「大喰岳西尾根」は中崎尾根と並ぶ「冬期・槍ヶ岳」への有名な尾根筋ルート。
この時期は誰も歩いておらず、トレースは勿論なく自分達でルートを選定しながら進んで行きました。
誰もいない槍の肩で眺めた「夕日・星空・朝日」の美しさは忘れられません。
この記事では2日目の記録「槍平〜宝の木〜大喰岳西尾根〜大喰岳〜槍の肩」までを紹介する。
行程
ルート
2021年4月10日(土)〜4月12日(月)
1日目:新穂高〜右俣林道〜白出沢〜滝谷〜槍平
2日目:槍平〜宝の木〜大喰岳西尾根〜大喰岳〜槍の肩
3日目:槍の肩〜槍ヶ岳〜飛騨沢〜槍平〜滝谷〜新穂高
アクセス
深山荘方面の登山者用無料駐車場に駐車。
天気
1日目:快晴
2日目:快晴
3日目:快晴
登山道の積雪状況・危険個所(2日目)
■槍平〜宝の木〜大喰岳西尾根〜大喰岳〜槍の肩
- 槍平〜宝の木:東側斜面「大喰沢」「中の沢」、西側斜面「中崎尾根」側からの雪崩に注意が必要。
- 宝の木〜大喰岳西尾根〜大喰岳:取り付き後暫くは40度超えの急登が続くので注意。その後は、ワンミスが命取りとなる程の危険箇所は無いが、雪質によってはスリップの危険性のある場所がある。また雪の量が少ない場合はハイマツ帯を通過することになる場所もある為、留意しておかなければならない。
- 大喰岳〜槍の肩:雪の状態によっては、クライムダウンが必要な箇所が2〜3回出現する。
※入山日時点の状態で、この時期は1日で大きく状態が変わるので要注意。
山行記録
動画Verはこちら
2日目:槍平〜宝の木〜大喰岳西尾根〜大喰岳〜槍の肩
起床し、昨日湯たんぽとしてナルゲンボトルに入れておいた水をシュラフから出し、クッカーに注ぎ沸かし直す。
沸いたお湯をフリーズドライに注ぎ、15分を待っている間にシュラフなどを片付ける。フリーズドライを食べ終わるとその袋に「チキンラーメン」を入れてお湯を注いで3分待つ。そう、今回はクッカーを汚さないスタイルだ。
大喰岳西尾根の取り付きである「宝の木」までは東側斜面の「大喰沢」「中の沢」、西側斜面の「中崎尾根」側からの雪崩に注意しながら進んでいく。
取り付き直後は40度程の急登を登っていく。
この時期は誰も歩いていないようで、ノートレースの中、ルートを選定しながら進んで行く。
左手に飛騨沢を眺めながら、快調に高度を上げていく。
テクニカルな要素は無いが、雪面は残雪期によくある状態で硬くクラストしており、油断は出来ない。
右手には穂高の山並みが広がる。
雪が減り、ハイマツや岩が露出している所も多い。
飛騨乗越が視界に入ってくると、大喰岳の山頂も近くなってくる。
ノートレースの気持ち良い雪稜を超えて、ひと登りすると大喰岳の山頂に到着する。
北は槍ヶ岳、南は穂高の山並みが見渡せる。
大喰岳から見る「槍の肩と槍ヶ岳」
カッコいい。
大喰岳の直下は硬くクラストしており、数回クライムダウンをするなどの予想外に緊張する場面となった。
槍の肩の展望台から黒部源流方面を眺めながら、昼食を取る。最高だ。
当初は幕営予定だったが、日曜という事もあり冬期小屋には誰もおらず、初めて冬期小屋のお世話になることにした。
中は勿論無風だがひんやりとしており、太陽が出ている間は外にいる方が暖かい。
取り敢えず、水作りを終わらせておく。
日が沈む1時間前に、ココアと熱いお湯の入ったサーモスを持って展望台に登る。
無風だが気温はマイナス8度ほどで、ダウンなど全て着込んでいてもじっとしていると流石に少し寒い。
自分達以外誰もいない3,000mのこうして夕日を眺めていると、自然の美しさとその奥にある恐ろしさの両方を肌で感じ、「安全圏から遥か遠い所にいる」事を実感する。
誰も来ない様なので、避難小屋の中にテントを張る。
初めての避難小屋だが、無風で、整地をしなくとも床は平で、荷物をテントの外に乱雑に並べても風に飛ばされる事もなく、、、。
これは快適だ。
いつも通りに着込んで寝ると暑さで目が覚めたくらいであった。
明日の朝は朝日を眺める予定なので、夕食を食べ次第すぐに就寝した。