2022年の厳冬期を、中崎尾根からの槍ヶ岳で締めくくりたかったですが、叶いませんでした。
去年は、同じ時期に厳冬期の槍ヶ岳に登れましたが、今年は中崎尾根取り付きが最終到着地点という手も足も出ない結果となりました。
行程
ルート
2022年2月25日〜26日
1日目:新穂高〜右俣林道〜白出沢〜滝谷
2日目:滝谷〜槍平〜中崎尾根取付(敗退)〜新穂高
アクセス
新穂高「登山センター」前、県営駐車場
※冬季は岐阜市内より新穂高へと至る道は、積雪・凍結があり、ノーマルタイヤでの通行は不可能となります。尚、夜間においては除雪がされていない場合もありますので、走行に際しては注意が必要です。
天気
1日目:曇り後、晴れ
2日目:快晴!
登山道の積雪状況・危険個所
■2360m地点テント適地〜蒲田富士〜涸沢岳
- 右俣林道:林道の開始から雪道。まだ林道内の雪崩は発生していません。
- 白出沢〜滝谷:葡萄谷、チビ谷、滝谷に大きな雪崩は発生していません。
- 滝谷〜槍平小屋:穂高側、中崎尾根側の両方から小規模な雪崩の跡あり。現時点では沢の上を通行可能。
※これからの季節はルートの状況が刻一刻と変化するので、最新の情報に注意して下さい。
山行記録
1日目:新穂高〜右俣林道〜白出沢〜滝谷
金曜日の午前4時頃に新穂高に到着し、2時間程仮眠を行い、7時に新穂高を出発する。
平日の入山という事もあり、先行の2名のみで、静かな右俣林道を2時間程歩き、10時前に白出沢に到着する。
途中、1月に登った涸沢岳西尾根が綺麗に見えていた。
白出沢から先はノートレースで、ラッセルをしていく。
夏道はアップダウンがあるので、沢沿いに降りて進んで行く。
日が高くなり気温が上がり始めると、雪が重たくなり始める。
葡萄谷、チビ谷と雪崩の危険地帯を通過していく。
雪がワカンにへばりついて、凄まじい重さになって、時間と体力を奪っていく。
日暮れまでに槍平に到着できそうにないので、この日は滝谷までとすることにした。
折角なので、滝谷避難小屋でゆっくりとしようと思い、雪に埋もれた入り口を約2m半堀掘り起こすが、扉が固く凍結しており中に入る事は出来なかった。
滝谷避難小屋の側にテントを設営し、夕食を取り就寝した。
2日目:滝谷〜槍平〜中崎尾根取付(敗退)〜新穂高
前日のフルラッセルに気力と体力を奪われ、また翌日の悪天候の予報が気になり、山頂まで行くことは諦めることにした。
折角ここまで来たので行ける所まで行くことにして、ひとまず槍平を目指して進んで行く。
快晴無風の素晴らしい天気だ。
槍平小屋に到着。夜の内にスキーヤーが数名入山しているようだった。
中崎尾根に取り付くが、こちらの雪も同じく非常に重たい湿雪で、行手を阻んでくる。
判断を迫れる頃、「ドン」と突き上げるような地震が起こり、木々に積もった雪がドサドサと落ちた。
「気温上昇・翌日は荒天・地震」トリプルパンチに、潮時だと感じて下山を決めた。
敗退する時ほど山が輝いて見えるのはどうしてだろうか。
行きはラッセルに苦しめられた道のりも、自分達のトレースに土曜日に入山した人の数が重なり、帰りは比較的快適に歩くことができ、日暮れまでに新穂高に下山することができた。
感想&まとめ
2022年の厳冬期を中崎尾根からの槍ヶ岳で締めくくりたかったが、中崎尾根が最終到着地点という手も足も出ない結果となってしまった。
2021年の同じ時期に頂上に立っているが、コンディションが違うと、こうも大きく変わってくるのだと身を持って体感することが出来たのは、大きな収穫と思っていいだろう。
そして、今年のシーズンは"人が来なさそうなルート"や"平日の入山"などのお陰で、ノートレースの山を歩きラッセルをすることが多く、自分達の底力をを測る良いシーズンとなった。
これから始まる残雪期も、安全第一で残りのシーズンを楽しんで行きたい。