2024年11月23~24日、今シーズンの冬山スタートで初冬の槍ヶ岳に岐阜県側の新穂高から飛騨ルートで行ってきました。
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【山行記録】初冬 槍ヶ岳(飛騨沢ルート)/ 2024年11月23日〜24日
ルート
2024年11月23日(土)〜11月24日(日)
1日目:新穂高〜白出沢出合~滝谷~槍平
2日目:槍平~飛騨乗越~槍ヶ岳~飛騨乗越~槍平~新穂高
アクセス
深山荘方面の無料駐車場(P5)の利用しました。駐車場は入庫時の11月23日(土)の朝6時時点でガラガラ(2割くらい)で、下山時は数台くらいしか停まっていませんでした。
尚、今回訪れた11月23日~24日時点では、新穂高「登山センター」前の県営駐車場(P3)は工事に実施されています。例年は12月頃から無料開放されていますが、今年はどうなるかは不明です。
※11月23~24日時点で既に道路の一部に積雪があり、夜間の最低気温が-3度ほどになっていました。冬用タイヤの装着が必須となります。
天気
1日目:曇り
2日目:晴(夕方以降、標高の低い所は軽い雪)
登山道の積雪状況・危険個所
【注事項】
※以下の情報は入山時点での情報となります。冬季の積雪状況や雪面の状況は日により大きく異なります。最新の気象情報に注意して下さい。
新穂高〜右俣林道〜白出沢出合
右股林道の積雪は薄っすら程度で、その日の気温でなくなる程度の積雪量です。
白出沢出合〜槍平
白出沢出合以降、登山道上に雪が出始めますが、薄っすら程度と非常にに中途半端な積雪量の為、非常によく滑ります。
滝谷の橋は冬季の積雪による損壊を防ぐ為に、撤去されています。
積雪量が足りておらず沢が出ている為、自身で渡渉ポイントを探す必要があります。
こちらも、岩の上に雪が乗っており非常に滑りやすい為、注意しましょう。
槍平~槍ヶ岳山荘
積雪はありますが、まだまだ少なく、全て夏道となっています。
この日は気温が高かった為、アイゼン無しでも登下降出来ましたが、必ず携帯するようにしましょう。
槍の穂先
穂先には雪が付いていますが、初冬特有の中途半端な積雪量となっており、コンディションとしては厄介な状態と言えるでしょう。
雪と岩のMIXとなっていますので、経験の無い方や浅い方は決して無理をしないようにしましょう。
岩と雪のMIXの為、アイゼンとピッケルは必須となります。
アイゼンの前爪を岩に乗せて立ち上がるような場面も多い為、軽アイゼンやチェーンスパイクは不可です。
1日目:新穂高〜滝谷~槍平
新穂高〜右俣林道〜白出沢出合
深山荘方面の無料駐車場(P5)に到着時点で時刻は6時を回っており、出発してもよい時間ではあったのですが、余りにも眠気と疲労が凄かったので、2時間仮眠を取りました。
9時00分、新穂高登山センターを出発します。
新穂高ロープウェイの駐車場横の鎖を超えて、右股林道へと入ります。
さぁ、長い右股林道。今回はどんなペースで歩けるでしょうか。
寒空の中、工事をされておられました。工事の雰囲気からして穂高平小屋への道が建設されているようにも見て取れます。(※何の根拠もありません)
だとすれば、首を長くして期待したいところです。
穂高平小屋の手前くらいから雪が出始めました。
僕は基本的に穂高平小屋へのショートカット道は使いません。林道を一定のペースで歩き続ける方が早い気がするので。
新穂高から約1時間で穂高平小屋に到着。ここで小休憩。
小屋の向かいにある納屋の下には休憩用(?)と思しき切り株が置いてありました。有難く座らせて頂きました。
穂高平小屋以降は、薄っすらですが雪の上を歩きます。
11時30分、白出沢出合に到着。渡ってから堤防の上で休憩します。
白出沢出合~滝谷
登山道に入って直ぐのトウヒ。
槍ヶ岳方面や涸沢岳西尾根へと向かう場合は、ここを通りますが、入山時と下山時にはいつもここで一礼し、入山時は気を引き締め、下山時は無事の下山の感謝の気持ちを込めています。
白出沢以降は登山道が正式に始まったわけですが、絶妙に中途半端な積雪量で、滑る滑るで滅茶苦茶歩き難い!
おまけに、今年から冬靴を新しくしたのですが、足慣らしが足りていなかったのか、踵の皮が捲れて超痛い!
チビ谷を通過。
「行方不明者の情報提供のお願い」の張り紙があります
2024年11月現在、男性の方は発見されていますが、女性の方はまだ見つかっていません。1日も早く発見される事を祈っています。
2023年7月の落石により崩壊した登山道の迂回路を通って滝谷へ。
滝谷~槍平
13時00分、滝谷に到着。
この時期は、もう木の橋はありませんので、自分自身で渡渉ポイントを探す必要があります。
先行パーティーがいれば踏み跡を辿れば、渡渉ポイントを見つけやすいですが、
人が何度も通った後は、岩の上の雪が踏み固められてツルツルになっている場合があります。
人が渡ったポイントでも、水量の変化や、足幅、荷物の量により、渡渉できるか否かは変わってきます。
必ず渡渉出来るポイントはありますので、落ち着いて探すようにしましょう。
滝谷以降、積雪量が少し増えてきました。
滝谷側から槍平方向を望む。
ガスは相変わらず晴ません。
南沢を通過すれば、槍平小屋まではもうひと頑張りです。
木道が出くれば、槍平小屋は直ぐそこです。
15時00分。槍平小屋に到着しました。
槍平小屋は10月14日で既に小屋閉めにて冬季休業中です。
来シーズンの営業は7月上旬頃のようです。
真冬は雪崩の危険を避けて好きな所で幕営しますが、この時期はまだキャンプ場を使わせて頂きます。
テントを設営。
この日のテントは自分達と先行者の1名のみでした。天気が良いので、もっと賑わうかと思っていましたが、そうでもなかったようです。
小川から水を汲めたので、助かりました。
フリーズドライのカレーと、食べ終わった後の袋でラーメン。
僕はこの重さでも精一杯ですので、厳冬期の冬山に食材担ぎ上げてる人は真剣に尊敬します。
2日目:槍平~槍ヶ岳~新穂高
今日は槍ヶ岳の山頂に登ったあと新穂高まで下山する為、暗い内に出発して、黙々と登っていきます。
厳冬期に比べれば、気温も大して低くないはずですが、シーズン始めでまだ身体が慣れていないからか、結構寒いです。
宝の木や千丈分岐までは積雪量はこんな感じです。
明るくなってきました。
笠ヶ岳
千丈分岐に到着。
もうちょっと雪があるかと思っていましたが、やっぱり今年はかなり少ないですね。
笠ヶ岳
絶景を楽しみながら、休み休み登って行きます。
さぁ、見えてからが遠い槍ヶ岳の始まりです。飛騨乗越まで2時間くらいでしょうか。
進行方向の右手には大喰岳西尾根
ひたすら長い登りなので、「今年の冬はどこを登ろうか」なんて色々と考えながら登って行きます。
乗越まではもう少し!
一応アイゼンは履いていますが、今回は雪質的に無くても問題なさそうでした。
分岐の看板が見えてきました。
飛騨乗越に到着!
エビの尻尾は凄いですが、この日は風も穏やかでした。
大喰岳
槍ヶ岳山荘のテント場
この時期にここにテントを張れば、さぞ絶景だと思いますが、地面の雪のクラス具合を見ると、普段は凄い風が吹いてそうです。
槍ヶ岳山荘に到着!
山荘前のテラスで小休憩
穂先には雪が付いています。
山頂には3人くらい登山者がいるようです。
気を引き締めて登ります。
初冬特有の岩の上に薄っすらと雪が付いている状態で、結構嫌らしい感じです。
最初は登り用のルートを辿りましたが、一部非常に嫌らしい(危険)な箇所があったので、下り用の道を登る事にしました。
夏山シーズンでは渋滞緩和の為に、登りルートと下りルートで分かれていますが、この時期の槍の穂先で渋滞が発生する事はないので、状況を見て最善のルートで登下降すれば良いと思います。
全体的にこんな感じです。
前爪4本だけで立ち上がる事も多いですので、チェーンスパイクや軽アイゼンでは対応出来ません。
慎重に、でも迅速に登っていきます。
梯子には雪が付いていなかったので、良かったです。
あとは二段の梯子を残すのみ!
登りはまだいいですが、下りでは梯子と梯子の間なんかが結構危なかったりするので、注意したいところです。
ギィギィ?カンカン?音を立てながら、最後の梯子を登ります。
槍ヶ岳(3180m)!
山頂は貸切
この後も1人登山者が登って来ましたが、皆タイミングがずれて思い思いの時間を過ごせたのではないでしょうか。
槍ヶ岳の山頂
北鎌尾根も雪化粧
今年の冬もここを超えてくる猛者がいるのでしょうか。
穂高連峰
前穂高岳、北穂高岳、奥穂高岳、涸沢岳、ジャンダルム...
こうやってみると凄いところです。
西側は雲海になってきました。
遠くには富士山
槍ヶ岳山荘を見下ろす
下りは登り以上に慎重に。
今回の槍の穂先は、結構難しく感じました。
無事に槍の肩まで降りてきました。
今回は、結構疲れました。
さて下りますか。
飛騨乗越から新穂高まで、夏道コースタイムで6時間。遠いですね。
雲海の中に突入します。
最終水場で水を補給して、新穂高へと下山しました。
まとめ&感想
今シーズンは11月に入っても全く雪の気配のなく、雪山第一号をどこにするか決めかねていましたが、寒波の知らせを聞いて、雪景色を期待して初冬の槍ヶ岳へ行ってきました。
入山者は複数パーティーいたようですが、槍平のテントは僕達を含めて2つだけで、静かな夜を過ごしました。
この時期の槍平はトイレも使えて、小川から水も組めて、整地不要の薄ら積雪で、、、営業終了しているのに有り難く使わせて頂きありがとうございます。
雪はまだまだ少なくて、新穂高から槍ヶ岳山荘までオール夏道。
とは言え、気温は低いのか、まだ身体が慣れていないのか、終始寒い2日間となりました。
これから始める雪山シーズン。安全第一で楽しんで行きたいと思います。