「これから登山を始めてみよう」と計画したものの「いきなり全ての装備を揃えるのは難しい」という方も多いのでなないでしょうか。
(※安全面からは本来全ての登山装備を用意すべき所ではありますが...)
今回は「初心者でもお金をかけるべき装備」を3つをご紹介します。
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【登山用品】これだけはお金をかけろ「ケチってはいけない基本装備」
その1「登山靴」
靴だけは絶対に、専用の登山靴を用意して下さい。
登山は足で登るアクティビティです。
登山靴の優劣は、快適性だけではなく、上半身の安定性にも影響します。
自分にあった適切な登山靴であれば、どんなシチュエーションでも安定して歩くことができますが、
不適切な靴の場合、靴擦れなどの軽度の問題だけではなく、バランス力の欠如による転倒など、事故を誘発する危険すらあります。
本格的な登山靴は5万円前後する場合もあり、簡単に手が出しにくい装備品ではありますが、必ず適切な登山靴を購入しましょう。
ポイント1:サイズ感が重要
登山靴はサイズ感が非常に重要です!
フィッティングは妥協せず、サイズのあった専用のシューズを購入して下さい。
サイズの合っていない靴を無理をして履き続けても、馴染むという事はありません。
ヨーロッパメーカーの登山靴は高性能でカッコいいものが沢山ありますが、日本人の足は「甲高で幅広」な人も多く、残念ながら足に合わない人も一定数います。(※私もその一人です....泣)
登山靴は沢山のメーカーから出ているので、しっくりとくる登山靴と出会えるまで、20足だって試し履きをする(くらいの)つもりで探しましょう。
※フィッティングを販売員に手伝った貰う場合、「足のサイズを計ってくれるショップ」で購入しましょう。靴のサイズだけを聞いて商品を出してくるだけの店員では知識と対応方法に不安が残ります。
ポイント
数足を試し履きをしてもしっくりとこない場合、インソールを変えてみるのも方法の一つです。
明らかなにサイズや形状がが合っていない物はどうしようもありませんが、例えば「少し窮屈だけどワンサイズ上げると踵が浮いてしまう」というような時にはインソールを変えるとピッタリと足に合う時があります。
インソールは大体5,000円前後からと決して安くはありませんが、自分の足に合った靴に出会う為には仕方のない投資だと思って予算に組み込んでおく事をお勧めします。
ポイント2:靴のタイプ
本式の登山靴と言っても全てがハイカットのゴアテックスブーツという訳ではありません。
- ライトアルパインブーツ
- ハイキングシューズ
- アプローチシューズ
- トレランシューズ
などなど、様々な種類があり、それぞれに一長一短があります。
予算が許すのであれば、種類の異なるタイプの靴を2足ほど保有し、山行によって使い分ける事が最も理想的となります。
アルパインブーツ
【メリット】:ソールが硬いので、重荷を背負った状態での長時間の歩行でも足裏が疲れにくい。岩稜地帯で指先に体重を預けるような際に本領を発揮する。靴の中に水が浸水しにくい。
【デメリット】:重く、足首の可動域が狭く、ソールの厚みもあり地面の情報が伝わりにくい。一度、浸水すれば乾きにくい。
アプローチシューズ
【メリット】:ソールは薄く地面の情報を伝えやすく、フリクションの良い素材が多く、岩場で滑りにくい
【デメリット】:ソールが薄いメリットの裏返しとして、足裏の疲労が溜まりやすく重荷を背負った状態での長時間の歩行には向かない。岩稜地帯で指先に体重を預けるような姿勢も得意とはしない。岩を捉えやすいソールの為、土や泥にも弱い。靴の中に水が浸水しやすい。
トレランシューズ
【メリット】:軽量に優れ土や泥に強い。
【デメリット】:岩場には弱い、靴の中に水が浸水しやすい。
1足しか買う余裕がないのなら、コバ付きがオススメ
先述の通り、靴は夏用として1~2足の種類の違うタイプの保有が最も理想的ですが、ひとまず1足しか購入できない場合は、かかとにコバのある本格的なライトアルパインブーツの購入をお勧めします。ライトアルパインブーツは、最近流行りのローカットの軽量シューズに比べてソールも固く重いですが、その代わりに、アイゼンを装着する事ができるので、雪渓が残るルートにも対応できます。
※軽量シューズでもチェーンスパイクの装着は可能ですが、本式のアイゼンと比べて対応できる場面は限られてきます。
※最近では「ハイカットの一般的なメリットは古い幻想だ」という意見も多く見かけるようになってきました、自分自身の持論を持てるようになるまでは、やはり最初の一側はハイカット(またはミドルカット)の登山靴が良いと思います。
本格的なライトアルパインブーツが1足あれば、ハイキングから縦走、岩稜ルート、初夏の雪渓、秋の降雪直後など、本格的な雪山登山を除き基本的な全ての登山に対応できます。
これだけはダメ
間違っても、スニーカーでの代用は絶対に止めて下さい。
スニーカーと登山靴では靴底が全く違います。
・グリップ力不足で転倒をしたり、
・靴が柔らかすぎて靴擦れを起こしたり、
・ちょっとした水たまりで水が染み込んだり、
他にも色々と危険な理由がありますが、
とにかく、スニーカーでの登山は絶対に危険です。
その2「ウェア(行動着)」
行動中に着る上下のウェアは、「登山専用のウェア」の購入をお勧めします。
はっきり言って、登山のウェアは高いです。
「えっ、Tシャツ1枚でこんなにするの!?」って金額します。
しかし、専用のウェアは高い分、「吸乾性・発汗性・伸縮性」に優れており、登山中の不快感を出来る限り軽減してくれます。
不快感の軽減はとても重要です。
特に登山を始めた頃は、登るという行為自体が苦しいので、そこに加えて「全身汗だくで衣類が地肌にへばりつく」なんて状態になれば、下手をすれば登山が嫌いになってしまいます。
不快なだけではなく、汗冷えは低体温症へと繋がる危険性があるという事を忘れてはいけません。
(※綿のシャツなどは汗冷え確定なので、絶対にやめて下さい。)
因みに、私が初めて購入したウェアは、シャツが定価1.5万円、パンツが定価2万円と結構な高額な品でしたが、購入してから6年間使用する事が出来ました。
▼シャツを選ぶポイント
【ポイント1:ストレッチ性】
ウェア選びにおいて「ストレッチ性」は非常に重要です。
衣類のツッパリの不快感というのは蓄積すると疲労へと変わって行くので、岩登りなどのハードユースは勿論ですが、ハイキング用だとしてもストレッチ性は重視することをお勧めします。
【ポイント2:通気性】
脇や背中などの特に発汗の多いところにはメッシュ生地を取り入れているモデルが特にオススメ。
- 夏は熱中症対策
- 秋は汗冷え防止
尚、これは夏用ではなく長袖などの3シーズン用の場合でも通気性は重要です。
通気性は大切ですが「全体がメッシュ生地になっているタイプ」や「あまりにも生地が薄いタイプ」だと枝に引っかかると直ぐに破れてしまうので要注意。
【ポイント3:首元ファスナーモデル】
個人的には襟元にファスナーが付いているモデルがおすすめ。
その理由は通常の丸首モデルに比べて、温度調整の幅が大きいという事です。
ファスナーを全て閉じれば暖かく、開ければ涼しいです。
アンダーウェアも候補に
「ミレードライナミックメッシュ」などのアンダーウェアの併用をすると、発汗性を更に高めてくれるので、特にオススメ。
アンダーウェアは、真夏から真冬まで通年使えます。
アンダーウェアは、サイズ感はピッタリでないと効果があまりありませんので、ご注意。
※因みに、夏にアンダーウェアを着ると一瞬暑いように思いますが、アンダーウェアによりウェアと地肌の間に空気の層が生まれることで、大量に汗をかいても衣類と地肌がくっつくという事が起こらず、身体の熱を適切に排出してくれるので、結果的に快適に過ごす事が出来ます。
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▼パンツを選ぶポイント
【ポイント1:ストレッチ性】
シャツと同じで、パンツも伸縮性が高いものがオススメ。
山に登っている間に、一体何回足を上げ下げするのでしょうか。毎回毎回大きく足を上げるわけではありませんが、僅かなツッパリでも"チリも積もれば山となる"ですね。
【ポイント2:軽量性】
登山は足で登るものです。ですので足に纏うウェアは軽いに越した事はありません。
なんでもかんでも軽ければ良いというものでもなく、軽量パンツの中でも「ハイキング向け」「トレラン向け」「アルパイン向け」など種類があるので、自分が使うアクティビティに適したモデルと選ぶと良いでしょう。
【ポイント3:耐久性】
膝や臀部など摩擦が多く発生する箇所は、2重構造など耐摩耗性に配慮がされていると、岩場などでの安心感は勿論ですが、通常の登山でも倒木を潜る際に膝をついて抜けるような場面もあるので、意外とパンツの耐久性は重視した方が良いです。
耐久性に優れたモデルは若干値段が高い事がありますが、結果的に長い間使用することが出来ます。
【ポイント4:ベルト不要タイプ】
個人的にはベルト無しで履けるタイプがオススメです。(ベルトがあるとザックのウエストベルトと干渉して痛い場合があります。)
解説
≪一般的なスポーツウェアでの代用は良くないのか?≫
一般的なスポーツウェア・トレーニーウェアも、発汗性や伸縮性に優れている物が多く、価格的には登山用品よりも安価なものも多数販売員されています。しかし、背中にザックという荷物を背負い続けての長時間歩行、大きな足上げ、岩や木々との接触、気温の変化など、登山特有の環境下での用すると考えた時には、やはり専門のウェアに分があると感じています。
【既にスポーツウェアがある場合】
既存のウェアで、まずは夏の低山ハイキングなどに出掛けてみて、使用してみた上でどのような機能が欲しいかを実際に肌で感じると良いでしょう。(※綿やそれに準ずる素材を使っていない事が前提です。)
【まだ何も持っていない場合】
上述の通り、登山においては登山ブランドの使用を推奨します。monttbelなど比較的価格の安い登山ブランドもあるので、新規で購入するのであれば、専門品の購入が良いでしょう。
尚、「ワークマン」を登山ウェアとして購入するのは辞めた方が良いです。私自身ワークマンのウェアを数着きたことがありますが、登山で使うレベルでは無いと感じました。
その3「ヘッドライト」
ヘッドライトは、必ず登山用品を購入して下さい。
(※間違ってもホームセンターの安物はいけません。)
ヘッドライトも、登山靴やウェアと同様に高いです...。
登山を始めたての頃は、夜明け前からの行動や日が暮れてからの行動はあまりないはずなので、ヘッドライトを使う機会は殆ど無く、高価なモデルを購入するのを躊躇うことでしょう。
しかし、大切なポイントが2つあります。
緊急時
人間は暗闇では何も見えません。
何も見えなければ行動不能となることは勿論ですが、光量の弱いヘッドライトでは、道迷いの誘発や不安によりパニックを引き起こし、ビバークすらできないでしょう。
緊急時の光量の大小はそのまま「安心・安全」へと直結します。
頼れる相棒
登山に少し慣れてくると、日の出前からの行動も多くなってきます。
また、テント泊を始めればテント内での明りとして使用する事にもなり、ヘッドライトの使用頻度は当初想定していたよりも、ずっと多い物となります。
そうなってくると、光量、バッテリー量、重量など、ヘッドライトに求めるスペックは意外と高いものになります。
そして、ヘッドライト選びで大切なポイントは、長く使える適切なモデルを選ぶという事です。
選び方を間違えると、後々買い替える羽目となり痛い出費となってしまいます。
▼選ぶ際のポイント
軽量性
頭に装着する装備なので、軽い方が断然"楽"です。
岩稜登山や雪山登山を始めると、「ヘルメット」との併用も出てくるので、尚更軽い方がいいです。
光量が強くとも、重いものだと首や頭に負担がかかり、疲労が蓄積してしまいます。
重量は100gを切るくらいの方が良いでしょう。
光量
ヘッドライトの光量は明るいに越した事はありません。
これまでの経験的に、「最大光量450ルーメン」はあった方が良いです。
※これ以上明るいと、バッテリーの持続性が低くなったり、重たくなったりするので、このくらいが丁度良いと思います。
バッテリーの持続性
いくら明るくても、バッテリーの持ちが悪ければ意味がありません。
個人的にはバッテリーと単四電池のどちらも使える併用可能なタイプがオススメです。
電池のみ対応の場合、電池の残量が分からず交換をケチってしまって、いざという時に電池切れを起こす事があります。(予備電池は必ず持ちます。)
▼実際に使用しているヘッドライト
ペツル・アクティックコア
Amazonはこちら:https://amzn.to/45gzUPr
逆にいきなり高価な物を買う必要がないもの
レインウェア
「レインウェア」は高価である必要はない。
この理由ですが、
- 防水透湿素材であるゴアテックスなどは5年以上経過すると、生地が劣化し本来のパフォーマンスを発揮しなくなる。
- どれだけ高価なモデルを購入しても、ある程度は蒸れる。
- 雨の日は基本的に山に行かない場合、レインウェアの出番は予想以上に少ない。
使わなくても生地の劣化は進んでしまうので、高価なウェアを買っても「あまり使わない内に買い替える時期が来た」ということも起こりえます。
最初の1着は安価なモデルを選択し、2着目を購入するときに自身のこだわり品を購入するのをおすすめします。
「高価である必要がない」と言っても、登山用であることは必須条件となります。
ビニールの雨カッパなんて論外です。全く汗を排出しないので、全身汗だくになって、低体温症になります。
備考
レインウェアは風が強い時のシェル(ウィンドブレーカー)として使用する事が良くあります。
通年山に登る場合や、3,000m級の高山にも積極的に登る場合、レインウェアにお金を掛ける事も視野に入れると良いでしょう。
▼実際に使用しているレインウェア
因みに私はMAMMUTのCLIMATE Rain Suitを使用しています。
詳しいレビューは以下の記事で紹介しています。
まとめ
今後やっていきたいのが、「登山」なのか「ハイキング」なのか
登山として山に入るのであれば、装備はしっかりとした専用の装備品を揃えるべきでしょう。
それは、基本的に低山でも高山でも同じことです。
登山の用品はどれも高価で、一度購入すれば、簡単に買い直す事はできません。
今後の進みたい方向を視野に入れて選ぶ事が理想ですが、そこまで明確に分からない場合は、汎用性の高いものを選ぶようにしましょう。
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