登山者の憧れの、北アルプスの剱岳や、槍ヶ岳、穂高岳、ジャンダルム、これらを登るには岩稜帯の通過や登下降がある為、岩登りの技術は不可欠です。
こういった岩場を最初からスイスイ登れる登山者もいますが、「自信が無い」「苦手だ」という人もいると思います。今回はそんな人に向けたトレーニング方法を紹介していきます。
目次
【解説】登山における岩場・岩稜帯の練習方法
岩稜帯で求めらるスキルとは
私が思う岩場を安全かつスムーズに攻略するのに必要なものは、
大きく分けて
1.スキル(身体の使い方)
2.体力
この2つだと思います。
スキルがあっても体力が無ければヘロヘロになって危ないですし、体力があっても身体の使い方が分かっていなければ、身動きが取れなくなってしまいます。
スキル(身体の使い方)の上達方法
1.クライミング・ボルダリング
「結局はクライミングか」と言われてしまいそうですが、やっぱりクライミングを習うのが岩場の上達への一番の近道です。
一番グレードの低いゲレンデでトップロープ形式でいいので何度か練習を重ねておくと、次に岩場行った時に見違えるように成長しているはずです。
(※クライミングを初めて始める際は、必ずプロの指導を受けるようにしましょう。)
私の妻もクライミングを始めてから、岩場が目に見えて上達して行きました。
一緒に練習する相手がいる人は是非初めてみましょう。
一人で練習相手がいない場合は、ボルダリングでもOKです。
求められる技術や得られる感覚が外岩とは少し違いますが、やるかやらないかでは全然違います。
ボルダリングの難しい所は、ジムの雰囲気ですね。一人で入会して、黙々と練習に打ち込めればいいのですが、あの空気感が苦手だという人は一定数います。
2.岩場・鎖場のある低山で練習する
クライミングはビレイヤーがいないと出来ないので、ソロ登山者など練習パートナーがいない人は難しいですが、岩場や鎖場のある低山であれば、一人でも練習が可能です。
ここで難しくなってくるのが、
ちょうど良い山やルートを見つけるのが難しい
という点です。
- 岩場や鎖場はあるけど、簡単過ぎて練習にならない
- 岩場が豊富で練習になるけど、バリエーションルートで手が出せなかったり
(※下降には懸垂下降が必要だったり) - 自宅から遠すぎたり
と言った感じで、練習よりも練習場所を探す事が一番難しかったりします。
3.ジャングルジムや河原の堤防で練習する
一見、ふざけた回答に見えますが、これが結構効果があると思うんです。
ジャングルジムって、数センチしかない足場を垂直に登り下りしたり、トラバースしたり、岩稜帯の練習にはもってこいの環境じゃないですか。
最近は、公園からジャングルジムが撤去されてきていたり、
大人が真剣にジャングルジムを登り下りしてたら、怪しまれたりする危険性はあったり
難しいかもしれませんが、、、。
あとは河原の堤防なんかも練習にはもってこいですね。
河原の堤防の坂が土手ではなく、コンクリートの凸凹になっているタイプの坂を岩場と想定します。
場所によってはそこそこ急で、ホールドや足場が狭い所もあり、指先や足先に力やバランスを集中させる感覚なんかが結構養われるので、案外練習として使えます。
4.映像から学ぶ
これも実は結構大事だと思います。
「Youtubeの影響を見るだけの独学」という意味ではなく、ガイドやプロ登山家が岩場を登っている映像を見ることで、ちょっとした動作が勉強になったりします。
何よりモチベーションのアップに繋がりますね。
今の時代Youtubeやその他SNSに大量に映像が流れているので、好きな物を見て楽しみましょう。
何度も見ていると、実際に岩場に行った際に、自然と正しいムーブをとることができます。
体力をつける
一般的な登山で遭遇する岩場において、もっとも重要なのが体力といっても過言ではありません。
特に、ジャンダルムや剱岳の攻略ポイントとして、最低限の技術を習得していることを大前提として、体力問題が最も大きいと言えます。
ここで言う体力とは、
1.筋持久力
2.心肺機能(スタミナ)
です。
アプローチで既に体力を使い果たす
クライミングゲレンデは技術だけでOKですが、登山の場合は、岩場に到着するまでに長いアプローチを攻略しなければいけません。
剱岳・奥穂高岳・槍ヶ岳なんかは、難所までに1,500m~2,000mもの標高差を登らなければいけません。北アルプスの岩場で有名な山は大抵は長いアプローチがセットです。
また、ジャンダルムで有名な西穂高岳~奥穂高岳の縦走登山は体力勝負のルートです。
【解説】登山者憧れのジャンダルムと西奥縦走「難易度と注意点について」
適切なスピード=安全に通過
岩場を安全に通過する為には、適切なスピードすることが求められます。
急ぐ必要はありませんが、時間がかかるとそれだけ危険な場所に身を晒し続けていることになるからです。そして、後続が来ると焦りが生まれ、更に危険な状態になります。
夏の北アルプスでの滑落事故の多くは50歳以上の登山者に多く、体力や筋力の問題は否定できないでしょう。
登山は様々なスタイルがありますが、今後、どのような方向に進むにしても、ステップアップに必ずつき纏うのが体力問題です。早め早めに取り組んでおきましょう。
私が実践しているトレーニング方法については、こちらの記事をご覧ください。
まとめ
岩稜帯をスムーズ且つ安全に通過するには、「スキル(身体の使い方)」と、「体力」の2つが求められます。
トレーニングを始めても、一朝一夕で見に付くものではありませんが、意識を持って日々取り組めば3ヶ月くらいで成果が出てくるので、目標に向けて動き出してみましょう。