冬の時期は登山者が少なくなりますが、それでも一定数は「この人ヤバイっ」という一風変わった登山者に遭遇する事があります。
今回は、頻繁に目撃するヤバい人のパターンを4つご紹介していきます。
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雪山で遭遇した「ヤバい連中」厳選4種
ラッセル泥棒+α
雪山ならではの問題として、ラッセル泥棒があります。
ラッセル泥棒とは
ラッセルとは、新雪が降りトレース(踏み跡)のない状態で雪を掻き分けて進んでいくことであり、
ラッセル泥棒とは、先行してラッセルしている登山者に追いつきながらも、付かず離れずを繰り返して、ただ単に後ろをついて行く登山者のことを言います。
他人のラッセルを利用する事自体が悪いことではありません。
「トレースがあるから前に追いつけたけれど、交代して先頭に立ってもすぐに力尽きて邪魔になるだけなので、静かに後ろを歩かせて頂いている」という人も多いかもしれません。
このような場合は、休憩時などにラッセルしている登山者に一言労いの言葉を伝えればそれで問題はありません。
問題となるのは、ルートの選定は勿論、撤退の是非を含めてあらゆる判断を他の登山者に委ねている人がいるという事です。
▼実際の事例1
1,000m級の低山に寒波が襲来し、荒れ模様の天気の中、ラッセルをしながら山頂を目指していました。
すると後ろから登山者が追いつき、つかず離れずで後ろを歩いていました。
休憩していると、質問されました。
- 登山者:「天気悪いですけど、上(山頂)行かれますか?」
- わたし:「状況を見て判断します。」
と答えましたが、その後も同じような質問を何度かされました。
私が少し長めの休憩をしている間に、別の登山者が追い越して行くと、今度はその登山者に"つかず離れず"で「天気悪いですけど、上(山頂)行かれますか?」と同じ質問をしていました.....
▼実際の事例2
3,000m級の雪山でラッセルをしていた時の話です。
後ろから比較的軽装の登山者が追いついてきました。
- 登山者:「こんにちは、トレースありがとうございます。この先はもしかしてノートレースですか?」
- わたし:「はい、ノートレースです」
- 登山者:「....」
その登山者がこの先がノートレースだと分かった途端に黙り込んでしまいました。
結局その登山者は終始「こちらが止まれば、あちらも止まる」で、
ラッセルをするつもりはないけど、私のすぐ後ろにいるのです。
ラッセルを交代するのであれば、すぐ近くに居てくれたら良いのですが、
ただ後ろを歩いているだけであれば、ある程度は感覚を空けるのがマナーでしょう。圧力を感じて半端ではなかったです。
ラッセルは雪山登山の魅力なので、他人がそれを利用していても、特に気にならず、逆に誇らしいくらいなのです。
しかし、悪天候時の撤退の判断まで他人に委ねるというのはいかがなものでしょうか?
「自分で撤退の判断が出来ない」という時点で力量不足で下山すべきと言えるでしょう。
私自身は何度も登って地形を把握しており、装備を整え撤退の判断基準も明確に決めているので、悪天候でも前に進んでいますが、力量が伴っていない状態で見ず知らずの人に同伴するというのは非常に危険な行為です。
悪天候に突っ込む外国人登山者
北アルプスなどの標高の高い山でたまに見かけるのが、「明らかな悪天候に突っ込んでいく外国人登山者」です。(※日本人でも一定数はいます)
厳冬期の涸沢岳西尾根での話
その日は、1月の3連休で厳冬期でもありながら多くの登山者が入山していました。
しかし、最終日の3日目には警報級の荒天が発表されており、同ルートに入山中の全ての登山者が午前中には安全圏へ降りるべく下山を開始していました。
私達ももうすぐ尾根を降りきるという頃、下から登っていくる登山者の姿が目に入りました。
「明日から天気が荒れますが、大丈夫ですか?」と声をかけましたが、困ったような表情を浮かべただけで特に返事もなく、上に登って行ってしまいました。
その後、他の登山者と話をしたところ、どうも外国の人で色々な人が声をかけたが言葉が通じなかったようです。
言葉の壁のある外国人は天気予報などを正しく理解できないのか、はたまた日本の山を勘違いしているのか、、、理由は定かではありません。
これは決して外国籍の人に限った話ではありません。近年はGPSなどの位置情報を正確に把握できる機器の普及により、「悪天候時の特別なナビゲーションスキル」を保有していなくても、ある程度の荒天であれば行動可能となり、悪天候時に入山する人が増えています。
勿論、「登山者のスキル」と「地形をどの程度把握しているか」などの総合力により、対応できる幅は異なるので闇雲に悪天時に入山する登山者を否定することは出来ません。かく言う私も地形を把握しているルートであれば荒天時も入山することもあります。
しかし、そのような人達を真似たり、トレースがあるからと安易な考えで荒天時に山に入ることは絶対にしてはいけません。
勘違いスキーヤー
厳しくも美しい雪山を颯爽と滑り抜けていく人達を見たことがあると思います。
彼らが行っているのは「山スキー」「バックカントリースキー」と呼ばれるもので、登山の基礎を十分に身につけた上で、更にその先にあるカテゴリーです。
しかし、近年問題になりつつあるのは、
スキー場を滑っている一般のスキーヤーがゲレンデを外れて場外を滑り、遭難事故を起こすというケース。
一般のスキー場を楽しむ為に来ているのだから、アイゼンやピッケル、シールといった登り返しに必要な装備は勿論、ツェルトやGPSなどのエマージェンシー用品も持ち合わせていないでしょう。
そうなると道迷いや滑落などの事故を起こした際に、全く対応ができなくなり、即「遭難」へと繋がってしまいます。
しかし、この問題に関しては、メディアの誤った認識による誤報道による問題が大きいです。
「山スキー」と「一般のゲレンデスキー」では、そもそものカテゴリーが異なるので、くれぐれも混同してはいけません。
そもそもこの手の人達を同じ登山者として括ってしまうのは問題があります。
装備不十分な人達
雪山に登るとなるとフィールドにもよりますが、しっかりとした専門の雪山装備が必須となります。
環境の厳しい雪山に入るからには、正しい知識と姿勢を持って取り組まなければいけません。
いくつかのパターンをご紹介します。
その1:ありえない登山者
残雪期の北アルプスにスニーカーで登る勘違い野郎は論外として、
- 残雪期の北アルプスに、ローカット+チェーンスパイクで、足がビショビショになっている登山者
- 初冬の北アルプスで、ストック+ノーアイゼンで下山が出来なくなっている登山者
- 急斜面の登りやトラバースなどで、アイゼンは履いているが、ストックのみで登っている登山者
などの命の危険に直結する登山者に遭遇することも珍しくありません。
その2:ULを勘違いした登山者
最近はULスタイルにより、通常では1泊が必要な距離を日帰りで走破するスタイルが増えており、冬季においても珍しい話ではありません。
(※UL:ウルトラライトの略で、登山装備を快適性より軽量性に重きを置き、装備の軽量化を図るスタイルのこと。)
装備は少ないとは言え、凄まじいスピードで歩くには相応の脚力が求められるので、日頃から実績を積み上げている証拠でしょう。
しかし、問題はULに関して誤った認識をしている登山者が一定数いるという点にあります。
ザックが小さすぎる奴
明らかにザックが小さすぎる登山者を見かける事があります。
いくら装備を全て軽量コンパクトに抑えても「そのザックに必要な装備は全部は入らないよね」とツッコミを入れたくなる登山者も多く見かけます。
こういう登山者のほぼ全てがヘルメットを装着していません。
登山において「軽さは正義」で、軽ければ軽いほど安定した歩行で速く歩くことが出来ますが、必要な装備が不足していれば緊急時に命の危険度が数段上がるのは言うまでもありません。
その3:認識の低い登山者
それ以外にも、認識の低い登山者を多く見かけます。
ショベル持ってない奴
冬山でテントを設営するには、ショベルを使って地面を平らにならす「整地」という作業が必要になりますが、ショベルを持参せずに他人に貸して貰っている登山者
ライター持ってない奴
気温が低い冬山では、バーナーに既存の点火装置はほぼ作用しないので、フリント式のライターなどを持参するのが常識ですが、持参せずに他人に貸して貰っている登山者
必要だという事を知らないのか、それとも単純に忘れたのか、理由は不明ですがどちらも雪山で宿泊するのであれば絶対に忘れてはいけない必須の装備です。
この様な登山者は、ロープウェイやゴンドラなどで冬季においてもアクセスが比較的容易な山域で多く見かけます。
雪山は過酷な環境なので助け合いで良いのですが、最初から「知らなかった」という知識不足は、全体的な認識不足を表しており、看過できることではありません。
その4:スタックしている車
冬になると当然ですが登山口の周辺も雪が積もったり、路面が凍結したりと、道路状況も大変厳しいものになります。
その為、登山口の直ぐ側まで車で上がりたい場合は、相応の車でなければいけません。
実際にあった話
南八ヶ岳の玄関口となる赤岳山荘には駐車場があり、通年駐車可能となっています。
しかし、美濃戸口から赤岳山荘までの区間は公道ではなく未舗装の林道となるので、冬の時期に車で赤岳山荘まで上がる場合には、コンディションにもよりますが、厳しい時期には車高の高い四輪駆動車にタイヤチェーンが必須となっています。
それを知ってか知らずかは不明ですが、不相応な車が林道に入り込み、スタックして進退窮まっている車を見かけた事があります。
これは実際に問題になっている話で、側を通行している登山者を巻き込みかねない大変危険な事なので注意しなければいけません。
それ以外にも凍結した峠道などでスタックして進退極まっている車両も時折見かけることがあります。
今一度、自分の車がどの程度の雪道まで対応できるのかを確認しておくようにしましょう。
まとめ
いかがでしたか。
雪山でもロープウェイやゴンドラなど通年営業している様な場合、標高の高い山でも比較的アプローチがしやすくなり、多くの人々で賑わいを見せている時もありますが、その分「えっ!この人大丈夫!?」と目を疑う人を見かけることも珍しくありません。
変わっているだけなら、それもまた個性と言えるのですが、雪山という厳しい世界では「それは危険ですよ」という人が一定数いるのも現実です。
今年の雪山も大きな事故がない事を祈っております。
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