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【登山】もう帰りたい!心が折れた時の対処法

登山の最中に「もう無理!帰りたい!」と心が折れてしまう瞬間があると思います。
せっかく遥々山の中まで来たのに、、、と簡単に諦められるものではありませんよね。

今回はシチューション別に、心が折れた時の対処法をご紹介します。

「もう帰りたい!」登山の最中に心が折れた時の対処法

眠い!気を失いそうな時の対処法

南岳西尾根2022年5月

「林道」や「九十九折」の登山道など、単調な道が続く場所で多く発生するのが「眠気です。

  • 歩きながら寝る
  • 立ったまま寝る

という経験があるのではないでしょうか?

眠気の怖いところは、集中力の欠如による事故の誘発は勿論ですが、一度眠気に襲われると振り払うのが非常に難しいという点です。

 

林道が終わり登山道が始まると、不思議と眠気は解消されるのですが、林道は1時間〜2時間ほど続くことが多く、ここでタイムロスをしてしまうと後々の行程に響いてしまうので、林道での眠気問題は大きな課題となります。

 

本来は、事前にしっかりと睡眠を取り、最初から眠気が起こらないようにしておく事が大切なのですが、仕事終わりに車で登山口に急行するサラリーマン登山者にとっては、事前の睡眠をしっかりと取るのは現実的ではありません。

 

 

我慢できない程の睡魔に襲われた時は、ザックを下ろして座って10分ほどだけ眠ります。

その後、眠気覚ましとして持参したコーヒーや眠眠打破などを飲み目を覚まします。

 

正直なところ覚醒時間は長くは保たないので、再度睡魔が到来するまでに林道などを突破するようにしています。

 

※コーヒーや眠気覚ましは多量のカフェインを含んでおり利尿作用を強くしてしまうという点には十分に留意しなければいけません。

 

 

 

足が動かない!疲労困憊の時の対処法

西穂西尾根

登山の最中に、「足が動かない!」「背中が痛い!」など疲労困憊で歩けなくなることがあります。

そもそもの体力が伴っていないなどの、根本原因はさておきして、その場で出来る処理を考えていきましょう。

 

筋肉疲労による問題

太腿や脹脛がパンパンなど、身体が使い物にならなくなる原因として以下の二つが考えられます。

 

原因1「事前のストレッチを入念に行っていない」

歩き始めの前には、ストレッチ(準備運動)を入念に行うことで、筋や筋肉が柔らかくなり、疲労が起こりにくくなります。
また、連日渡り登山を続行する場合、宿泊地に着いた際もストレッチを行っておくことで、翌日に疲労を持ち越しにくくなり、良好なコンディションを継続する事ができます。
そもそも怪我の防止の為にもストレッチは必ず行うようにしましょう。

 

原因2「休憩時にしっかりと休めていない」

意外と多いのが、休憩時にしっかりと休めていないという点です。
休憩時間は限られた時間しかないので、休むと決まれば早急にザックを下ろして座り、足を伸ばしてしっかりと足を休ませなければいけません。
この時に、立ったままだったり、足を曲げていたりなど、足の緊張が解けていない状態でいると、血流が悪く、疲労が物質が溜まり続けてしまいます。

 

対応策「マッサージ」

これらの対策をしていても、それでも「足が限界!」という時は、私は靴を脱いでマッサージを行うようにしています。

靴を脱いで、足の裏や脹脛などを入念にマッサージをして、血流を促進します。

休憩時間+αの時間が掛かってしまいますが、疲労で歩行スピードが遅くなるよりはマシです。

 

 

シャリバテによる問題

厳冬期 奥穂高岳(涸沢岳西尾根)2022年1月

ハンガーノック、シャリバテ、ガス欠、色々な言い方がありますが、要は「栄養が足りなくなって身体が動かなくなること」です。
快調に歩けていたり、良い休憩場所がなかったりして、行動食を取らずに歩き続けていると、気がつくとシャリバテになっていたという事はよくある話です。
また、行動食は意識的に摂取していても、水分が足りていないというのもよくある事例です。

1時間に1回は何かを口に入れるというのが基本となります。

 

どうしても身体が動かなくなってしまった場合は、30分ほど大きな休憩を取り、食料と水分を多めに摂取し身体に栄養が行き渡るまで十分に休むようにしています。

 

 

ペース配分の問題

これも良く起こる問題ですが「歩くペースが早すぎて結果的に疲れる」という問題です。
歩き始めや、早朝など最初の1時間は身体がまだ山に順応していないので、ゆっくりとしたペース配分を意識して、丁寧な足運びをする必要があります。
「こんなゆっくりで大丈夫だろうか?」と思うかもしれませんが、身体が慣れれば最初の遅れは直ぐに巻き返す事ができます。

ソロの人などは歩行スピードが速い人が多いですが、自分は自分でペースを乱さない事が大切です。

 

 

目的地までの残りの距離を考えると絶望的になる事がありますが、一定のペースで歩き続ければ到着でできるので、焦っていはいけません。

テント場の先着順や、日暮時刻が迫るなどの問題がある場合は、出発時刻を早めるなどの事前の対応が求められます。

 

 

 

心が折れた!本気で帰りたい時の対処法

「怖い!」「寒い!」「辛い!」など、精神的に追い詰められて、全てを投げ出して下山したくなる時があります。

力量が伴っていない場合や、天候の悪化など、明らかに目的に到着できない場合などを除き、「ひとまず落ち着いて考えましょう。

 

そもそもが精神的に追い詰められている時というのは、身体的にも疲弊している時が殆どです。

安全な所で、暖かい飲み物と、甘い物を食べて精神的に落ち着くことで、再度やる気を回復させる事ができます。

 

 

▼備考

対応が難しいのは、「同行者の心が折れた時」です。

なぜなら、一度心が折れた場合、他人に励まされて回復するということは、なかなかに難しいからです。

とは言え、一緒にタッグを組んで山に来ているからには、見捨てて置いて行く訳にもいかず、だからと言って一緒に下山するのも難しい....。

パートナーにできる事はウェアを調整したり、お湯や甘い物を提供したりなどのケアに過ぎません。そこから先「精神を持ち直すかどうか」は本人にしか決められません。

(※尚、厳しい言葉で激励しても、更にパニックになるだけで意味はありません...)

 

難ルートへの挑戦など肉体的・精神的に厳しい状況が予想される場合は、事前に二人でしっかりと話し合っておく事が重要となってきます。

 

 

メンタルを鍛える方法

強い精神力は、強靭な肉体から来る

「メンタルを鍛えたい、折れない心が欲しい」

ずばり肉体を鍛えるしかありません。

 

急登、強風、低温、深いラッセル....多くの部分で身体が疲弊するので、心が折れてしまうのです。

身体を鍛えて対応できる幅を増やすことで、精神的にも余裕が生まれるのは勿論ですが、常日頃から身体を追い込んで鍛えることで、精神的にも成長する事ができます。

 

 

 

日頃から厳しい山行を遂行する

比良山系北部縦走・テント泊(蛇谷ヶ峰~武奈ヶ岳)41

厳しい山行というのは、決して危険な登山という意味ではありません。

 

難ルートと呼ばれる山行に挑戦したいのでに、普段行っている登山がハイキングレベルでは、メンタルは鍛えらることはなく、当日ちょっとした事で心が折れてしまうかもしれません。

普段の低山での登山であっても、「歩荷トレーニング」「ロングトレーニング」など工夫を凝らして、自身を追い込んだ山行で身体を慣らしておく事で、徐々に心身共に強くなっていきます。

 

 

 

まとめ

アライテント・マカルー80

いかがでしたでしょうか。

精神的な疲れは、肉体的な疲れでもあるので、「肉体を如何に疲れさせないか」が要となります。

その為には、「食事」「水分」「ペース配分」など基本を大切にすると共に、やはり日頃からトレーニングに勤しんでおく事が非常に重要だと思います。

 

但し、本当に心が折れてしまった場合、集中力も切れてしまっているので、無理をしてはいけません。

未熟だった自分をしっかりと受けれて、安全第一で下山することもとても大切な選択です。

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