9月に入り、連日の猛暑も落ち着きを見せ、山の上では既に秋の訪れを感じさせる季節となりました。
秋山は夏山のような灼熱もなく、過ごし易く、紅葉も楽しめて絶好の登山シーズンでもありますが、夏山とは大きく異なるということを忘れてはいけません。
今回は、秋山登山をする上で注意すべき点を4つご紹介します。
【解説】秋山登山の注意点「4つのポイントを押さえて安全に楽しみましょう」
注意点1「山小屋が閉まる」
秋になると営業している山小屋が続々と営業を終了していきます。
早いところでは10月上旬、遅いところでも11月の初め頃には営業を終了します。
山小屋が営業を終了すると小屋に宿泊が出来なくなることは勿論ですが、それ以外にも、
- 水&食料の入手が小屋で出来なくなる
- 道標などが撤去される場所がある
- 山小屋からの現地の最新情報の発信がなくなる
- 救助活動の際に山小屋のスタッフの助けが得られない
など、山小屋が閉まると、それに合わせて山の中から人の姿がぐっと少なくなります。
人が少ないという事は、静かな登山を楽しむという意味ではとても良いのですが、その分、全ての物事に自分自身で対応しなければいけません。
最初にも書きましたが、山小屋の閉まるタイミングは場所により異なるので十分に注意しましょう。
注意点2「日照時間が短くなり、気温も下がる」
▼ウェアのレイヤリングは再考を
9月になると標高の高い山では朝夕には気温が一桁になるというのも珍しいことではなくなってきます。
防寒着も本格的なものが求められす。
また、気温が下がれば風に吹かれた際の体感温度も下がるので、ウェアのレイヤリンも夏と同じでは対応出来ません。
▼テント泊の場合も注意
テント拍の場合、シュラフを夏用から適切なモデルに切り替えが必要となる季節です。
また燃料をノーマルガスからパワーガスへ切り替えるなど、ガスの対応温度にも今一度注意しなければいけません。
▼登山道の凍結に注意
朝の冷え込みで、登山道に凍結が起こることがあります。
樹林帯であれば木の根、稜線上では岩の上などが凍結していることがあるので、早朝に通行する場合は凍結によるスリップには十分に警戒しなければいけません。
▼計画には十分な余裕を持とう
日照時間が日に日に短くなるので、行動計画には十分な余裕を持たせておくことがベター。
自身の体力をしっかりと見つめて、無理な計画を立てないようにしないと、予想外の場所で日が暮れてしまうことがあります。
稜線を挟んで東側なのか西側なのか、それとも樹林帯の中なのかで日没後の漆黒が訪れるタイミングは異なりますが、日が沈むと気温も急激に下がるので、日暮れまでに安全圏に到着しておかなければいけません。
秋山になると冬はもうすぐ目の前。
低山と高山で切り替わりの時期や、変化の度合いに違いがありますので、情報をしっかりと収集しておきましょう。
注意点3「雪が降る」
上の写真は10月末の槍ヶ岳飛騨沢ルートの同じ日の写真です。
標高の低い所は紅葉が綺麗でしたが、稜線に近づくと雪が現れ始め、稜線上は完全な雪山となっていました。
標高の高い山では10月になると「いつ雪が降ってもおかしくない」と言われています。
10月上旬であれば、まだ秋山として楽しめることも十分にありますが、「いつ状況が変わるか分からない」という点は念頭においておかなければいけません。
また、高山帯で雪が降った場合、雪山装備がなければ、行動不能となるこも十分に起こり得ます。
「行きは問題なかったが、小屋で1泊して外に出ると一面銀世界に変わっていて、降りられなくなった」という話もよく聞く話です。
夏以上に天気予報に小まめにチェックしておくようにしましょう。
注意点4「落ち葉で道が不明瞭になる」
秋と言えば紅葉の季節。
山が赤く染まり綺麗ですが、それは即ち落葉が始まるという事です。
落ち葉が地面を覆い尽くして、登山を見えにくくしてしまします。
人が沢山通るルートであれば、踏み跡も沢山ついて問題はありませんが、普段から人があまり通らないルートの場合、落ち葉で覆い尽くされてどこが登山道で、どこが分岐なのかが分かりにくくなってしまします。
道迷いを防ぐ為にも、「普段から良く知っているルートを選んだり、頻繁に地形図で現在地を確認したりなど、注意を怠ってはいけません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
秋山は「半分夏山、半分冬山」。
天気が良い日は、夏のような陽気で気持ちの良い風が吹き抜けていますが、
気温が低い日は、冷たい風が吹き付けて暴風対策をしなければ、あっという間に体温を奪われてしまいます。
標高の高い山脈では、完全な冬になると深い雪に閉ざされ、非常に狭き世界へと変わってしまいます。
秋山は冬山の一歩手前。
適切な装備と最新の情報に注意し、安全に秋山登山を楽しみましょう。