2023年5月3日〜5日のゴールデンウイークに、今シーズンの大一番として、北アルプス北部の「剱岳」に、早月尾根から登ってきました。
この記事では2日目の記録をご紹介します。
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【山行記録】残雪期(GW)剱岳早月尾根/2023年5月3日〜5日(2~3日目)
ルート
2021年11月5日(金)〜11月7日(日)
- 1日目:馬場島〜早月小屋
- 2日目:早月小屋〜剱岳〜早月小屋
- 3日目:早月小屋〜馬場島
アクセス
馬場荘前の駐車場に駐車。
午前4時過ぎに到着した時点で駐車場は8割埋まっており、下山日の5/5には完全な満車となっていました。
馬場島荘の前の駐車場以外にも下部(徒歩数分)の所に駐車スペースがあるので、路上駐車などは止めましょう。
参考サイト
伊折から馬場島へと至る県道は冬季期間中(例年12/1~4月中旬)は閉鎖されています。
閉鎖時期と開閉時期の情報は以下のサイトで公開されています。
天気
1日目:快晴!(暑すぎる)
2日目:快晴!(暑すぎる)
3日目:快晴!(暑すぎる)
3日共に天気に恵まれて、全日共に晴となり、気温が上昇し初夏の陽気となっていました。
それに伴い、各地で融雪が進み落石の音が頻繁に聞こえていたので、注意が必要です。
登山道の積雪状況・危険個所
注意
富山県登山届出条例により、剱岳を含む一帯の地域に12月1日から翌年5月15日までの間に入山する場合、予定日の20日以上前に登山届を提出し、入山の許可を取得しなければいけません。
早月小屋~剱岳
早月小屋(標高2200m)から剱岳(2999m)まで標高差は790mあります。
小屋から上部は一部を除き全て雪上歩行となり、急峻な雪壁の登攀やクライムダウン、トラバース、MIX帯の通過などが随所に現れます。
的確なアイゼン・ピッケルワークが求められます。
山頂直下のルンゼ
積雪期の山頂直下は、夏道ではなく手前のルンゼを詰める事になりますが、特に下降に関してはロープによる安全確保が望ましいでしょう。
※これからの季節はルートの状況が刻一刻と変化するので、最新の情報に注意して下さい。
【山行記録】2日目:早月小屋~剱岳~早月小屋
早月小屋~剱岳
朝準備の為に外に出ると、雲一つない青空が広がっていました。
予報では昨日と同様に高温予報。今日も暑くなりそうです。
小屋から先は暫くは急斜面が続きます。
心拍を上げ過ぎないように一定のペースで登っていきます。
写真よりも急だったように思います。
周りの山々に太陽が当たり始めました。
もう1時間早く出発するべきでした。反省です。
少しずつ標高を上げて行きます。
展望が開けました。
太陽が出始めて、気温が急激に上がっていきます。
この岩場は雪が溶けており、夏道通りに進みました。アイゼンをガリゴリ言わせながら登っていきます。
またまた急登。
束の間の穏やかな道。
また直ぐに急登!
パッとみは穏やかな道ですが、こういう場所は悪天候時には視界不良になり、命取りになります。
しかも斜面はテカテカ。滑ったら止まりません。
あっつー!!シャツ一枚でも暑いくらい。
頂上が近づいてきました。
険しさが増してくるので気を引き締めて進みます。
雪が落ち着いているのでトラバースしますが、
頭上には雪庇が、、、。迅速に通過します。
危険個所は安全の為に、ロープで確保。
遠くには室堂が見えています。
雪の大谷も肉眼でくっきりと見えていました。
太陽が容赦なく照り付けてきます。
もうすぐ山頂直下。
目の前の坂を登れば、山頂直下へと突入です。
ちょっと急なクライムダウンをして、、、
カニのハサミへ!
その後はまたまた急登!
いよいよ山頂直下のルンゼへ。
ルンゼ内は凍結していますが、アイゼルとピッケルをしっかりと効かせれば問題はありません。(※この日のコンディションの話です)
但し、雪解けが進んでいることで、浮石の発生や落石が起こりやすくなっているので、注意が必要です。
前後に登山者がいる場合は、前後の間隔に留意しましょう。
今回はロープ無しで登りましたが、雪の状態やメンバーの力量などによってはロープによる確保を行いましょう。
ルンゼを登り切った後は、
少し岩場を登れば、
別山尾根との分岐に到着します。
ここまでくれば剱岳山頂は目の前です。
あと少し、あと少し、、、
山頂が見えました。
剱岳 山頂 (標高2999m)
しばし休憩。
山頂からの景色
山頂からの景色(アップ1)
中央やや右に見えているのが笠ヶ岳。この角度から眺める笠ヶ岳はカッコいいです。
山頂かの景色(アップ2)
中央に見えているトンガリが皆さんご存知の槍ヶ岳。その右にあるのが前穂高岳です。
登ってきた早月尾根を見下ろす。
ここまで登ってこれて良かったです。
剱岳~早月小屋
下りも長いので、滞在時間は10分程で下山を開始。
喜ぶのは半分にして、残りは下山後に味わうことにします。
悪天候時にはこの分岐を見落とす事があるので、要注意です。
ルンゼの下降は懸垂下降で安全に。
ひとまず一呼吸。
下りは登りよりも慎重に進みます。
落ちたら、、、お分かりですよね。
カニのはさみを山頂側から見た写真ですが、岩を直登するか右側の夏道を辿るかは、その時の雪の状態と登山者の技量によります。
この辺りは視界不良時には迷いやすいポイントです。
晴天時であれば、小屋の方向に向かって下りていくのは明白ですが、視界不良の場合は、手前の尾根を右方向に進んで行ってしまいやすくなります。
危険個所は残置ロープを使わせて頂いて懸垂で下降。
(※残置ロープの強度については自身で確認の上使用しましょう。)
懸垂下降
懸垂下降
雪壁トラバースの箇所に戻ってきました
集中力を切らさずに...
一部、雪が溶けて夏道が露出しているので、アイゼンを引っ掛けないように注意します。
疲れたら遠くの山を見て栄養補給。
この雪壁を下ればテント場に到着です。
テント場は今日も快晴無風で、日暮れまでテントの外でのんびりと過ごしました。
眩い夕日。最高の天気に恵まれました。
月夜に照らされた山々が移しかったです。
【山行記録】3日目:早月小屋~馬場島
早月小屋~馬場島
3日目、最終日。
テントを撤収し、下山を開始します。
下りも長いので、気合を入れて出発します。
丸山から剱岳を見上げる。
昨日はあそこにいたのか
我ながらよく頑張った。
まさに猫!
気温が上がるまでに出来るだけ標高を下げます。
下界は通い...
名残惜しく剱岳を振り返る
大分標高が下がってきました
融雪が進み、地味に危ない箇所がチラホラ増えてきました。
下部は若葉が芽生えており、これから始まる夏の訪れを感じさせされます。
なだらかな斜面に出れば松尾平はもうすぐです。
松尾平!
馬場島まではあと少しです。
頑張っていきましょう。あと少しです。
急坂を下れば、、、
登山口が見えました!
無事の下山、お疲れ様でした。
名残惜しく富山市内の展望台に寄り道して、剱岳を眺めて帰路へと付きました。
まとめ&感想
▼感想(プロローグ)
岩と雪の殿堂「剱岳」
季節を問わず登山者の憧れの存在である剱岳は、私にとっても例外ではありませんでした。
積雪期の剱岳には10月と11月に登った経験がありましたが、本格的な雪を纏った剱岳の経験はありませんでした。
その最たる理由が、「富山県登山届出条例」にあります。
剱岳を含む一帯の地域に12月1日から翌年5月15日までの間に入山する場合、予定日の20日以上前に登山届を提出し、入山の許可を取得しなければいけません。
「厳冬期の剱岳は条例の有無以前の問題として、雪の減る残雪期なら挑戦する事が出来るのではないか」
そんな想いが芽生えたのが丁度1年前。
ひとまずのプレ山行として、残雪期の南岳西尾根に挑戦するも、見事敗退。
敗退とはいえ、自分自身の力量を計る良い機会となり、少しずつ具体的なイメージを膨らませる事が出来、1年掛けて準備をする事が出来ました。
▼感想(当日:1日目)
過去の経験から、早月尾根の急登具合に付いてはある程度は分かっていましたが、
今回は暑い!めちゃくちゃ暑い!尋常じゃありません。
全国的にも7月並みの気温の所が多く、それは山の上も例外ではありませんでした。
持参した2ℓの水は小屋に着くまでに飲み干してしまい、冬靴は汗でボトボト。
残雪期とは言え、これはちょっとこれはおかしくないかと、疑問に思う程。
遠くからは雪崩か落石と思われる轟音が時折聞こえていました。これだけ気温が上がれば当然のことです。
脱水気味の中、干からびる寸前で小屋に到着すると、既に2~3パーティーがいるようで、テントが4張程あったので、富山平野が見渡せる側にテントを設営。
日が沈むギリギリまで気温が高く、テントの外でのんびりと夕日を眺めながら過ごしました。
▼感想(当日:2日目)
朝5時にテント場を出発。
日の出前は雪も固く閉まっており、快適に登っていきますが、太陽が昇ると直ぐに暑くなり、
もう1時間早く出発しておくべきだったと後悔するも時すでに遅し、強烈な日差しが容赦なく襲い掛かってきて、早々にシャツ1枚に。
急登、アップダウンダウン、トラバースと、幾つかの難所を経て蟹のハサミへ。
蟹のハサミはトレースに助けられて夏道を辿り、いよいよ山頂直下のルンゼへ。
石を落とさないように注意しながら、ダブルアックスで登りました。
今回の山行で一番楽しい区間。
別山尾根との分岐を越えれば、剱岳の山頂は直ぐそこ。
これだけの好天ということで、山頂は多くの登山者で賑わっており、周りからは源次郎や八ツ峰の言葉が飛び交っていました。
猛者の方にとっては下山路の一つの早月尾根も、今の私達にとっては今年一番の大勝負。
嬉しい気持ちは皆んなと一緒。
猛者の方々の中に混じって僕達も2人握手を交わし、互いの検討を讃えあいました。
さて、無事に山頂に立った後は下山。
山頂からは2度の懸垂を交え、少々時間がかかり過ぎながらも、無事に小屋まで降り切りました。
▼感想(当日:3日目)
本山行もいよいよ最終日。
小屋前から丸山まで登り返し、改めて剱岳を振り返ると、今日も変わらず眩しい程の快晴。
剱岳に一礼して早月尾根を下っていきます。
下りはサクサクかと言えばそうでもなく、融雪が進んだことで、踏み抜きや小雪壁の崩壊など、入山日とはコンディションが変わっており、地味に足に来る下山路となりました。
試練と憧れの石碑で、無事の下山のお礼をしたら、残すは祝勝会のみ
市内に車を走らせて、ノドグロで乾杯。
運転があるのでアルコールはお預けです。
そんな中、緊急地震速報が鳴り、長い間揺れた。
その後も、何度か余震があり、市内は勿論、山の中に影響がない事を祈っていました。
これにて今シーズンの雪山登山は終了。
さぁ、次は夏山だ!