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【レビュー】アライテント:マカルー80リットル(ザック)

便利なザックが色々なメーカーから出されているこの時代に、敢えてアライテントの「マカルー80」を買った。

買う前の疑問点と、実際に使ってみての感想を紹介していきます。

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マカルーを選んだ理由&欲しかった理由

新しいザックを選んだ背景

【左】Deuterの60ℓ+10ℓ、【右】マカルー80ℓ

これまでは「Deuterの60ℓ+10ℓ」のザックを使っていたのですが、もう少し大きなザックが欲しいと思うようになったのと、

Deuterのザックが知人から貰い受けた「17年以上前のモデル」で、どうもザックが身体に合っていないように感じることが多くなったので、買い替えを検討しました。

他の候補

容量は80ℓ以上で探していたので、「グレゴリーのバルトロ」も候補に入っていましたが、「ザック自体の重量が重いこと」と「値段が高い(定価5万以上)」ということで、候補から外すことになりました。

 

 

マカルーを気に入った点

マカルーは山岳テントの老舗である「アライテント」から出されている歴史のあるザックですが、現代においても大学の山岳部や一部の山岳会、玄人から愛されてます。

私も色々と調べてみて分かった点は、、、。

 

気に入った点

  • 作りが単純だが頑丈
  • 大容量(凄まじく入る)
  • 安い...24,000円(80ℓの割に)
  • 軽い...2,050g(80ℓの割に)
  • 背面のフレームが無い分、慣れれば背中にフィットして背多い心地が良い

心配だった点(購入前)

  • 背面パットが薄い?
  • 背面にフレームが無い
  • 腰パッドがペラペラ?

 

メリットは非常に心を奪われるポイントですが、デメリットはザックとしての重要なポイントなので非常に気になります。

しかし、このマカルーは有名な割に情報が少なく、判断材料がなかなか見当たりません!

こうなると、実際に店頭で、背負ってみて判断するかしかありませんでした。

 

購入したザックはこちら

アライテント公式サイト:https://arai-tent.co.jp/lineup/backpack/makalu.html

 

店頭でのフィッティング・試し背負い

アライテント・マカルー80

好日山荘石井スポーツなどのメジャーな登山用品店に「マカルー」の在庫の問い合わせをしてみたが、展示品としてはどこも置いていなかった。

そんな中、「ロッジ」には展示品があるとの朗報が入り、早速フィッティングに足を運んだ。

店頭の展示品に15kg程のフィッティング用の重りを入れて実際に背負ってみた。

一番最初の感触としては、心配していた程、背負い心地は悪くないだった。

 

スタッフさん曰く

「今、このザックを買うのは山岳部の学生か、歩荷トレを推してる山岳会くらいです。但し、頑丈さは折り紙つきですよ、、、」らしい。

 

ん~、僕は山岳部出身でもなければ、30代に突入した普通の男性だが、、、それでも無骨で屈強なこのザックに惹かれてしまったのだ。

 

希望のからカラー(赤)は在庫が無かったので、その場で取り寄せを依頼した。

 

実際に使ってみた感想

アライテント・マカルー80

実際に使ってみた感想をまとめてみました。

使用環境

  1. 槍ヶ岳:2泊3日(厳冬期1回・残雪期1回)
  2. 涸沢岳西尾根:2泊3日(厳冬期2回)
  3. 西穂西尾根:1泊2日(厳冬期1回、残雪期1回)
  4. 剱岳早月尾根:2泊3日(初冬2回)
  5. 槍ヶ岳北鎌尾根:1泊2日(夏)
  6. 比良山系:1泊2日(低山)5回
  7. 日帰り(低山):10回

累計24山行・20泊・50日間

 

Q:サイズについて

A:大満足

噂の通り、かなりデカい!です。

ザックの雨蓋を伸ばす前の状態で次の装備が余裕で全て入ります。

  • 2泊3日の冬山テント泊装備一式
  • マット(サーマレスト リッジレスト ソーライト)はロール状にして中に入れる
  • ロープ・簡単なガチャ類

 

Q:パッキングの感想

A:満足

前述の通りザックがかなりデカいので、テキトーにパッキングしても余裕で入るのですが、しかし逆を言えば考えてパッキングしないと、見た目がデブの不細工なザックになり、背負い心地にも影響します。

  1. ザックの中に「サーマレスト リッジレスト ソーライト」を筒状にして、その中に荷物を入れる
  2. 背中側にはテントマット等を入れ、背中側に固いものが当たらないようにパッキングする

こうすることで、背中への不快な干渉等はありませんでした。これで背面パッドにフレームが無いことの問題は解消されました。

また、パッキングをしっかり行うと自立します。

尚、雨蓋の収納力が凄まじく、行動食(1日分)、ナルゲンボトル(1ℓ)が余裕で入るので、休憩時にザックの雨蓋を開ける必要がありません。

基本に則ったパッキングと、自分なりの創意工夫で大方問題無いと感じました。

 

Q:背負い心地

A:不満無し

噂の通りこのザックは肩で背負うザックです。腰に荷重を移す事は出来ません。

しかし、背面パットが薄いこともあり、背中とザックの間に隙間が無く、背中にも重心がのる為か、肩が辛いと感じる事はあまりありませんでした。

大きな不満ではありませんが、ザックのコンプレッションベルトが長いので、山行中に風に吹かれて「ぴらぴら」となることが多く、時折目障りなことがあります。

 

Q:ハーネスとの相性は?

A:概ね良し

腰ベルトが薄いことと、腰で背負うザックでは無いので、ハーネスとの干渉は低いように思います。

体格やハーネスの種類にもよりますが、概ね相性は良いように思います。

 

Q:おすすめ度

A:人による

これは先人の方々の言う通り、使う人を選ぶザックだと思います。

▼向いている人

  1. パッキングを自分なりの方法で試行錯誤する気のある人
  2. とにかく大容量で丈夫なザックを探している人
  3. マカルーみたいなザックに惹かれる人(これが重要かもしれません)

▼向いてない人

  1. パッキングが苦手な人
  2. 腰に荷重を乗せるザックに慣れている人
  3. 小物入れ等の色々と便利な機能が欲しい人
  4. 小屋泊しかしない人(※小屋泊ではこのサイズが必要な程、荷物を持たないと思います。)

 

 

【備考】マカルー80は登山以外でもガンガン使える

一番手前のブルーのカバーが被さっているのが「マカルー80」です。

ちょっとどうでも良い話に逸れるのですが、マカルー80は「頑丈」×「デカい」なので、登山以外でもフル活用する事が出来ます。

私の場合、キャンプにも良く行くのですが、マカルー80に「マット・寝袋」など嵩張る物を詰め込んでルーフラックにのっけています。

 

 

マカルー

それ以外にも旅行鞄としてもガッツリ使い込んでいます。

夏はマリンスポーツの用品なんかを詰め込んだり...

飛行機の預入として使ったり...

 

登山以外でもガンガン使っていますが、全く問題ありません。

 

 

 

 

まとめ(メリット・デメリット)

メリット

ココがおすすめ

  • 大容量(冬季幕営装備+ロープ・ガチャ類は余裕)
  • 安い(24,000円)
  • 軽い(2,050g)
  • 頑丈(藪漕ぎ、岩稜、なんでも来い!雑に扱っても傷がつく気配はありません。)
  • 雨蓋がデカい(「行動食1日分」+「サーモス1ℓ」+「地形図」+「GPS」が収納可能。)
  • 腰ベルトがペラペラなので、狭いテントの中でも嵩張らない。
  • 肩に比重を置くザックなので、ハーネスとの相性がいい。
  • 腰ベルトが外せるので、ハーネスとの干渉を避けられる。
  • 構造が単純なので、雪が付着しにくい。(叩けば落ちる)

 

デメリット

厳冬期 奥穂高岳(涸沢岳西尾根)2022年1月

ココに注意

  • パッキングが下手だと背負い心地が悪く、見た目も不細工になる。
  • ザックのコンプレッションバンドが長過ぎて、風が吹くとヒラヒラなびいて邪魔。(地味に危険)
  • デカいザックなので、荷物が少ない時は逆に困る。(テント泊等で、荷物はテントに置いて山頂だけピストンする時など)
  • 最新の便利機能な一切なし(※腰ベルトの小物入れや、背面パッドの吸汗性などは無い)
  • 腰に荷重は移せない

 

総括

このザックを購入してから、冬季の槍ヶ岳、初冬の剱岳、夏の北アルプス、低山など10数回このザックで登山に出掛けていますが、

「概ね満足している。」というのが正直な感想です。

 

「値段・重量・容量・材質」全てが完璧なザックというのはないので、どこかで折り合いをつけなければいけません。

 

正気な所、マカルーを背負っていて苦しい時もあり、「最新のザックの方が良かったのかもしれない...」と思う時もあります。

しかし、苦しいのは単純に「私自身の体力が低い」というのもあると思っています。

 

このマカルーに興味を持たれている方は、大なり小なり高い志をお持ちの方が多いと思います。

ザックとの相性はとても大切なことですが、結局は登山者自身の体力が伴っていなければ、意味がありません。

ですので、"このマカルーと一緒に、登山者として成長していく"という気持ちで、このザックと付き合っていくのが一番かなと思います。

 

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