皆さん、登山での電池は何をお使いでしょうか。通常の乾電池を山で使っていたら「直ぐに電池が切れた」なんて経験はおありではないでしょうか。
通常の乾電池は対応温度の幅が少ないので、気温が低くなる登山での使用には向いていません。
私は登山では充電式の電池「エネループプロ」を使用していますので、今回はこちらをご紹介して行きたいと思います。
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ニッケル水素電池「エネループプロ」の紹介
エネループは、Panasonicから出されているニッケル水素電池で、繰り返し使用可能な充電式で、大容量であることが特徴です。
種類は、エネループライト、エネループ、エネループプロと3種類展開されていますが、登山やスキーなどのアウトレットドアアクティビティや写真撮影等で使用する場合は、大容量であるエネループプロがお勧めです。
この記事ではエネループプロを基準に紹介しています。
「エネループPRO ハイエンドモデル」 のスペックを「一般的な乾電池」と比較しながら、ご紹介します。
電池の種類 | 一般的な電池 | アルカリ電池 |
エネループPRO | ニッケル水素電池 | |
容量 | 一般的な電池 | 1250mAh |
エネループPRO | 2500mAh | |
重量 | 一般的な電池 | 24g |
エネループPRO | 30g | |
使用回数 | 一般的な電池 | 使い捨て |
エネループPRO | 約150回(現行JIS規格) | |
使用可能温度 | 一般的な電池 | 5℃~45 |
エネループPRO | -20℃~50℃ |
という感じで、ポイントを抑えるとこんな感じです。
- 充電式で何回も繰り返し使用可能
- 大容量で電池切れの心配なし
- 寒い所でも性能が落ちない
重量が若干重たくはなりますが、容量が倍近くありますので、電池の持ちが非常に高いので、トータルの重量を抑える事に繋がります。
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ハイエンドモデルなどの大容量モデルを購入する場合、充電にかかる時間も長い為、多少高くても急速充電器を購入されることをお勧めします。
実際に使用した感想・レビュー
メリット1:寒さに強く低温化での「電池の持ち」が良い
「ニッケル水素電池は寒さに強い」
これが、エネループプロなどの充電式の電池を登山で使用する最大のメリットの一つだと思います。
大容量である事も勿論、非常に大きなアドバンテージではありますが、低温下に強いというのは非常に重要なポイントです。
上記の表でも紹介しましたが、一般的な乾電池の対応温度が5℃~45となっており、山の中の5度以下で能力低下になると使用できる場面は物凄く限られてしまいます。
それに対してエネループプロは-20度~50度となっており、雪山登山という過酷な環境下でも安心して使用する事が出来ます。
特に、ヘッドライトやGPSなどの長時間に渡って使用する電子機器の場合、電池の持ちは非常に重要なポイントとなります。
▼実測値をご紹介
実際にどのくらい電池の持ちが良いのかをご紹介します。
私は、GPS専用端末の「Garmin Map 64S」でエネルプーププロを実際に使用しています。
テスト環境1
- 計測場所:槍ヶ岳(飛騨沢)/12月
- 計測温度:-10度
- 計測時間:10時間~15時間
幕営地である槍平小屋(標高2,000m)から飛騨沢(2646m)地点までの往復10時間の行動でGPSを起動させていました。
バッテリー100%の状態で出発して、-10度前後の環境で10時間行動してテントに戻ってきた時でバッテリーの残量は75%以上でした。
その後、バッテリーの持続性を計測する為に、下山日もGPSを起動させておきました。
下山時間は5時間ほどで、GPSの総使用時間15時間でバッテリーの残量は50%以上でした。
テスト環境2
- 計測場所:西穂高岳(西尾根)/1月
- 計測温度:-12度
- 計測時間:13時間
幕営地である西穂西尾根(標高2,300m)から第二岩峰手前(2740m)地点まで登り、その後新穂高まで下山し、累計13時間の行動でGPSを起動させていました。
バッテリー100%の状態で出発して、-12度前後の環境で13時間でバッテリーの残量は75%以上でした。
※バッテリー表記は4本バーで表示されています。
※GPSの画面のスリープモードは最短、明るさは一番暗い状態、ログの記録間隔は"標準"です。
※計測中はハーネスのギアラックにぶら下げており、露出している状態です。
実際に使用している経験からも、エネループプロは低温化においても、
電池の持ちが非常に良いと言えます。
これまで同じ環境でアルカリ乾電池を使用していた時は、短い時は夕方には電池がなくなっていたので、途中で電池交換が必要でした。
これはGPSに限らず、ヘッドライトでも同じ事が言えます。
GPSの場合、
GPSを本当に必要とする時は緊急時ですが、バッテリーが少なくなると画面のバックライトが使えなくなりますが、こうなると滅茶苦茶見にくいですし、日没後とはか全く見えません。
ヘッドライトの場合、
こちらも同じように、ヘッドライトを使用する場所は当然暗い場所ですが、そこで電池がなくなったら、、、、
どちらも、電池を交換すれば済むことですが、緊急時や暗い中での行動というのは、ミスを誘発しやすく極力避けるべきことです。
とにかく、過酷な環境下で1日バッテリーが持つというのは非常に大きなアドバンテージです。
高い金を払う価値は十分にあります。
メリット2:コストパフォーマンス+α
エネループプロもそうですが、これらの充電式の電池は高いです。
その為、「安い使い捨ての乾電池」と「高い充電電池」どっちを買うか迷うと思います。
一番最初に考える事と言えばコストパフォーマンスについてでしょう。
「充電電池の価格」÷「使い捨て電池の価格」=元が取れる回数
という計算式で購入するべきか考えている人も多いと思います。
使い捨て電池が大体30円(1本)で、エネループプロ400円(1本)くらいなので、
充電器3,000円+充電池1600円(4本)÷使い捨て120円(4本)=38回
そうなると、
「38回でやっと元が取れるのか。回収できるのが大分先になるから、わざわざ高い金払うのは辞めておこう」
となるでしょう。
ただ、ちょっと待って下さい。
登山で使用するという背景から言うと、
充電式の電池を使う主なメリットは繰り返し使えるポイントだけではありません。
考えるべきポイントは、常に電池を満タンの状態で使用できるという点にあります。
通常の乾電池の場合、少しでも使用すれば電池は減ります。そして、計測器を持っていなければ、どれくらいの電力が残っているのかは分かりません。
通常の乾電池の場合、
- まだまだ残っているのに、新しい電池に交換したり...
- 勿体ないからと古いままの電池を使用したら、直ぐになくなったり...
といった煩わしさに悩まされますが、充電式のエネループプロであれば、毎回充電式さえ行っていれば、その様な心配はいりません。
登山はリスク管理を楽しむアクティビティでもあります。
Q&A
軽量化に繋がりますか?
改めてスペックを再確認しておきましょう。
エネループPRO
エネループPRO 単3形「ハイエンドモデル」 BK-3HCD/4C
- 電池:ニッケル水素電池
- 容量:2500mAh
- 重量:30g
アルカリ電池
アルカリ 単3形「使い捨て」
- 電池:アルカリ
- 容量:1250mAh
- 重量:24g
アルカリ電池に関しては、一般的な平均値となります。
重量面では、充電式の電池の方が重たくなりますが、バッテリーの容量が倍となるので、予備電池の本数を少なくすることができます。
アルカリ乾電池を2本3セットの合計が132g
充電式電池を2本2セットの合計が120g
とは言え、予備電池を1セット少なくした程度では12gほどしか軽くなっていないので、軽量化としてはあまり期待できません。
しかし、
軽量化の秘訣は「塵も積もれば山となる」ですので、GPS・カメラ・ヘッドライトなど数種類の電子機器を山に持って行っている場合は、軽量化に期待できるでしょう。
エネルプープとエボルタのどちらが良いか?
エボルタは買っていませんが、私も迷いました。
詳しい話を割愛しますと、どちらを買っても同じです。
エボルタとエネループの違い
- 容量はほとんど同じ
- 繰り返し回数はエネループの方が多い
- エボルタのハイエンドモデルは生産終了
と言う理由から、私はエネルプーププロを買いました。
グレードはどれを選ぶべきか?
充電電池のエネループやエボルタには、スタンダードモデルとハイエンドモデルの2種類のモデルがあります。
エボルタエネループの違い
- アルカリ:1,250mAh(24g)
- スタンダード:1,950mAh(24g)
- ハイエンド:2,500mAh(30g)
容量が増えるほど、重量と価格は上がっていきます。
結論的には、予算が許すのであればハイエンドモデルを購入しておけば間違いがありません。
(登山という観点から見れば、ハイエンドモデル一択と言えます。スタンダートの容量では通常のアルカリ電池との差別化が殆ど出来ていません。)
まとめ
「充電式電池を購入するかどうか」を決めるポイントは、価格や重量などの数値的な性能だけではなく、
充電式電池の特徴が登山でどのように活かせるかを、自分自身の山行スタイルから考えるのが妥当だと思います。
充電タイプがおすすめの人
- 毎週登山に出かける
ランニングコストの回収が早く、電池の買い忘れを防げる
- 雪山登山を行う
低温化で使用するならメリット大
- 積極的な夜間登山を行う
使用時間が長いならメリット大
- 光量の大きなヘッドライトを使う
大容量タイプで光量を節約する必要なし
シビアな山行になればなるほど、「途中の電池の交換」は非常に面倒であり、危険を伴う作業です。
これを解決する為に、「容量が大きく尚且つ、低温下に強い電池を購入する」と言うのが登山における充電式の電池の最大の利点だと言えます。
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