北アルプス 山行記録

【山行記録】槍ヶ岳 北鎌尾根(敗退)/2022年9月16日〜18日

登山者憧れのルートであり、国内最難関ルートの一つ「槍ヶ岳 北鎌尾根」

1年越しの夢を叶えるべく挑戦してきましたが、トラブル発生により敗退となりました。

【山行記録】槍ヶ岳 北鎌尾根(敗退)

ルート&タイム

▼2022年9月16日

  • 上高地バスターミナル:06:40
  • 明神館:07:35
  • 徳沢:08:50
  • 横尾:10:00
  • 槍沢ロッジ:12:00
  • ババ平:12:30
  • 大曲:13:40
  • 水俣乗越:14:50
  • 北鎌沢出合:16:30

行動時間:約9時間50分

 

▼2022年9月17日

  • 北鎌沢出合:05:00
  • 北鎌のコル:06:50
  • 独標出前(標高2820m地点):08:50
  • 北鎌沢出合:11:50
  • 水俣乗越:14:50
  • ババ平:17:00

行動時間:約10時間00分

 

▼2022年9月18日

  • ババ平:08:30
  • 上高地バスターミナル:12:45

行動時間:約4時間15分

 

 

アクセス

沢渡バスターミナル駐車場からバスにて上高地バスターミナルへ

平日にも関わらず、始発の40分前には既に長い行列が出来ており、始発には乗れませんでした。

 

天気

1日目:晴れ

2日目:晴れ→曇り→雨→ガス→晴

3日目:晴れ

 

登山道の状況・危険箇所

▼上高地〜横尾

整備されたなだらかな観光ロードで歩きやすいが、横尾までは登山者やハイキング客が多い。

1時間ごとに明神館、徳沢ロッジ、横尾山荘と小屋があるので、休憩には便利。

 

▼横尾〜槍沢ロッジ〜大曲

横尾以降は登山道となるが非常によく整備されておりとても歩きやすい。

横尾以降は登山客の数もある程度は落ち着く。

槍沢ロッジとババ平で水が無料で補給できるので、初めから沢山担ぐ必要はない。

 

▼大曲〜水俣乗越

大曲から一気に約400m登り上げる。一般登山道だがひたすら九十九折を登っていくので体力的にキツイ。終盤少しザレているので念の為注意。

 

▼水俣乗越〜北鎌沢出合

ここから先はバリエーションルートとなるので、要注意。

水俣乗越から北鎌沢出合まで約500m下るが、最初は有名な急なザレ場で落石には十分に注意しなければならない。

※このルートを引き返して北鎌沢出合から水俣乗越に戻る場合、誤って「間ノ沢」に入り込まないように十分に注意しなければならない。

 

▼北鎌沢出合〜北鎌のコル

北鎌沢出合から北鎌のコルを目指して約500m登る。

左俣や右俣のクライマーズホイホイに誤って入り込まないように十分に注意しなければならない。

 

1日目:上高地〜槍沢ロッジ〜水俣乗越〜北鎌沢出合

金曜日の入山の為、沢渡バスターミナルの上高地行きの始発は6:00。

5時15分頃にバスターミナルの向かうと既に数十人が並んでおり驚いた。事前の情報では「始発は混まない」と言われていたが、どうもこの後の台風を懸念して前倒しで来ている登山者が多いようだ。

結局始発には乗れなかったが、幸いにも臨時便が運行されて6時40分には上高地をスタートする事が出来た。

 

上高地からは非常に良く整備された道を進んでいくが、とにかく登山者が多い。

上高地に入るのは初めてなのであまり知らないがこれが普通なのだろうか。

普段、新穂高方面から入山している私にとっては驚きの連続だった。

 

 

上高地からは「明神」「徳沢」「横尾」と約1時間ごとに小屋があるので、休憩をするには丁度良い。

しかし、先述の通りとにかく人が多いのが難点だ。

 

ここからは「涸沢方面」と「槍方面」で分かれるので、人の多さも少し落ち着きを見せる。

 

横尾から先は登山道となる。

 

 

 

なだらかで歩きやすい道を進んでいく。

 

 

横尾から約1時間30分〜2時間ほどで槍沢ロッジに到着だ。

ベンチを借りて休憩をするが、ロッジからはカレーの良い香りが漂ってきて誘惑が凄いので早々に出発する。

 

 

槍沢ロッジから槍の穂先がちょこんと見えることで有名だが、コロナ対策の為か「望遠鏡」は片付けられていた。

 

 

槍沢ロッジから30分でババ平キャンプ場に到着。

ここで水を補給させていただく。

 

 

大曲までなだらかな道を進んでいく。

 

 

大曲から槍方面。「明日は向こうから帰って来れるといいな」と胸の中で呟く。(無理だった...)

 

 

大曲から水俣乗越までは約400mの登り。

気合を入れて出発する。

 

 

ひたすら急騰の九十九折を登ること1時間強。やっと水俣乗越に到着した。

 

 

 

が、しかし、ここから北鎌沢出合まで500m下るのである。

(北鎌沢出合は写真中央の尾根の末端の辺り。)

 

 

 

北鎌尾根はバリエーションルートの為、水俣乗越に北鎌沢出合への看板はない。

 

 

水俣乗越からの出だしは有名なザレ場から始めるが、滑落は勿論のこと、落石にも十分に警戒したい。

 

 

ザレ場を30~40分ほど下ると、今度はガレ場をひたすら降っていく。

(この場所は季節によっては雪渓が残っている)

 

 

明日登る(はずだった)北鎌尾根が綺麗に見えている。

 

 

水俣乗越から約1時間で北鎌沢出合に到着。

 

 

既に数パーティのテントが張られている。

私達も北鎌沢の入口の直ぐ近くにテントを設営する。

 

 

 

水場は北鎌沢出合から約5分降った所にある。

 

 

夕食を済ませて19時には眠りについた。

 

 

2日目:北鎌沢出合〜北鎌のコル〜独標手前(標高2820m地点)〜北鎌沢出合〜水俣乗越〜ババ平

「3時起床、5時出発」

アルファ米を口に詰め込み、テントを撤収し出発する。

 

 

北鎌沢出合からコルまでは「左俣」や「クライマーズホイホイ」に入り込まないように注意しなければならない。

情報通り、沢の水量としては左俣の方が多く、何も考えずに歩いていると左俣に入り込んでしまいそうなので、しっかりと頭に入れて歩かなければいけない。

 

 

水に関しては9月中旬で2,000mが十分な水量としては最後の地点だった。

この後、2300m付近でも若干流れていたが汲むには難しい量だったので、やはり早めの給水が望ましいだろう。

 

 

今回は、稜線上でお腹を壊したくなかったので、浄水器(ソーヤーミニ)を持参した。

気のせいか沢の水が更に美味しく感じられた。

 

 

右方向に道っぽいのが続いているのがお分かりでしょうか?

右に行くと恐らく有名なクライマーズホイホイに行き着くのであろう。

情報では「右右..最後だけ左」と言われているが、「コルを目指す」ということを念頭に置いておくほうが良いように感じた。しかしガスが沸いていたりと視界が効かない場合は、要注意だろう。

 

コルの直下はザレ&草付きで非常に足場が悪い。

 

 

北鎌沢出合から約2時間で北鎌のコルに到着。

テントは3張ほど張れそうだ。

小蝿だか便所バチだか知らないが、虫がめちゃくちゃ多い。

 

 

独標を視界に捉えた頃、トラブルが発覚した。(今回は詳細は割愛します)

2人で「進むか、戻るか」話し合った。

考えて考えて、考えた。

ここまで来て戻る決断を下すのは簡単じゃない。
しかし、トラブルを抱えたまま進んでいいルートじゃない事は分かっていた。

考え抜いて、下山を決めた。

 

 

必死に登った右俣を降っていくが、降りも決して楽じゃない。

失意の念に駆られている余裕は全くないので、気を張って降っていく。

 

▼補足

北鎌沢周辺は完全な圏外です。電波は「北鎌のコル」や「水俣乗越」に登り上げないと入りません。

 

 

必死に登った北鎌右俣を500m下った後は、水俣乗越まで500m登り返さなければならない。

ここで注意しなければならないのは、北鎌沢出合から水俣乗越に戻る際に、間ノ沢に間違えて入り込まないということである。

水俣乗越から北鎌沢出合で間違えることはないが、北鎌沢出合から水俣乗越へは注意しなければならない。

 

鬼のザレ場を登り返すとは思っていなかった。

 

 

撤退中に見上げた北鎌尾根。

心の中は悔しさでいっぱいだった。

 

 

3日目:ババ平〜上高地バスターミナル

朝8時、ババ平を出発して下山を開始する。

 

 

翌日から天気が荒れるというのに、テント泊装備で上がってくる登山者も多かった。大丈夫だろうか。

 

 

安全圏の横尾に到着してからは、敗退した実感が強く沸いてきて、互いに無言で歩き続けた。

 

 

今年の夏山は苦い思い出で幕引きとなった。

 

 

まとめ&感想

登山を始めて6年が経過し、少しずつ経験を積み「槍ヶ岳 北鎌尾根」を目標に入れたのが1年半前の2021年春。

それからの1年具体的な体力トレーニングやクライミングを繰り返し、この日に備えてきた。

 

それが自分達のミスに起因するトラブルが原因で敗退となってしまった。

想いとしては「悔しい」の一言に尽きる。

 

しかし、事故の多い北鎌尾根でトラブルを起こしながらも、無傷で無事に下山できた事には感謝しなければならない。

 

今回の敗退は、自分達の登山について色々と考えさせられる良い機会にもなった。

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