「厳冬期 槍ヶ岳」それは、雪山登山を始めた頃から抱いてきた大きな夢だった。
この記事では1日目の記録「新穂高~右俣林道~滝谷〜槍平」までを紹介する。
行程
ルート
2021年2月27日〜3月01日
1日目:新穂高~右俣林道~滝谷〜槍平
2日目:槍平〜飛騨沢2450m〜中崎尾根〜千丈乗越(西釜尾根)〜槍ヶ岳〜飛騨沢〜槍平
3日目:槍平〜滝谷〜右俣林道〜新穂高
アクセス
新穂高登山センター前の広場の駐車場に駐車
天気
1日目:朝は雪、昼前から晴れ
2日目:快晴
3日目:快晴
登山道の積雪状況・危険個所(1日目)
◼新穂高〜右俣林道〜白出出合
新穂高から雪があり、林道は全て雪で覆われている。
◼白出出合~葡萄谷〜滝谷〜槍平
基本的に夏道沿いに進むが、トレースは数日前のであろう古いものが薄らと残っている程度。
- 葡萄谷:デブリなし
- チビ谷:軽いデブリのみで、本格的な雪崩は未発生。
- 滝谷:デブリなし
山行記録
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1日目:新穂高~右俣林道~滝谷〜槍平
朝7時前に新穂高を出発する。
予報通り朝は小雪が待っており、衣服を濡らさない為にハードシェルを羽織るが、気温は然程低くなく重荷も合間って汗をかいてしまう。
白出沢までは3時間ほどで到着し、ここでビーコンのスイッチを入れる。
葡萄谷、チビ谷には、軽度の雪崩の形跡は見られるが、本格的な雪崩は未だ発生していないようである。
葡萄谷は1人ずつ通過し、範囲の広い葡萄谷は距離を空けて上部に注意を払いながら、可能な限り速度を上げて通過した。
滝谷も他の沢筋と同様にデブリは見当たらない。
距離はあるが見通しが聞くので、十分に注意しながら迅速に通過する。
滝谷から先も雪崩への警戒を怠ることは出来ない。
ここから先は東側・西側の両方の斜面からの雪崩に注意しなければならない。
この時期は沢が雪で覆われているので、基本的に沢の上を歩き、各斜面の状況に応じて西寄り東寄りなど臨機応変に対応しながら進んでいく。
滝谷から槍平間が個人的に辛いところ、南沢のあたりから斜度も増して疲れも相まってペースダウンとなる。
14時頃、槍平に到着する。
途中から来られたスキーヤーの方が避難小屋におられるだけで、他に登山者の姿はなかった。
天気予報では3日間共に風も穏やかな予報だったが、折角なので深く掘り下げて、整地も入念に行い快適なテント場を作成した。
いつもはボコボコの雪面で寝ていたので、久々に平な所で寝ることが出来た。
テントの設営後、翌日の予定である「中崎尾根」の状況を見に行く。
トレースは無いようで、取り付きから少し上まで偵察を兼ねて登ってみるが、クラスとした雪面の下にはグスグスの雪というあまり良くないコンディションであった。
テントに戻り、夕食を食べる。
夕食後は恒例の水作りに取り掛かる。翌朝の朝食用と行動用を合わせて、2人で5リットル程作る。
夕食を食べたクッカーで水を作る為、当然の事だが完成した水は汚い。
ラーメンの油の香りが広がる濁ったお湯をサーモスやナルゲンボトルに注いでいく。
全ての作業を終えて、7時頃に就寝。
トイレの為に外に出ると、月明かりが中崎尾根を綺麗に照らしており、翌日の快晴を物語っていた。