体験談&注意点 山のあれこれ

【登山歴8年】雪山での〝危険な体験〟ベスト4

初冬・槍ヶ岳(テント泊)新穂高~飛騨沢

登山を始めて約8年が経ち、それなりに多くの山に登って来ました。

今回は、登山歴8年の中で、雪山での「やばかった!!」という山行を3つご紹介します。

【登山歴8年】雪山での〝危険な体験〟ベスト4

第4位:「突風で身体が...」in 厳冬期 南八ヶ岳 縦走

厳冬の南八ヶ岳

それは2020年の1月に南八ヶ岳を縦走した時のことです。

この山行では、1日目に美濃戸から行者小屋で幕営し、2日目に赤岳に登頂し、そこから横岳を経由して硫黄岳まで縦走するという計画でした。

 

 

2020.02八ヶ岳

夜明け前の文三郎尾根

2日目は夜明け前から出発し、文三郎尾根を登って行きました。

急な登りが続きますが2734mの稜線への乗越までは足下も安定しており、落ち着いて登れば問題はありませんでした。

 

そこから先は鎖場が連続する難所となり、強風が吹き荒れていることで有名で、場所によっては足下は完全なアイスバーンとなっています。

鎖が見え隠れする急斜面を登っていき、もう少しで赤岳の山頂に着くというところまで辿り着きました。

段々と視界が開き始めたその時・・・。

 

突如目の前から突風が吹き付けてきました。後ろを歩いていた妻の身体は突風の影響をモロに受けて、上半身が大きく反り返りました。

(※例えるなら、マトリックスの有名なシーンの様な感じです。)

瞬時に手を伸ばして近くの岩を掴んだことと、アイゼンの刃が雪面をしっかりと捉えていた事で、直ぐに体制を立て直せたので事なきを得ましたが、反応が少し遅れていれば間違いなく滑落していたことでしょう。

場所は赤岳の直下で最も急斜面となっている所で、滑落すればタダでは済まない所です。

 

 

急登の終わりが見えて気が緩んでいたのだとは思いますが、地形的に突如突風が吹くことは想定できた筈の出来事でした。

 

 

 

第3位:「急斜面での幕営」in 残雪期 槍ヶ岳 中崎尾根

2019.05槍ヶ岳中崎尾根017

これは2019年の5月に中崎尾根から槍ヶ岳に登頂した時の出来事です。

1日目に新穂高から入山し槍平小屋から中崎尾根に取り付き、その日の内に2350m地点のテント適地に幕営する計画でした。

 

しかし、中崎尾根への取り付きには想像以上に苦戦を強いられ遅れが生じてしまい、その上、中崎尾根に上がる直前にルート取りを誤り奥丸山の方向へと外れてしまいました。

この時点で日没までタイムリミットが迫っており、今見えている夕日が沈めば一気に暗闇になるという正に瀬戸際の状態で、視界の効く間に幕営場所を決めなければいけませんでした。

 

2019.05槍ヶ岳中崎尾根018

写真は翌朝に撮影

これ以上進む事は危険と判断し、奥丸山の直下の僅かな場所を切り崩し、テントが張れるだけの最小限のスペースを確保しました。

とは言え、急斜面で最小限のスペースを確保しただけなので、トイレを含むテント外での作業はほぼ不可能な状態でした。写真で見るとテントの左側に十分なスペースがあるように見えますが、実際には全然ありません。

 

今となっては思い出の一つですが、その当時はなかなかに厳しい一夜でした。

 

 

 

第2位:「冬の洗礼」in 初冬 槍ヶ岳

初冬・槍ヶ岳(テント泊)新穂高~飛騨沢

それは2019年の10月末の槍ヶ岳で起こりました。

 

この山行では初冬の槍ヶ岳を飛騨沢から1泊2日で登るという計画でした。

1日目の内に槍ヶ岳山荘のテント場まで登り上げる予定で、順調に標高を上げて行きました。

 

 

初冬・槍ヶ岳(テント泊)新穂高~飛騨沢

ところが千丈分岐を過ぎて少し行った所でトラブルを起こしてしまい、大幅なペースダウンとなってしまいました。

この時点で日没までにテント場に上がれるかギリギリの時刻となっていました。槍平への撤退を含めて考えましたが、暗闇の中の下降よりも上がり切る方が安全だと判断し、上を目指すことにしました。

飛騨乗越を視野に捉えあと10分という所で日が完全に沈んでしまいました。

気がつけば足元は強烈なアイスバーンとなっており、飛騨乗越は凄まじい強風が吹き荒れており、真っ直ぐ歩くことができないほどでした。

 

 

初冬・槍ヶ岳(テント泊)新穂高~飛騨沢

凄まじい強風が吹き荒れる暗闇の中、雪が積もったテント場を彷徨い、風が凌げる場所を必死に探しました。

僅かに風を凌げる場所を見つけてテントの設営に取り掛かりましたが、凄まじい強風に2人がかりでも相当な苦戦を強いられたのを今でも覚えています。

正に命からがらテントに逃げ込み無事に一夜を過ごすことが出来ました。

 

初冬・槍ヶ岳(テント泊)新穂高~飛騨沢

翌日、早朝にテントを撤収し、雪のついたガチゴチの穂先に無事に登頂することができましたが、ここからが本当の試練でした。

テント場から眺めた大喰岳の上空に怪しい雲(レンズ雲?)が見えていましたが、嫌な予感はまたしても的中しました。

 

初冬・槍ヶ岳(テント泊)新穂高~飛騨沢

飛騨沢を降り始めて程なくして濃いガスが湧き始め、あっという間に視界は完全なゼロへと変わりました。

時間としては1分もなかったように思います。

※上記の写真は撮影後に編集にて補正をかけていますが、実際の視界はもっと悪かったです。

 

GPSと既存の赤旗のお陰で冷静にホワイトアウトを抜ける事ができましたが、赤旗がなければ下降は相当厳しいものとなっていた事でしょう。

 

これらは、10月末の出来事で時期としてはまだ山荘が営業している時期の出来事です。

小屋が空いていても10月末はもう完全な冬の世界です。

絶対に安易な気持ちで入山してはいけません。

 

 

 

第1位:「雪庇の下に入り込む」in 厳冬期 涸沢岳 西尾根

厳冬期 奥穂高岳(涸沢岳西尾根)2022年1月

これは2022年の1月に涸沢岳西尾根から涸沢岳に登った時の出来事です。

 

日の出と同時に森林限界を超える計画でしたが、既存のトレースに助けられて、予定よりも早く蒲田富士の直下へと到着しました。

そこへ先行者であったと思われる登山者が下山していきました。

※その後、この登山者が引き返してきた理由を知ることとなります。

辺りはまだまだ漆黒の世界で明るくなるまでは、まだしばらくかかりそうという事で、そのまま進むことにしました。

漆黒の中、トレースとルートを確認しながら進んでいるうちに日が登り、視界が開けるようになってきた時に異変に気が付きました。

 

厳冬期 奥穂高岳(涸沢岳西尾根)2022年1月

視界の左上に雪庇がある!?

漆黒の中歩いたせいでルートミスをして蒲田富士の雪庇帯の南側の斜面を進んでいたようです。

今思い出してもぞっとします。

  • 漆黒とは言え、左側に背丈よりも高い雪があるのに気が付かなかったのか?
  • 他人のトレースは信用するなってのは常識だろ
  • 夜間行動をするからこういうことになる

という疑問や反省は今でもあります。

ですが、言い訳ではなく、行動中には「気が付かない」から怖いのです。

 

 

 

番外編:アプローチが意外な落とし穴 in 一般道

私はジムニーJB64に乗っており、勿論冬はスタッドレスタイヤを履かせています。

ジムニーは4WDで雪道での走りにも定評がある車ですが、油断は禁物です。これまで3回ヤバかった事があります。

▼1回目

3月に高山から新穂高へと車を走らせていた時、平湯の少し手前の山道で、スピードをあまり落とさずにカーブに入ってしまい見事にスピンしました。

幸い対向車もなく事なきを得ましたが、他の車があった場合大惨事になっていた事でしょう。

 

▼2回目

1月に東海北陸道自動車道を走っていた時に、日本一標高の高いSAとして有名な「ひるがの高原」を通過しようとした時でした。

突如、車がゆらゆらと横揺れ(?)を起こし、車が滑っていることに気がつきました。

幸いすぐにハンドルを立て直すことに成功し、事なきを得ましたが、丁度、「ひるがの高原SA」からの侵入してくる車もある所だったので、かなり焦りました。

雪道&高速道路なので、最大限に気をつけていたつもりでしたが、認識が甘かったようです。

 

▼3回目

こちらも1月の東海北陸道自動車道を名古屋方向から高山方向へと走っていた時の出来事です。郡上八幡を過ぎたあたりから雪が降り始め白鳥、高鷲と進むにつれて猛吹雪になっていきました。

ひるがの高原サービスエリアで一度止まるべきでしたが、天気図でもしばらくは雪が止むことはなさそうであった為、そのまま止まらずに抜け切ることを選びましたが、凄まじい猛吹雪で視界が悪くホワイトアウト寸前とも言えるほどでした。

その後、中部循環道→高山市内→平湯峠→新穂高と全ての区間で猛吹雪で、無事に登山口へと到着しましたが、心身ともに非常に消耗しましtあ。

 

 

山の中も勿論危険で満ち溢れていますが、そこに至るまでの道中においても決して油断してはいけません。

 

 

 

まとめ

初冬・槍ヶ岳(テント泊)新穂高~飛騨沢

それこそ、今となっては「笑って話せる思い出」ですが、大分危ない事をしていたと反省しています。

今回の4つはどれも「計画性の甘さ」「認識不足」などに起因するものが多く、防げていた筈の出来事です。

 

もうすぐ本格的な冬の訪れとなり、雪山登山をされる方にとってはこれからシーズンインとなる人も多い事でしょう。

改めて気持ちを入れ替えて事故のないように気をつけて行きましょう。

 

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