行うアクティビティの為、装備品には泥や汗などが付着しており、これらを長期間放置すると、カビの発生や加水分解による装備品の劣化や破損を起こす原因となります。

 

登山から離れる際は、暫く使わない物として収納される事になると思いますが、その前にしっかりと適正なメンテナンスを行い、定期的に取出して空気に触れさせるなどの配慮を忘れないようにしましょう。

 

 

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

登山を真剣にやっているからこそ、ブチ当る壁であったり、山に向き合えない時期があったりします。

 

そんな時は、「悩みすぎない」のが大切です。

悩みすぎずに、"今できること"にしっかりと目を向ければ、時には思い切って休んでしまうのも一つの方法です。

 

少し寄り道をすることで、山への情熱を再確認できたり、また新しい発見があるかもしれません。

 

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