2022年の雪山第一弾は、「槍ヶ岳 飛騨沢ルート」へ行ってきました。
雪が少ないと言われていましたが、直前に纏まった降雪があった様で、終始ラッセルとなりました。
【山行記録】槍ヶ岳 飛騨沢でラッセル三昧/2022年12月9日〜11日
ルート
2022年12月9日〜11日
1日目:新穂高〜白出沢〜滝谷〜槍平小屋
2日目:槍平小屋〜2646m(敗退)〜槍平小屋
3日目:槍平小屋〜滝谷〜白出沢〜新穂高
アクセス
通年12月からは新穂高「登山センター」前の県営駐車場が利用できるはずですが、12月9日~11日時点はまだ開放されておらず、深山荘方面の無料駐車場(P5)の利用が必要となっていました。
今後、開放される可能性があるので、最新の情報は新穂高登山センターへ確認をお願いします。
※12月9日時点で既に道路の一部は凍結等が発生しています。冬用タイヤを装着が必須となっています。
天気
1日目:快晴!
2日目:快晴!
3日目:雪
登山道の積雪状況・危険箇所
■新穂高〜右俣林道〜白出沢
- 林道開始早々に積雪があり、凍結も混ざっており歩きにくい。
■白出沢〜滝谷
-
夏道の上に薄らと雪が積もっており、滑りやすい。地面の状態が分かりにくいので、非常に歩きにくい。
■滝谷〜槍平小屋
-
滝谷以降、積雪が増え始め、膝下の積雪となるが、まだ夏道が使用可能。
■槍平小屋〜千丈分岐〜2646m
-
夏道を辿るが、常に膝下ラッセルとなり、吹き溜まりでは腰の深さとなる。飛騨沢の上部は既に凍結しているのでアイゼンは必須。
今回は積雪量から常に夏道を選択しましたが、今後の積雪次第で夏道の使用は不可能となります。
また冬季に槍ヶ岳へと至る全ルートは雪崩の危険性のあるルート個所を複数回通過します。適切な知識をもった上で入山するようにしましょう。
これからの季節はルートの状況が刻一刻と変化するので、最新の情報に注意して下さい。
山行記録
1日目:新穂高〜白出沢〜滝谷〜槍平小屋
仕事終わりに、車を走らせて明け方に新穂高に到着。
暫く仮眠を取ってから出発します。
道路は既に凍結箇所がありますので、安全運転に努めましょう。
稜線は真っ白に雪を纏っています。
ここから山を見ると気が引き締まります。
右俣林道からスタート。
長い長い林道の始まりです....。
歩き始めから早々に雪があります。
この足跡は熊ですか....?
まだ冬眠しきらない時期なので注意が必要です。
大キレットと南岳が綺麗に見えています。
穂高平小屋で小休憩。
因みに僕たちはショートカットは使わない派です。
穂高平小屋からは「蒲田富士〜涸沢岳〜白出のコル〜奥穂高岳」が綺麗に見えています。
「今年もあそこに登るの?」と二人で雑談。
さぁ、林道も後半戦、頑張っていきます。
2時間強かかって、やっと林道の終点です。
毎回林道がキツイ。なんなら、急登よりも精神的にはキツいです。
白出沢出合で小休憩。「林道は眠い!」という人居られますか?
白出沢からジャンダルムを望む。
さぁ、行きますか。
林道が終わって登山道が始まります。
基本的に夏道ですが、岩の上を中途半端な積雪量なので、地面の起伏が不明で、
ツルツル滑ったり、、、
空洞だったり、、、
兎に角、非常に歩くいです。
この様なコンディションでは、転倒や捻挫に注意しましょう。
ちなみに、私は見事にツルッと行きました....。
南岳西尾根が綺麗に見えています。
5月に歩きましたが、見事に敗退に終わっています。またいつかトライしたいですね。
その時の記録はこちら
チビ谷を通過。今後積雪が増えれば雪崩に要注意です。
滝谷を通過。ポイントを見つけて渡渉をします。
沢の水は恐ろしく冷たいです。池ポチャしたらヤバいレベルです。
滝谷を望む。
堂々たる佇まい。カッコイイ。ちょっと僕には無縁な世界ですが、見ているだけでもテンションが上がります。
滝谷の槍平側にある看板。確かに電波が入ります。
電波の入る場所を覚えておき「天気予報の確認」「家族への定期連絡」「緊急時の連絡」などに活用しましょう。
▼槍ヶ岳飛騨沢ルートでauの電波が入る場所
- 新穂高(普通〜弱)
- 滝谷の看板の場所(弱)
- 槍平(弱)
- 宝の木(弱〜普通)
- 槍の稜線(普通)
槍平に向かって最後のもうひと頑張りです。
涸沢岳西尾根〜滝谷ドームが綺麗に見えています。
何度か歩いていますが、今だ奥穂には届いていません。
その時の山行記録はこちら
南沢を通過します。
樹林帯を2回通過したら槍平に到着です。
頑張って歩きますが、なかなか辿り着きません...!
やっとの思いで、槍平小屋に到着しました。
小屋の1階の入口がまだ見えているので、積雪量はまだまだですね。
屋根からの落雪による小屋へのダメージを軽減させる取り組みの様です。
冬季小屋もまだ大分と高い場所にあります。
避難小屋を使いたい欲望に打ち勝って、テント場にやってきました。
ちょっと時間も押しているので、急いで整地を済ませて、テントを設営します。
テント設営後は、冬の恒例の水作りの始まりです。
これが大変なんですよね、、、。
サラサラのパウダーの場合、雪に含まれる水分量が少ないのでコッヘルパンパンの雪を溶かしても、出来上がる水の量は10分の1くらいしかないので、水作りは兎に角時間が掛かります。
僕はお腹が弱いので、雪から水を作る時は煮沸の時間を長めにとっていたのですが、今年から冬の水作りにも浄水器(ソーヤーミニ)を導入しました。
おかげで煮沸の時間を短く出来るので、ガス缶の消費量を節約することが出来ました。
※ソーヤーミニの重量よりもガスの節約量の方が多くなったので、一応軽量化にも成功しています。
夕食は至福のひと時です。
夕食後、19時には就寝しました。
2日目:槍平小屋〜2646m(敗退)〜槍平小屋
おはようございます。
今日は夜明け前から行動開始です。
昨日から分かっていましたが、今日も朝イチからノートレースです。
漆黒の中、ラッセルしながら進んでいきます。
やっと夜が明けてきました。
今シーズン初の雪山という事もあり、滅茶苦茶寒く感じました。
かれこれ1時間は歩いたので、休憩。
とは言っても、太陽がまだ出ておらず止まっていると寒い!足が凍えそうです。
ということで、ツェルトの代わりに持ってきた「グラウンドシート」を被りました。
ツェルトと同じでペラペラの1枚ですが、あるかないかで寒さが全く違います。
休憩している間に日が登ってきました。
感慨に浸っている時間はないので、出発します。
頑張ってラッセル再開〜!
ラッセルするぞー!
太陽が本格的に登ってきました。
ふぅ〜、2回目の休憩。
この辺りから快適な気温になってきました。やっぱり太陽の力は凄い。
岩峰。
中崎尾根から槍に向かう場合、あの岩峰が立ちはだかります。
巻くか直登か、どちらを選択してもなかなかに大変です。
その時の記録はこちら
槍ヶ岳山荘を視界に捉えました。
「見えていても遠い」、正にその通りす。
宝の木
いつも力を貰います。
吹き溜まりは腰に迫る積雪量
同じ画角ばかりですみません、、、。
取り敢えず、前に進みます。
時間的に絶望感漂う....
撤退時間は決めているので、行けるところまで行きます。
やっとこさ千丈分岐。
もう敗退確定ですね...泣
振り返ると絶景
全く近づいていない(飛騨沢あるある)
ところどころ、雪面がクラストし始めたので、アイゼンを装着しました。
行けるところまで行きますよ〜
撤退時刻の12時になったので、ここまでとします。
帰幕時間を遅らせれば、飛騨乗越までは到達できそうですが、ここまで既に6時間ほど掛かっています。
それに上を目指せばテントに到着するのは日暮時刻ギリギリになるでしょう。
過程と結果を考慮すれば撤退が妥当な判断でしょう。
互いの健闘を讃えて。
双六岳
笠ヶ岳
大喰岳西尾根
さて、降りますか。
下りはやっぱり早いです!
宝の木でアイゼンを外しました。
最終水場はこの時は出ていました。(12/10時点)
下るにつれて悔しさが募る....
テント場に戻ってくるとテントが増えていました。
避難小屋にも登山者が複数いた様です。
3日目:槍平小屋〜滝谷〜白出沢〜新穂高
夜中、風の音で目が覚めると、予報通り雪が降っており、濃いガスも出ていました。
今日は新穂高へと降るだけですが、日の出と共に下山を開始します。
恐らく上は荒れ模様の天気でしょう。
滝谷を通過
雪の勢いは収まる気配はありません。
この日に上を目指すであろうテントが数張りありましたが、どうか無理のなさらぬよう....
滝谷避難小屋
「曰く付き」などと色々と噂されていますが、山の大自然より怖いものってないですよね(個人の感想)
下山時にはトレースも増えており、のんびり歩いても9時半頃には白出沢に到着。
右俣林道を黙々と歩いて、新穂高へと下山しました。
「ひがくの湯」で昼食をとって帰路へと着きました。
今回で2回目の来店ですが、こんなに美味しいなら、もっと早くから来ていたら良かったです。
まとめ&感想
ここ最近は仕事やプライベートの諸用が重なり、なかなか山に行く時間が作れていませんでしたが、やっと手に入れた土日の休み。
槍の穂先から雪を纏った穂高を見るべく、フル装備で挑みましたが、予想以上の降雪に行く手を阻まれて2646mで時間切れとなり、飛騨乗越にすら到着出来ずに終わりました。
直前に纏まった降雪があったようで、終始ラッセル。
敗退でメチャクチャ悔しですが、どこか清々しいのはラッセルのお陰でしょうか。
今年も安全第一で、雪山を楽しんでいこうと思います。