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【解説】家族と一緒に登山に行く際の注意点

普段山に登らない家族にも「山の素晴らしさを分かって欲しい」という思っている人もいるのではないでしょうか?

今回は、自身の経験から家族を山に連れて行く際の注意点をご解説していきたいと思います。

 

【解説】家族と一緒に登山に行く際の注意点

家族と行く山の選び方

家族と山に登る事になった場合、考えないといけないのが「どの山に登るのか」ということです。

当然ですが、普段自分が登山に出掛けるのと同じ基準で選んではいけません。

同行する家族の事を最優先に考えた上で、自身の経験をもとに山選びを行わなければいけません。

 

山選びの基準を見ていきましょう。

 

自分自身がその山やルートを熟知している

比良山系 北小松2022年11月_1024

全くの初心者を連れて山を登るというのは、想像以上に難しく、一人で歩くよりも圧倒的に危険を伴います。

 

例えば山の中でトラブルが発生した際に、

自分一人であれば、そこそこ危険な状態でも脱出できる場合がありますが、

初心者を連れている場合、ほんの些細なトラブルでも命取りとなる場合があります。

 

その為、初心者を連れて山に入る場合は、絶対にトラブルを起こしてはいけないのです。

勿論、山の中に"絶対"はないので、可能な限りリスクを回避する事が求められます。

 

 

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その為には、自分自身がその山の詳細を熟知し、事前に危険個所を把握している事が山選びの大前提となります。

  • コースタイム
  • ルートの詳細
  • 山の地形
  • 登山道の状況
  • 段差などの危険個所

例えば、小さなザレバがあった場合、経験者であれば、呼吸をするのと同じくらいの感覚で登り下りできても、未経験者はコケるかもしれません。

 

「これくらいは大丈夫でしょ」は通用しません。

 

 

 

家族の体力で120%歩ける

登山未経験者にとっての山登りは、滅茶苦茶辛いという事を念頭に置いておきましょう。

 

参加者の体力度合いによっては、アプローチの時点で相当疲れてしまう可能性もあります。

 

登山は山頂でやっと折り返しです。

 

初心者にとっての下山の道のりは果てしなく長いので、連れて行く家族の体力レベルを把握し、絶対に登って下りてこれるレベルの山を選ぶようにしましょう。

 

ポイント

槍穂高完全縦走1日目(西穂~ジャンダルム~奥穂)

ロープウェイの利用も登山の一つ

普段から運動習慣が全くない人であれば、往復2時間以内の緩やかな登山道の山や、ロープウェイなどの人工物でのアプローチが可能な山も候補に入れておきましょう。

 

初心者でも面白さを実感できる山

比良山系 八雲ヶ原

家族を山に連れて行く場合、"面白い"と思って貰えなければ意味がありません。

間違っても自己満足に浸る山選びをしてはいけません。

 

初心者が面白いと感じるポイントは様々です。

 

▼インドアの人には軽トレッキング

普段、インドア派で身体を動かす習慣のない人からすれば、上り坂は地獄と化すので、傾斜が比較的平坦な軽トレッキングの方が良いでしょう。

 

▼体力に自身のある人にはエキサイティング(風)を

比良山系釈迦岳大津ワンゲル道2022年8月

逆に、好奇心旺盛で体力にも少し余裕がある人であれば、適度に岩登り(風)があり、ちょぴり刺激的で非日常を味わえる方が楽しいと感じるかもしれません。

この様な場合には、安全面にばかり気を取られて、何の変哲もない単調な山を選んでも、面白くも何ともありません。

 

▼山頂からの景色は必須

山頂からの景色というのは、苦労して登ったという実感を与えてくれる大切なポイントなので、山頂からの景色は必須と考えておきましょう。

間違っても、山頂が木々に囲まれていて展望ゼロ とかの山は止めておいた方がよいです。

 

 

登山者のレベルを把握した上で、登山者の趣味嗜好を考慮して最善の山を選びましょう。

 

 

 

注意点

槍穂高完全縦走1日目(西穂~ジャンダルム~奥穂)

それでは、次は家族などの初心者を山に連れていく上で、特に中止しなければならないポイントを解説していきます。

 

山頂を目的にしない

比良山系釈迦岳大津ワンゲル道2022年8月

山登りに来ているのだから山頂を目指すのは当然ですが、この考えを家族登山に持ち込んではいけません。

 

本来の目的を忘れない

  • 山登りという時間の中で、家族の親睦を深める。
  • 山の楽しさを体感して貰う。
  • 非日常で楽しんで貰う。

本来の趣旨を忘れてはいけません。

 

山の中腹でコーヒータイムやカップラーメンを食べる時間を入れたり、

植物の紹介をしたり、

バードウォッチングをしたり、

 

登るという事以外の楽しさを適度に盛り込み、登るという辛さが全てにならないように配慮しましょう。

 

 

同行者の種類による潜在的なリスクを把握する

誰と山に行くのかによって、潜在的なリスクというのが変わってきます。

  • 同年代のパートナー
    →意見の衝突による喧嘩
  • 両親などの高齢者
    →筋力やバランス力の低下による転倒
  • 子供
    →予測不能な突発的な行動による事故
  • 持病の有無
    標高や気圧の変化による体調変化

 

本来であれば、これらの問題は登山者自身が管理するものですが、未経験者にとっては「自分が山の中でどうなるか」というのは全く想像が付かないので、引率する人が責任を持って管理しなければいけません。

 

想定されるリスクを回避する為に、一緒に山に登る人の年齢による特徴や身体の状態をしっかりと把握しておきましょう。

 

 

同行者は初心者"以下"である事を忘れない

比良山系北部縦走・テント泊(蛇谷ヶ峰~武奈ヶ岳)

一緒に山に登る参加者は、登山初心者ですらなく、素人であるという事を忘れてはいけません。

このくらい"常識"という概念は忘れましょう。

 

登山素人が知らない意外なポイント

  • 綿の服装がNGであること。
  • 夏はタオルがいること。
  • 歩行スピード
  • 水や食事の量

 

「これくらい常識でしょ~」は絶対ダメです。

準備を含めて、しっかりとエスコートしてあげましょう。

 

 

荷物を全部持ってあげるのはダメ

「せっかく山に来てくれているのだから、荷物くらいは持ってあげるよ」と優しくしてあげるのは良い事ですが、全部を持ってあげるのは良くありません。

 

山の中は何が起こるか分かりません。

もしも、離れ離れになった状態で予想外の事が起こったら?

何も装備を持っていないと対応の仕様がありませんね。

 

最低限の装備は同行者が持っていなければいけません。

自分で持つべき最低限の装備

  • 最低限の水
  • 非常食
  • ツェルトなどの緊急用品
  • スマートフォン

 

可能であれば、同行者に所持させている装備品の意味や使い方や、緊急時の対処法についても説明をしておくと尚安心です。

 

 

装備の選定は責任を持って行う

MAMMUT レインウェア CLIMATE Rain -Suit AF

難しいのが、同行者の装備をどこまで充実させるかという点です。

 

理想は山に入る全ての者が専用の登山装備を身に着けている事が望ましいですが、「1日だけ登山をする」という人が全てを買い揃えるのは現実的ではありません。

 

理想と現実(妥協点)

▼登山ウェア(上下)と下着

  • 化繊で発汗性に優れたものであれば、ランニングやトレーニングウェアでも代用可能。

▼登山靴

  • スニーカーの中でも、ソールの凹凸が深いものであれば、代用可能。

 

どこまでの事を求めるのかは、引率者の判断に求められます。

 

また、当然ですが参加者が持っていない装備に関しては、引率者がその分をカバーしなければいけません。

これはらは、リスク管理にも関係する問題ですので、参加者の装備の選定が出来ないようであれば、初心者を連れての登山は止めた方が良いでしょう。

 

 

絶対に別行動をしてはいけない

これは初心者に限った話ではありませんが、特に家族などの未経験者を連れて山に入る場合は、絶対に別行動をしてはいけません。

 

実際に起こりそうなケースをご紹介します。

 

例:「ちょっと景色を見てくる」

山頂の手前や、綺麗な景色が見えるポイントに到着しました。

一緒に来ていた家族は「私はもう疲れたから、貴方だけ行ってらっしゃい。私はここで休んでいるから」と言いました。

そこには丁度良い休憩スペースがあり、安全地帯だったので、家族はそこで待たせておいて自分だけ山頂に行ってきた。

 

はい、これ駄目です。

 

▼NGな理由1:大人しく待っているとは限らない

残された家族がそこにずっと大人しく待っているとは限りません。

  • ちょっとトイレ

  • ちょっと景色を見に行く

  • 別行動をした人を追いかける

などなど、突発的な行動を取らないとはいえません。

山の知識ゼロの素人が山の中で突発的な行動をしたら、事故を誘発しかねません。

▼NGな理由2:貴方が無事に戻ってくるとは限らない

「ここで待っていてくれ、すぐ戻ってくる」

映画やドラマだったら、このセリフ○亡フラグですよね。

家族が大人しく待っていたとしても、貴方が無事に戻ってくるという保証はありますか?

貴方が事故を起こせば貴方自身もですが、山の中で貴方の戻りを待っている家族は、一体どうなるのでしょうか?

 

 

極端に言えば、「トイレ」の場合も、注意が必要です。安全に出来る場所を探し、離れ過ぎないようにしなければいけません。

 

 

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

普段一緒に過ごす家族と山に登るというのは素晴らしい事ですが、それと同じくらいリスク管理に努めなければいけません。

 

是非、皆さんの登山の際の参考にしてみて下さいね。

では、またお会いしましょう。

 

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