2024年5月18日、関西最難関の異名を持つ大峰山脈の双門コースに行ってきました。
【山行記録】大峰 双門コース/2024年5月18
ルート&タイム
2024年5月18日(土)
・05時40分:熊渡
・06時10分:金引尾根・弥山川分岐
・06時40分:釜滝
・08時30分:吊橋
・10時00分:仙人グラ前のテラス
・12時00分:河原小屋跡
・13時50分:狼平避難小屋
・14時30分:高崎横手
・14時50分:ナベの耳
・15時30分:カナビキ尾根分岐
・17時00分:金引尾根・弥山川分岐
・17時20分:熊渡
行動時間(休憩時間含む):11時間40分
アクセス
「川迫川の橋」の山川の広めの路側帯に駐車。厳密には路肩駐車になるかは不明ですが、橋側のスペースは「緊急車両の為に通者不可」との看板があるので、満車の時を含めて駐車は厳禁です。休日は、早朝でも満車になるので、早めの装着が必須です。
トイレはないので、手前の「天川村役場」の駐車場にある屋外公衆トイレを利用しましょう。
天気
2024年5月18日(土):快晴
双門コースについて
本ルートは一般登山道の位置付けではありますが、山と高原地図では破線ルートとなっており、死亡事故を含む遭難案件が多発している危険なルートとなっています。
通行に際しては本ルートの特徴や難易度を十分に理解し、自身の実力を客観的に照らし合わせて、入山の是非を検討しましょう。
以下に、このルートを歩く上で感じた事と必要な事をまとめました。
ルートファインディング
【ピンクテープは信用しきるな】
破線ルートとは言え「一般登山道」の扱いの為、ピンクテープや踏み跡は随所にありますが、このピンクテープが厄介で「正しいもの」と「正しくないもの」が存在します。
・明らかに間違っているもの。
・時代と共に地形の変化で使えなくなったルート。
など色々と混在理由はいくつか考えられますが、ピンクテープを過信することなく、自身の目で見て判断する事が求められます。
【ここは一般登山道です。】
この双門コースは破線ルートでありながらも一般登山道です。その為、バリエーションルートの様な道なき道進むような「非登山道」を歩くようなシチュエーションはありません。
・ここ登るの?と疑問に思うような斜面
・明らかに雰囲気が変わった
といった際はルートを間違えている可能性が大きいので、来た場所まで戻って改めて周りを確認しましょう。必ず正解はあります。
【GPSは機能しない】
今回はGPS専用端末、スマホのGPS、腕時計内臓のGPSの3機種を登山中に使用しましたが、いずれもログにズレが生じており正確な位置情報の特定には至りませんでした。
そもそもが、この様な谷筋・沢筋ルートで求められる「渡渉ポイント」「左岸か右岸か」「直登か巻き道か」といった現場での状況判断の正解をGPSから導き出す事は不可能です。
自身の目で見て判断しなければいけません。
体力
熊渡~双門コースを経て狼平避難小屋、その後、金引尾根から熊渡へと戻る最短コースでさえ、標準11時間40分のロングコースです。
途中でのエスケープルートはありますが、実質的には存在しないと考える方が妥当であり、危険と感じる箇所まで進んでからの後退は進む以上に危険を伴う為、狼平避難小屋まで歩ききる必要があります。
初めてこのルートに挑む場合は、
・狼平避難小屋での宿泊装備を持つ等の余裕を持った計画を立てる。
・巌の双門や、八経ヶ岳の往復は次の機会にする。
といった様に、初回のトライ時には無理をしないほうが良いでしょう。
尚、個人的には日照時間の長い5月中旬~梅雨入り前の間がお勧めです。
山行記録
熊渡~登山口(金引尾根・弥山川分岐)~釜滝
3時半に熊渡に到着した時は車1台でしたが、4時半には満車状態になりました。
関西の一般登山道最難関コースの位置付けですが、人気のルートのようです。
5時40分に出発します。
橋の上には飛び込み禁止の看板がありますが、そんな奴がいるんですね。
確かに川は最高に綺麗ですが、、、。
林道を30分程歩きます。コースタイムでは50分程となっていますが、そんなには掛からない印象です。
新緑の気持ちのより林道を歩いていきます。
登山口である「金引尾根・弥山川分岐」に到着。
双門コースは左の坂道を下ります。
帰りは、前の林道から帰ってくる予定です。
少し下れば直ぐに河川に降り立ちます。
暫くは涸れた河川を歩いていきます。
水量が多くなければ特に右岸、左岸を考えずに進んで行って問題ありません。
登山口から30分程で釜滝に到着です。
崖に赤い目印があるので左方向へ進んでいきます。
目印のある崖の先に釜滝があります。
ここの水量でこの先へ進むかどうかの判断基準となります。
初見でこの先の水量を判断するのは難しいと思います。因みに、この日は直前の数日間は晴天が続いていたので、この状態は水量が少ない時と思ってよいと思います。
釜滝~仙人グラ前のテラス
ここから本格的に双門コースの始まりです。
古い橋があるのは有難いですが、めちゃくちゃ滑ります。
手すりもボロくていつ崩壊するか分からない状態で、物によっては手すりが傾いて逆に持つと危険な物もあるので、注意が必要です。
ダム(?)の横を通過します。
慣れるまではちょっと緊張します。
遭難された方のご遺族の寄付金で整備がされているとのこと。
入山者は事故を起こさないように、改めて肝に銘じなけらいけません。
荒れたガレ場を通過したり、、、
ちょっとダイナミックな登りもあったりと、
色々ありますが、やっぱりこの古い橋の通過が一番怖いですね
偶に降る場面もあります。
この
この橋は下を潜って左のトラロープを超えていきます。
定期的な看板や、紛らわしい踏み跡には枯れ枝で道が塞いであったりと、分かりにくいようで、随所に案内があるので見落とさないようにしましょう。
しばらく樹林帯の中を進んでいくと、
一旦、沢筋へと降り立ちます。
水は最高に綺麗です。
対岸のピンクテープと看板を目印に、右岸へと渡ります。
渡った後は、暫く樹林帯の中を歩きます。
その後は、ゴロゴロとした岩を超えていきます。
水量が非常に少ないので、簡単ですが水が多い時はこの辺りも水があるようなので、直前の天気予報には注意しましょう。
水は綺麗ですが、落ちらた面倒ですね〜。
手前の梯子は崩壊しているので、左側から回り込みます。
手掛かり、足掛かりはあるので問題ありません。
橋を渡って階段を登って、少し登ると、
こんな場所に出ます。
左方向に進んでしまいそうになりますが、正解は右です。
直ぐに下に降る梯子が見えてきます。
少し降ると吊り橋が見えてきました。
ここからの瀧の眺めは最高です。
こんな山奥にこんな立派な吊り橋、どうやって作ったんでしょうか。
橋を渡って右に進むと、梯子が現れます。
ザレた斜面を登ると、「弥山」方向の看板が出てきます。
このあたりは少し迷いやすいので注意が必要です。
その後、少し登ると有名な岩潜りがあります。
この辺りから、梯子が連続する区間となります。
究極の尾根を乗越した所を振り返って。ここは難しくはありませんが、滑ったら一発で,,,,,。
普通の道があるかと思ったら、そんなことはありません
当分の間、梯子ゾーンが続きます。
簡単な岩場もあります。
この辺りで展望が開けます。
少し降ると、
「仙人グラ前のテラス」に到着。
双門の滝は「日本の滝100選」の中でも最も到達難易度の高い滝とされています。
あの滝を懸垂下降して、クライミングで登り返すというクライマーいるとか、、、。登山の世界は奥深いです。
仙人グラ前のテラス~河原小屋跡
時間もあまりないので、先に進みます。
連続する梯子を登ると、
巌の双門との分岐の周辺に到着です。
今回は時間の関係でパスするので、また次回訪れないと思います。
岩と木の根のアスレチックを登って、
しばし、快適な樹林帯を進みます。
もう見飽きた梯子の連続ですね。
で、どうしてこういう所に限って、橋がないんでしょうか。
綺麗な川を見下ろしながら、梯子を降っていくと、河原に降り立ちます。
ここを少し進めば、河原小屋跡に到着です。
河原小屋跡~狼平避難小屋
河原小屋跡周辺の河原に到着。ここから狼平避難小屋の直前までは、これといった道はありません。
昔は立派な山小屋があったようですが、2011年の台風の影響で崩壊してしまったよう。
時折、樹林帯の巻道を通りますが、
基本的には沢沿いに進んで行くことになります。
どこ進むんだ?となっても必ず道はあります。
人工物に助けられながら進みます。
有名なハングした梯子に到着。
面白いです。
梯子を超えればもうルートは明瞭です。
足元は悪いので油断は禁物。
もう少しのはずが、結構距離があります。
小屋の直前も渡渉や岩を乗り越える場面が結構あります。
水流が穏やかになってくると狼平はすぐそこです。
一般道との分岐は急に現れます。
双門コースを無事に抜けられて一安心。
夏の狼平。多くの人で賑わっていました。
狼平避難小屋~金引尾根~熊渡
休憩後は高崎横手まで登り返します。
高崎横手
頂仙岳をトラバースして、ナベの耳へ。
暫く心地のより樹林帯を歩いて、
カナビキ尾根分岐に到着。
ここを降っていきますが、「カナビキ尾根」は最初の取り付きが地形図で見ている以上に分かりにくいです。
分かっているつもりでも最初はルートを外しやすいので、明るいうちに通過できるように計画した方が良いでしょう。
完全に尾根に乗ってしまうと暫くはルートは明瞭です。
終盤は若干ルートが分かりずらいので、日暮までに突破しましょう。
林業の作業区間を降ると、林道に到着です。
登山口へ帰還。今回もお疲れ様でした。
まとめ&感想
関西の一般登山道最難関としての位置付けの大峰山脈の「双門コース」。
鎖や梯子の連続し、沢筋の渡渉、不明瞭なルートを自身の目で見て判断しながら進んでいく、実に変化に飛んだ楽しいルートであります。
しかし、冒頭でも述べた通り、死亡事故も多発する危険なルートでもあります。
また、沢筋では携帯電話も圏外である事がほとんどで、GPSのログも正しく作用しない場面が多いです。
入山に際しては、自身の力量を冷静にみて判断する事が必要ですが、
一定以上の登山経験があれば、自身の力を発揮して、山を肌で感じながら登山を最大限楽しむ事ができると思います。