北アルプスの中でも一足早く雪化粧となった剱岳。
12月からの入山には富山県警の許可が必要となり、馬場島へと通じる林道も閉鎖され、長く閉ざされた冬がやってくる。 .
.....2021年11月、剱岳に登って来ました。
行程
ルート
2021年11月5日(金)〜11月7日(日)
1日目:馬場島〜早月小屋
2日目:早月小屋〜剱岳〜早月小屋
3日目:早月小屋〜馬場島
アクセス
馬場荘前の駐車場に駐車。
※12月1日より伊折より先の馬場島へと至る林道が閉鎖されます。
天気
1日目:「雨」〜「晴れ」〜「霧」
2日目:「晴れ」〜「一時霧」〜「晴れ」
3日目:「晴れ」
登山道の積雪状況・危険個所
■馬場島〜早月小屋
- 馬場島〜早月小屋:1800m辺りから雪が出始めるが、基本的にアイゼンなしで通行が可能。
- 早月小屋〜剱岳:標高を上げるにつれて雪が増えていき、夏道と尾根道が混ざり合っている。先行者がいない場合は、自身でルートファインディングをする必要がある。山頂直下のルンゼの登下降は慎重に行いたい。下降時は特にメンバーの力量や状況によってはロープの使用が望ましいかもしれない。
※剱岳の積雪状況が刻一刻と変化するので、最新の気象情報に注意して下さい。
山行記録
動画Verはこちら
2日目:早月小屋〜剱岳〜早月小屋
早月小屋にてアイゼンを装着し、樹林帯を少し登ると程なくして森林限界を越える。
しばらくは夏道を辿っていく。
一部、中途半端に雪が付いている所があるが、落ち着いて行動すれば問題ない。
標高を上げるにつれて、積雪も増えていき、夏道と尾根道が混ざり始める。
先行者のお陰でトレースは付いているが、気を抜く事は出来ない。
本峰が見えているが、依然として近づかない。
カニのハサミはまだ鎖が出ており、夏道沿いに通行可能だが、積雪のせいで鎖の位置が低い場所に来ることとなり、少し歩き難い。ここも落ち着いて通行すれば、問題はない。
最後に気を付けるべきは山頂直下のルンゼの登下降だ。
雪の付き具合が中途半端で、慎重に登っていく。
ルンゼの最終ポイントには懸垂用の捨て縄がある。
別山尾根との分岐を過ぎれば、山頂は目の前だ。
剱岳-山頂-2999m。
互いの健闘を讃えあい、お湯を飲んだら即座に下山を開始する。登頂の喜びに浸るのはまだまだ先だ。
残りの体力と集中力から、ルンゼの下降は懸垂で降りることにする。
ちょうど30mロープ3ピッチで降りることが出来た。
30mロープの半分の15mのベスト場所に支点があり、構築して下さった先人の方々に感謝したい。
早月小屋までは長い下りが続く。
悪天候時に迷い込みそうな尾根を観察しながら降る。
下山中、何度か剱岳を振り返る。
下山の道のりも遠い。
2泊3日の行程の為、テントに帰還後も夕日を見ながらゆっくりと過ごす。
3日目:早月小屋〜馬場島
テントを撤収し、早月小屋を後にする。
馬場島までも長い道のりだ。
降りもひたすら無心で降り続ける。
下に行くほど紅葉が綺麗だが、身体が辛いので、あまり癒しにはならない。
とにかく前に進み続ける。
松尾平を過ぎてひと頑張りすると、突然登山口に到着する。
「試練と憧れ」
石碑の前で無事の帰還を報告し、記念撮影をして帰路に着いた。
感想
12月から剱岳一帯への入山には富山県警の許可が必要となり、また馬場島へと通じる林道も伊折以降は閉鎖されてしまう。
11月は一般登山者が登れる最後の時期だ。
今年の夏は休みの日程が合わず山に行く機会がなく、隙間時間にトレーニングの為に走り込みを行なっていたが、それが原因で"膝"を潰してしまい、悩ましい時期が続いていた。
雪山シーズンが迫る中、焦る気持ちを抑え、ひたすらストレッチを筋トレに励み11月を迎えた。
結局この山行日までにプレ山行を実施する事は出来なかったが、11月の剱岳は昨年からの目標であったので、この度、思い切って決行することにした。
馬場島までのアプローチで一悶着あり、馬場島に着いても予想外の雨に見舞われるなど、出だしからハプニングが続出したが、大きな問題もなく無事に今回の山行を終える事が出来た。
全体的に振り返ると反省点は何点かあるが、ルンゼの下降時に行った懸垂下降では、システムの構築から下降・掛け替えなど一連の動作をスムーズに行うことができ、日頃の練習の成果を実感することが出来た。
来る冬山本番も安全登山を第一に楽しんでいきたい。