私が愛用している「エックスライズ」は山岳テントの老舗メーカーである「アライテント」から出されれている名実ともに有名な「シングルウォールテント」で、、夏の低山から厳冬期の北アルプスまでオールシーズン使用しており、2018年の10月に購入してから通算40泊ほどテント泊をしてきました。
これまでの経験から、実際に使用した上での感想などをご紹介していこうと思います。
尚、現在の最新モデルである「Eライズ」とは使用している生地の素材などが変更になっていたりと、マイナーチェンジはされていますが見たところエックスライズから大幅な変更なないので、「Eライズ」の為の参考にもなると思われます。
【レビュー】アライテント・エックスライズ
テントの紹介
エックスライズは、山岳テントの老舗メーカーである「アライテント」から出されれている名実ともに有名な「シングルウォールテント」。
※シングルウォールテント:雨を凌ぐフライシートを使用せず、防水透湿素材の1枚生地で作られている為、軽量コンパクトなテント。
2022年現在「エックスライズ」は廃盤となり、2021年に後継機モデルにあたる「Eライズ」が発売されました。
サイズ展開は1人用から3人用まで3種類ラインナップされています。
- 1人用(最大2人)「間口100×奥行205×高さ100cm、1250g(本体+フレーム)」
- 2人用(最大3人)「間口130×奥行210×高さ105cm、1400g(本体+フレーム)」
- 3人用(最大4人)「間口185×奥行220×高さ115cm、1850g(本体+フレーム)」
良いところ
過酷な環境でも信頼して使用できる
山岳老舗メーカーである「アライテント」から出されているだけあり、作りはしっかりとしており、過酷な環境下でも安心して使用することができます。
これまで稜線上にて何度もテントを設営したことがありますが、張綱をしっかりと固定すれば、ある程度の暴風が吹き荒れていても問題なく過ごすことができます。
入口も勿論"縦向き式"で、風への耐性も高く、狭い所にも設営しやすく場所を選びません。
ちょっと便利なポイント
▼入口が「跳ね上げ」にも対応
入り口が通常の開閉に加えて、下からの跳ね上げにも対応している為、天候が悪い時に、テントの外の様子を伺う際に便利とされています。
実際に雪山登山では、テントの中での水作りが必要となりますが、その際に雪が降っているとテントを上からしか開閉が出来ないと、テント内に雪が入り込みやすくなりますが、下からの跳ね上げが出来ると、雪の入り込みを最小限に抑えられるので、少し便利な機能と言えます。
画像の引用サイト
株式会社アライテント■商品ラインナップ > テント > Eライズ・シリーズより参照
▼スタッフバッグが入れやすい
テントを入れる純正のスタッフバッグがゆとりのあるサイズ設計にされており、収納がとてもし易いです。
テントの撤収時には、テントが保水していたり雪で凍っていたり、風雨が激しかったり、、、自宅でのパッキングとは異なりなかなか大変な場合もあるので、スタッフバックがゆとりのあるサイズ感だととても入れ易いので助かります。
残念なところ
ベンチレーターが潰れる
写真では少し分かりずらいですが、エックスライズのベンチレーターには、"芯"が入っておらず、ペチャりと本体に垂れ下がってしまいます。
空気自体は入ってくるので、テント内でお湯を沸かしたり、食事をとる時以外は特に問題はないのですが、ベンチレーターが垂れ下がっているので、大きな空気の流入はなく、内側の蒸気も逃げずらいです。
テント内でお湯を沸かす場合な度は、必ず本体の入り口も少し開けるようにしなければ、蒸気が充満してしまいます。
▼ポイント
この点に関しては、現在の最新型である「Eライズ」ではベンチレーターは潰れ難い使用に改良されています。
画像の引用サイト
純正の張綱は使いにくい
購入時に初めからついてくる純正の張綱は微妙に短く、正直なところ使い難いです。
夏山ではペグではなく石で固定することも多く、その場合ペグ使用時に比べて張綱は少し長さが必要となります。
雪山では竹ペグなどを雪の中に埋めて固定する為、この場合も張綱は少し長さが必要となります。
その為、私は純正の張綱から、少し長めのファイントラックのツェルト用の張綱に交換しています。
耐久性にやや不安あり
エックスライズは、夏の低山から厳冬期の北アルプスまで、オールシーズン使用しており、2018年の10月に購入してから通算40泊ほどテント泊をしてきました。
購入して約1年が経った2019年の初冬の槍ヶ岳での山行で、テントの設営中にスリーブにポールを通した際に、スリーブに穴が空いてしまいました。(暴雨が吹き荒れる厳しい状況だった事もあり、焦りによる不注意による点もあるとは思います。)
それ以外にもテント本体に使用する上で問題のない程度の傷が数箇所あります。
但し、ダブルウォールと違い、防水透湿素材というデリケートな素材1枚で過酷な環境を生き抜いているので、生地の劣化や損傷に関しては、ある程度は仕方のないことで、これらはシングルウォールテント全体に言えることかもしれません。
アタッチメントが少ない
シングルウォールテントの最大の懸念点は、前室がなく雨の日にとても困るということです。
冬の雪であれば降っていても問題ありませんが、雨となるとちょっとした換気の為の入り口の隙間から雨が吹き込んでくることがあるので、こういった時は前室があれば...と思います。
モンベルであれば、上記の写真のような前室のみのアタッチメントも発売されているので、「雨の日だけ前室があるバージョンにする」ということも可能になります。
画像の引用サイト
モンベル | オンラインショップ | マイティドーム2 オプショナルキャノピー
Q & A
結露はしやすいか
結論から言うと、「対策をすれば問題ない」と言えます。
テント内でお湯を沸かしたり、食事を摂ったりする際は、目で見えるくらい沢山の蒸気が発生するので、必ず入り口は少し開けておき蒸気がテントの外に逃げていくようにします。また、就寝前などにトイレに出た際などに一度入口を大きく開けてテントの内の空気を入れ替えておくと、結露を大分に軽減させることが出来ます。
但し、雨が降った際は話は別で、雨が染みてくることはないですが、雨の日はテント内で結露が発生しやすいです。
しかし、雨の日に関してはダブルウォールテントであってもある程度の結露は発生するので、雨に関してはどんなテントであっても結露は避けられないと思った方が良いでしょう。
本当に軽いのか
重量に関して、以下の通りとなります。
- 【アライテント】ダブルウォール:エアライズ:1550g(本体+ポール)
- 【アライテント】シングルウォール:エックスライズ:1,400g(本体+ポール+フライシート)
- 【モンベル】ダブルウォール:ステラリッジテント:1,230g(本体+ポール+フライシート)
- 【モンベル】シングルウォール:マイティードーム:1,240g(本体+ポール)
見ていただくとお分かりかと思いますが、軽量コンパクトと謳われているシングルウォールテントですが、実際には重量面での差は殆どありません。
コンパクトさと設営の速さが、シングルウォールテントの最大のメリットとなります。
サイズはどれを選ぶべきか
サイズに関しては、やはりセオリー通り、
1人なら、1人用(最大2人)
2人なら、2人用(最大3人)
3人なら、3人用(最大4人)
で十分だと思います。
初めてのテントの場合、「1人なら2人用(最大3人)」「2人なら3人用(最大4人)」の方が広くて過ごしやすいと言われていまうが、その分重量も増え、設営に求められる面積も増えるので、個人的なオススメはしません。
私は妻と2人で登山に出掛けていますが、一番荷物の多くなる厳冬期の雪山登山でも「2人用(最大3人)」で問題なく過ごせています。
アイゼン、ピッケル、ワカン、ショベルなどはテントの外に置いていますが、それ以外のロープや簡単なガチャ類、ヘルメットや靴など、装備品は全てテントの中に入れていますが、整理整頓すれば問題ありません。
総評
いかがでしたでしょうか。
今回は私が愛用しているアライテントの「エックスライズ」のレビューをさせていただきました。
テントとしての作りもしっかりとしており、流石は老舗のテントメーカーから出されているだけはあり、過酷な環境下でも安心して使用することが出来ています。
これからも、力強い相棒として、登山に連れて行きたいと思います。