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【解説】登山に潜むリスク「原因と対策」

登山は素晴らしいですが、大自然の中で活動するので、様々なリスクがあります。

しかし、危険性を十分に理解し、適切な対応をすることで、リスクは十分減らす事が出来ます。

今回は、登山に潜むリスクをご紹介していきます。

【解説】登山に潜むリスク「原因と対策」

低体温症

比良山系 武奈ヶ岳 大寒波

低体温症とは、人間の体温が一定以下に低下してしまい行動に支障が出たり、最悪の場合は生命維持に影響のある非常に危険な症状です。

体温別の主な症状

▼36.5~35℃

  • 寒気を感じて、体温を保つ為に震えが起こる
  • 皮膚の感覚が少しずつ麻痺し、手足の指の動きが鈍くなる。

▼35~34℃(軽症)

  • 運動失調が起こり、歩行に影響が出始める。
  • 筋力の低下が起こり、転倒しやすくなる。
  • 構音障害が起こり、会話に支障をきたす。

▼34~32℃(軽症)

  • 震えが少なくなり、歩行が不能となる。
  • 呼吸が荒くなり、意識障害を起こす。

▼32~30℃(中等症)

  • 震えが止まり、身体が硬直する。
  • 錯乱状態となり、不整脈のリスクが発生する。

▼30℃以下(重症)

  • 瞳孔散大
  • 意識低下の進行
  • 無理に身体を動かすと容易に心室細動を起こす

低体温症の怖い所は、症状が無自覚に進むことと、発症後は思考の低下を起こす為、対応が遅れると自分自身での対応が難しくなるという点にあります。
そして、これは誰にでも起こりうるので、十分に注意しなければいけません。


▼原因

低体温症の主な発生原因として、「低温化に長時間身を置く」「濡れた衣服を着ている」などが挙げられます。


【原因1:
低温下に長時間身を置く】

冬は勿論、夏においても山中で強風に晒され続けると体温が低下していきます。
特に、ガスが湧いている場合などは、霧の水分の熱伝導率の高さが、体温の低下を更に進めてしまいます。

《対策》

面倒がらずにアウターを羽織ったり、一時的に防寒着を追加するなどの対応が必要となります。
また、身体の筋力を増加させる事で基礎代謝が上がり「寒さ」への耐性が高くなります。それと同時に、心肺機能を高める事で歩行スピードが上がり、結果的に低温下に身を置く時間を少なくすることも大切なポイントとなります。

 

【原因2:濡れた衣服を着ている】

濡れた衣類の原因としては雨・雪・汗冷えが考えられます。

雨や雪に関しては、撥水性に優れたウェアを着用し、日頃からメンテナンスを怠らないなども大切なポイントとなります。
そして、霧雨程度であれば、レインウェアを着ることで起こる発汗を懸念して、雨具の着用を迷う場合があります。
その場合は、風の有無などから総合的に判断しなければいけません。

《対策》

汗冷えに関しては、アンダーウェアの着用で大幅に汗冷えのリスク軽減することが出来ます。

 

 

熱中症

2019.08水晶岳

熱中症とは、熱が上手く体外に排出されずに体内に籠もる事で起こる症状です。
登山は活動の内容的に熱中症を起こしやすいアクティビティの為、十分に警戒しなければいけません。

軽度「熱痙攣・熱失神
めまい、立ちくらみ、大量の発汗、筋肉痛、痙攣、生あくび

中度「熱疲労
頭痛、吐き気、嘔吐、倦怠感、集中力や判断力の低下

重度「熱射病
体に触ると熱い、歩行障害、筋力低下、意識朦朧

初期段階は、風邪の引き始めの症状に似ている為、見落とさないように気をつけなければいけません。

 

▼原因
登山において、熱中症を起こしやすい主な理由は以下の内容が考えられます。

【原因1:体温が上昇しやすい】

登山は急な坂道を長時間に渡り登り続ける為、体温はどうしても上昇しやすくなります。

それに加えて、梅雨や夏の樹林帯は湿度が高く、稜線では日差しを遮るものがない為直射日光に晒されるなど、環境的要因も加わるため一層の注意が必要となります。

【原因2:体内の水分が不足しやすい】

上記の通り、登山は激しい運動の為体温の上昇が激しく、それを抑える為に多くの汗をかきます。それにより体内からは大量の水分が失われていきます。
荷物の重さなどにより出ていく水分量は増減しますが、自分たちが感じている以上に体内の水分は排出されているので、十分な量を摂取しなければいけません。

また、荷物が重くなることを避ける為に水の量を抑えたり、人の多いルート上を歩く際のトイレ問題の為に水分摂取を控えたりなど、人為的な要因で水分が不足していることもあります。

《対策》

▼日頃から暑さになれる

これが意外と重要で、登山初心者が暑さに弱くなりがちなのは勿論ですが、登山を何年も続けていてもシーズン始めなど身体が慣れていない場合などは、「暑さ」に非常に弱くなります。

デスクワークなど普段屋内で過ごすことが多い場合は、週末などは出来るだけ屋外で活動をするなど身体を慣れさせておくことが重要です。

 

▼十分な睡眠で体調を整える

仕事が忙しく、夜中に車を走らせて、寝ずにそのまま登山を開始する」なんて人も多いと思います。
現代社会において仕方の無いことですが、睡眠不足は体調の悪化を起こしやすいという事を念頭におき、無理のない行動計画にしなければいけません。

 

▼早めの出発で暑い時間を避ける

出発時刻が遅いとその分、日中の行動時間が長くなってしまいます。

例えば、歩き始めに急登がある場合などは、日が昇る前から歩き始める事で体温の上昇を抑えることができます

 

▼出発前に十分な水分を摂る

意外と見落としがちなのが、出発前の水分摂取です。

朝食時に水分もしっかりと摂取しなければいけませんが、その量が足りていない人が多いと言われています。
真夏であれば歩き始めるまでに500mlは摂ることが推奨されています。

 

▼早め早めの水分摂取

水分は自分自身が思う以上に失われており、「喉が渇いた」と感じた時点で相当な水分がなくなっていると言われています。

「行動食」は減った分を補充しますが、「水分」に関しては減る前に補充するのが基本となりますので、注意しましょう。

 

 

捻挫・骨折

捻挫 骨折

登山において気をつけたいのが「捻挫・骨折」です。

登山では不安定な場所を登り降りするので、足首を痛めたり、転倒して手首や膝を痛めることも珍しくありません。

 

骨折は勿論ですが、軽度の「捻挫」であっても山の中では致命的となりますので、注意が必要です。

ほんの些細な捻挫でも歩行時には痛みを伴い、特に降りでは激しい痛みで歩く事すらままなりません。岩場などの難所がある場合は通行はほぼ不可能となるでしょう。

ここで注意したいのは「救助要請のタイミングを誤らないこと」という事です。

▼想定される事例

  1. 稜線上で捻挫をした「捻挫くらいで救助要請なんかできない」と思い自力下山を開始した。
  2. 痛みに耐えながらある程度斜面を下ってみたが、痛みに耐えきれずに救助要請を決意した。
  3. しかし、斜面に遮られて電波が圏外で救助要請が出来なくなった。
  4. 通りかかった登山者に救助要請を依頼したが、その時ですでに夕方になっていた為、ヘリが出動できずにビバークを強いられることとなった。

 

安易な救助要請はしては行けませんが、無理に頑張ろうとせす、早め早めの救助要請が必要となります。

「110番=ヘリ出動」ではありません。

状況を説明して指示を仰ぐということも大切なポイントです。

 

 

▼捻挫・骨折などの事故を防ぐ為に気をつけるべきこと

  1. 日頃から筋力・体幹を鍛えて、バランス感覚を養う
  2. 登る(降る)前に、ストレッチを念入りに行う
  3. 足元をしっかりと確認して、丁寧な歩行を心掛ける

 

急いでいる場合などは歩行スピードが速くなり必然的に足元への注意が散漫となります。

また、初冬や残雪期などの雪の量が少ない時は、雪の下に岩が隠れていることが多く、踏み抜きによる捻挫は起こりやすい事例となるので、十分に注意するようにしましょう。

 

 

道迷い

比良山系北部縦走・テント泊(蛇谷ヶ峰~武奈ヶ岳)41

道迷いとはその名の通り、本来のルートを外れて現在地が分からなくなることで、遭難の原因で最も多いとされています。

そして、道迷いは遭難に直結することは勿論ですが、その後、転滑落など別の危険性を多く含んでいるので注意しなければいけません。

 

▼道迷いを起こす主な理由

自身の経験から道迷いを起こす主な理由は大きく3つに分かれると思います。

 

【原因1:不注意】

常に登山道の状況に意識を集中させていれば、登山道の僅かな変化にも気が付くため、道を間違えるということは滅多に起こりません。

しかし、実際には登山の間中ずっとルートの観察をしながら歩いているということはなく、別の事を考えていたり、メンバーと会話をしていたりと注意力が散漫していることが多いでしょう。

特に標高の低い山、難易度の低い山、慣れ親しんだ山など、難易度が低い山行ほど警戒心が下がるので、道迷いを起こしやすくなります。

《対策》

  • 登りの時に振り返って、下山時の景色の見え方を確認しておく。
  • 事前に地形図である程度は地形をイメージしておき、歩きながら常に周囲を意識する。
  • 道が明瞭な場合でも、分岐などでは確認を怠らない

 

【原因2:焦り】

山の中で少しでも不測の事態が発生すると、直ぐに焦りの感情が湧いてきます。
焦りが生じると、自分が思っている以上に冷静な判断ができなくなります。

例えば「日没までに下山が完了できない」という状況になったとします。

そうすると、暗闇への恐怖心から"早く下山しよう"と焦りが生じます。

早く下りるという事に意識の大部分が注がれてしまうので、登山道の変化に気がつけず誤った方向に進んでしまいます。

また日没が迫り少しずつ薄暗くなって来ていても、焦っている状況では、ヘッドライトをザックから取り出す作業さえ惜しんでしまいます。

この様に「焦り」が生じている状況では、普段自分が思っているほど冷静に対処することが出来ません

《対策》

こういった不測の事態に対応する為には、事前の準備が必要となります。

▼GPSなど現在地を確認できる機器を用意しておく

これは現代において基本中の基本となります。昔であれば専用の端末機器を購入しなければいけませんでしたが、スマートフォンの普及により登山者全員がGPSをしよう出来るようになりました。しかし、スマートフォンのGPSは事前の地図情報をダウンロードしていなければ使用できないので、しっかりと準備しておきましょう。

 

▼ビバーク装備を用意しておく

例え日帰り登山であっても、緊急時に備えて山の中で一夜を明かす為のビバーク用の装備は必須となります。

【最低でも必要なビバーク装備】

  • ヘッドライト(予備電池も必須)
  • モバイルバッテリー(スマホの電池が切れたら救助要請出来ない)
  • レインウェア(晴れでも必要)
  • 防寒着(夏でも必要)
  • ツェルト(無ければグラウンドシート)
  • 非常食(救助が来るまで生き延びる為)

真夏でも山の夜は冷えます。これらの装備は生き残る為は勿論ですが、装備が揃っていることで安心感が得られ、冷静に対処することが出来ます。

 

▼日没までに下山が完了できないと分かった時点で、ヘッドライトを直ぐに取り出せる場所に用意しておく

暗くなると登山道の判別が難しくなることは勿論ですが、暗闇が近づくと人は恐怖を覚えます。

また、焦っている状態では「ザックを下ろす」という作業がとても時間の掛かる作業だと認識して、なかなかヘッドライトを取り出さなくなってしまいます。
その為、早めにヘッドライトは取り出しておく事をおすすめします。

 

▼日頃からカモシカ山行などで暗闇に慣れておく

人は何事にも慣れるものです。普段から暗闇での行動を行なっていれば、予想外な出来事で暗闇での行動を余儀なくされても冷静に行動することが出来ます。

一番良いのは、カモシカ山行です。とは言え、練習で危険を犯すのは本末転倒なので、慣れ親しんだ簡単な山で山頂で日の出を迎えるような計画で山を登りましょう。

 

【原因3:天候悪化】

どれだけ事前の準備をして、注意を払っていても、道迷いを起こしてしまう事があります。
それが天候の悪化です。

特に稜線でガスが湧くと、方向感覚を掴む事が難しくなり、とりわけ細い尾根の下りなどでガスが湧くと非常に危険な状態となります。

冬で言えば「ホワイトアウト」が最も恐るべき自体ですが、夏であっても支尾根に迷い込むという事も起こりうるので十分に警戒しなければいけません。

《対策》

細い尾根上での視界不良はGPSがあっても殆ど意味がありません。対応力は登山者の力量によるところが大きくなるので、初めから悪天候にリスクのある所に入り込まないようにしなければいけません。

一番確実なのは、信頼のおける天気予報サイトにて、天候が荒れる可能性や程度をしっかりと確認するようにしましょう。

晴天時に登山を行うのが最も安全な方法ですが、休日と好天の組み合わせを待っていると登山の機会は中々手に入らないのも実情です。その為、少々天気が悪くても登山を決行する人も多いと思います。その様な場合は、上述の通り、荒れるタイミングや程度を把握し、適切な対応が必要となってきます。

 

転滑落

槍穂高完全縦走2日目(西穂~ジャンダルム~奥穂)

遭難の原因として、道迷いの次に多いのが「転倒・滑落」です。

これは有名な話ですが、難ルートの危険箇所での滑落は殆どなく、その前後の場所で滑落事故が起きている。と言われています。

 

実際に私自身も冬の西穂高岳西尾根を登った際に、バリエーションルートである西尾根は問題なく登り終え、一般ルートから下降している時に、難所でもない普通の場所で大きく転倒してしまいました。

自身の経験からも言えますが、危険箇所の通過中は緊張感とアドレナリンにより集中力が高まっており疲労も感じにくいですが、知らず知らずに身体には疲労が溜まっており、それが危険箇所を通過し終えて緊張感が途切れた時に、気の緩みに合わせて、疲労感が押し寄せてくるのだと思います。

 

冒頭で「難ルートの危険箇所での滑落は殆どない」という話をしましたが、近年は「明らかな危険箇所での滑落事故」が増えており、SNSの普及で初心者が安易に難ルートに挑んだり、高齢者の筋力低下による事故など、「実力が伴っていない登山者」の姿も問題になっています

 

《対応策》

そして、これらは一定の経験を積んでいる登山者にとっても、決して他人事ではありません。

技術、意識、体力、筋力などの登山の総合力は、常に研鑽とアップデートを行っていなければ、どんどん低下していきます。常に、自身の現状を把握すると共に、向上心を持って取り組んでいかなければいけません

そして、行動中は定期的に休憩や行動食を摂取し疲労を溜めないようにし、メンバー間で随時声掛けを行なうなど、常に注意力を切らさないように努めなければいけません。

 

 

疲労遭難

疲れて、もう動けないから救助要請」というのは、馬鹿げた話に聞こえますが、実際に起こっている問題です。

このような「救急車をタクシーと勘違いしているような輩」は論外なので、ここでは真剣な登山者にとっても他人事ではないという事についてお話ししたいと思います。

【例】

10月中旬の3,000mの稜線を歩いていたが、疲労が溜まり歩行スピードが極端に落ち始めた。

その後、夕方近くになったが一向に目的地には到着できず、ガスが湧き始め、気温も下がり風も強くなってきた。

遮るもののない稜線で長時間冷たい風に晒され続けた結果、低体温症を発症して、動くことすらままならなくなった。

上記の様な事例であれば、誰にでも起こりうる問題でしょう。

この様な極端な例は別問題だとしても、「シャリバテ」「ハンガーノック」と言った言葉は聞いた事があると思います。
これらは多くの人が経験した事があると思います。

 

《解決策》

一度「シャリバテ」の状態になると、栄養を補給しても回復するまでに非常に時間がかかってしまいます。体からエネルギーがなくなるまでに小まめな休憩と栄養補給を心がけましょう。最低でも1時間に1回は栄養を補給しなければいけません。この際に水分補給も忘れてはいけません。特に水分に関しては多くの登山者が必要量を摂取出来ていないと言われています。自身の経験からも「普段よりもちょっと多めに水分を摂る」ことを心掛けると、コンディションを良好に保ちやすいです。

また、やはり日頃から自身の身体を鍛え、積極的に山に足を運び、基礎的な体力の向上に努めなければいけません

もしも、山行中の体力問題に悩まれている場合は、一度、行動食の内容についても再考してみましょう。行動食に絶対的な正解はなく、その人に合った献立があります。

これらの対策は、事故を未然に防ぐだけではなく、登山中の苦しさを軽減し、景色を楽しむ余裕が生まれたりもします。

 

 

高山病

高山病とは、山の上などの標高の高い場所で身体に異常をきたす症状で、「肺水腫」「脳浮腫」などの命に関わるものから、「食欲低下、頭痛、倦怠感、不眠」など症状は様々です。

▼これらも高山病の一種です。

  • テント泊や小屋泊などの夕食や朝食の際に、空腹なはずなのに、食事が喉を通らない
  • 激しい頭痛に襲われて、鎮痛剤を飲んでも一向に効かない
  • 身体は疲れているはずなのに、上手く眠れず、夜中に目が覚めてしまう

この様な症状の経験はないでしょうか?

高山病というと海外の様な非常に標高の高い山で起こるものだと思いがちですが、主に標高2,000m以上(高齢者であれば1500m以上)で発症するとされており、日本の山岳地帯おいても十分に起こりうるので、決して侮ってはいけません。

 

高所では気圧が低い為、空気(酸素)が薄くなる為、身体が環境に順応できないと異常をきたしてしまいます。

環境の変化に身体が順応できれば、高山病にならずに済むので、標高を一気に上げる富士登山などではゆっくりと一定のペースで歩き続ける事が大切となってきます。

その逆で、ロープウェイなどで一気に標高を上げるような場合、平地から一気に高地へと移動するので、身体が順応できずに高山病を発症することもあります。

 

《解決策》

高山病を予防する方法はいくつかありますが、最も簡単なことはこの2つです。

【方法1】自身の力量を超えた激しい運動はしない。

【方法2】水分を沢山摂取する。

ゆっくりと一定のペースで歩いて、休憩時や就寝前には水分をしっかりと補給しておくことで、高山病の発症を抑える事が出来ます。
また、山中での飲酒や睡眠導入剤の利用は就寝時の呼吸を浅くしてしまう為、高山病を引き起こし易く十分な注意が必要となります。

 

山の中で最も遭遇したくないのが、「熊」でしょう。

ヒグマは北海道に、ツキノワグマは九州を除く本州の全域に生息しており、東北地方や中部地方の6割以上の地域、関東・近畿・中国地方では3割程度の地域に生息しているとされています。

とは言え「今まで熊に遭ったことはないし...」と思っている方も多いと思いますが、

はっきりと言います。山の中に熊はいます!!

私自身、北アルプスにて4回以上熊に遭遇しています。
一番近い距離で、約5m以内で遭遇したこともありますが、メチャクチャ怖いです。

滋賀県の比良山系でも熊の目撃情報があり、近畿圏の人の多い一般登山道でも熊との遭遇は十分に起こり得るので、決して他人事ではありません。

 

▼熊と至近距離で遭遇した際に、絶対にしてはいけない行動

  • 死んだふり
  • 叫ぶ
  • 後ろ姿を見せて走って逃げる
  • 木に登る
  • 取られた物を取り返す
  • 記念撮影

 

▼熊と遭遇した際に、取るべき行動

【十分な距離がある場合】

熊が気づいていない場合は、熊を刺激しない様に静かにその場を立ち去る。

熊が気づいている場合は、熊の方から逃げていく事が殆どだが、逃げていかない場合は、こちらが人間であることが分かるように手を振ったりして合図をする。

 

【近距離まで迫ってきている場合】

行動食など熊の注意を引けそうな物を静かに地面において、熊の顔を見ながらゆっくりと距離を取り、十分に離れた後に速やかにその場を離れる。

尚、この際に落とした行動食などに興味を示さず、威嚇目的の突進をしてきた場合は、驚いて大きな声を出さずに、穏やかに話しかけて距離を取るようにしましょう。(熊撃退スプレーを装備している場合は、この時点で安全装置を解除し、発射に備えます。)

この時に大声を出してしまうと、本攻撃に切り替わってしまう場合があります。

 

【熊が本気で襲ってきた場合】

威嚇突進ではなく、5m以内まで迫ってきた場合は、襲われる可能性が高い為、防御体制が必要となります。

熊撃退スプレーがある場合は、速やかに熊の顔面に全て噴射しましょう。
ない場合は、速やかに防御体制を取りましょう。

  • うつ伏せになり、両手を首の後ろに回し、首、顔、腹部など身体の急所を守ります。
  • リュックサック等を背負ったままで、背中を守ります。
  • 足は広げて、首の後ろに回した腕は肘を張るようにして、熊に転がされるのを可能な限り防ぎます。
  • 転がされても直ぐに元の姿勢に戻りましょう。

熊の攻撃時間はさほど長くないと言われていますので、防御の姿勢でやり過ごせる場合は、無理に反撃しない方が賢明だと言われています。

 

但し、人馴れしている熊や、人を食べた経験のある熊、子熊が直ぐ近くにいる場合など、特殊な場合はこちらが命尽きるまで攻撃を止めない場合もありますので、そのような場合には戦うしかありません。

※上記は、私自身の経験・書籍・ネットなどから集めた知識を纏めた内容となります。熊は非常に危険な生物となります。必ず自身で対応策について情報収集を行いましょう。

 

▼現実的な答えはコレ

人間ができる最も有効な防御策は熊との遭遇確率を下げる事です。
熊鈴を携帯する、2人以上でいる時は適度に談笑しながら歩くなど、熊にこちらの居場所を知らせて、熊から先に逃げて貰う事が重要となります。

雨の日や、沢の側などでは、通常の音が掻き消されてしまうので、ホイッスルを定期的に吹くというのも有効でしょう。

熊鈴の利用に関しては、最近は賛否両論がありますので、小屋やテント場、バスの中などでは鈴は取り外すなど、配慮ある行動を心がけましょう。

 

 

落石

槍穂高完全縦走2日目(西穂~ジャンダルム~奥穂)

落石による事故も決して他人事ではありません。
落石は自然に発生するものと、人為的に発生するものと様々です。


▼落石が起こりやすい場所

  • 岩稜ルート(雪溶け後、間もない場合は特に注意が必要です。)
  • ザレ場
  • ガレ場
  • 残雪期の沢筋

直撃すれば即死するサイズの落石も十分にありますが、ゴルフボール程度の岩でも頭や身体に当たればバランスを崩して、そのまま滑落してしまう危険性もあります。

 

《解決策》

▼落石に遭遇しない為に

  • 上部を常に警戒する
  • 前後に他の登山者がいる場合には警戒すると共に、適切な距離を取る
  • ヘルメットを着用してリスクを少しでも減らす。

 

まとめ

槍穂高完全縦走4日目(南岳~大喰岳~槍ヶ岳~槍平~新穂)

いかがでしたか。

山の中は素晴らしい世界が広がっていますが、大自然の中であるということを忘れてはいけません。
しかし、危険性を十分に理解し、適切な対応をすることで、リスクは十分減らす事が出来ます

正しい知識を身につけて、素晴らしい山の世界を楽しみましょう。

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