テントを担いで山の中を歩くというのは、日帰り登山では得られない感動や素晴らしいさがあります。
しかし、中には一風変わった登山者や、中には迷惑な登山者に遭遇する事もあります。
今回は、実際にテント泊登山で目撃したヤバい人のパターンをご紹介していきます。
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張り綱ゆるゆるのテント
これは結構目にする事が多いのですが、張り綱(ガイライン)がゆるっゆるのテントを目撃する事があります。
そもそも張り綱(ガイライン)はしっかりと張る事の必要として、
- 耐風性を確保する為
- テントに張りを持たせて内部空間を確保し、内側の結露を防止する為
等など色々とメリットがありますが、細い紐ですが結構重要な役割を果たしてくれています。
快晴無風なんかであれば大きな差はないかもしれませんが、風の強い日なんかは張り綱がしっかり張られているテントとそうでないものとでは、テントのしなり具合が全然違います。
風に煽られたテントが中を舞っている動画なんかは有名ですよね。
早朝に山頂を往復して帰って来たら、「テントが無い」「テントが倒壊している」なんて事にならない為にも、張り綱(ガイライン)は多少面倒でも適切なテンションで掛けましょう。
※満員のテント場や張り綱禁止を促してるテント場を除きます。
張り綱踏んづけて行く奴
張綱を踏まれると、テントには凄い衝撃が走るんですよね。
満員御礼のテント場では凄い数のテントがひしめき合っているので、足元にはガイラインがトラップのように張り巡らされていますが、
注意してれば、そうそう足を引っ掛けるという事は起こりません。
踏んでしまっても一言謝ればそれて良いのですが、
- 素知らぬ顔をして通り過ぎて行く輩
- 行きに踏んで、帰りも踏む輩
などなどイラッとする場面もありますので、人気のテント場なんかは覚悟が必要です。
夜中にテントの外から話しかけて来る奴
以前実際にあったケースをご紹介します。
残雪期の西穂高岳に冬季バリエーションルートである西尾根から登っていた時の事です。
稜線手前のコルで幕営していた僕は午前1時半に起床し、頭はまだ半分寝ている状態でシュラフの中でゴソゴソしていると、テントの傍を通り過ぎていく足音がしました。
“日帰り組か、早いな”と思っていると、暫くしてまた足音がして、
登山者:「おはようございま~す」とテントの外から登山者の声。
“他にも登山者がいるのか?今日は日帰り組多いな”と思っていると、再度、
登山者:「おはようございま~す」と一声。
"えっ、もしかしてこれ僕達に呼んでる?"と、ベンチレーターから顔を出すと、ヘッドライトの明りをこちらに向けながら、
登山者:「ルートってこっちであってるんですかね?」と質問。
僕:「そっちであってると思いますよ。」と回答して顔を引っ込めましたが、
いやいやいや、やってる事おかしいでしょ。
テントの外に居たなら全然問題ありませんが、テントの中ってプライベート空間です。
しかも、まだ話声すらしていない真っ暗なテントにライト向けながら、「おはようございま~す」は無いですよ。(せめてライト下向けろ)
冬季バリエーションルートにワンデイで挑戦する登山者がやる行動ではないでしょ。
緊急時なら就寝中であろうが助けを求めるのもあるかと思いますが、漆黒の暗闇でルートが分からないのであれば、ワンデイせずに明るい時間に行動して下さい。
排泄物放置の奴
これいるんですよ!
写真は自主規制でイラスト画像に置き換えていますが、偶にモリモリの物を見かけますね。
以前遭遇した最悪の事例をご紹介します。
残雪期の剱岳へ登頂後、稜線を下山中に幕営した痕跡があり、足元もしっかりと整地されていたので、「よし、ここで休憩させて貰おう」とザックを下ろそうとした時、ふと足元に目が行きました。
するとそこには、トイレ用と思しき穴があり、もりもりの排泄物が青空に向かって顔を見せていたのです。いやぁ、半分真面目に吐きそうになりました。
(トイレを造ったの幕営者だと思いますが、用を足したのはルートを通過した他の登山者の可能性もあるので犯人が誰かは分かりませんが、、、。)
山のレベルは関係ない事ではありますが、それなりのレベルの山に登って居ながら、最低限のマナーも守れないというのは非常に残念なことだと思います。
「大は携帯トイレを持参して...」というのが推奨されていますが、実際にはペーパーは持ち帰っても、物は置いて帰る人が殆どだと思います。
しかし、せめて他の人の目に触れないように後処理をしなければいけません。
≪配慮が大事≫
- 夏であれば、落葉などで覆い隠す。
- 冬であれば、雪を掘ってから用を足し、最後は雪を被せる。
山をやってると下界と同じ感覚では通用しない場面もありますが、最低限の羞恥心は忘れたくはありませんね。
ホームセンターのテント
そんな奴いないだろ!?って思うかもしれませんが居ます。
勿論、そんなふざけた輩は非常に少ないですが、目撃した事がありますし、山小屋の啓発記事でも目にした事があります。
山岳テントは平均5万円~と非常に高価ですし、簡単に購入出来るものではありませんが、ホームセンターのペラペラヘニョヘニョの安物とは物が違います。
稜線上は勿論ですが、整備された山荘のテント場ですら強風が吹き荒れる事もありますし、強い雨が降る事もあります。
テントは命を守るシェルターですので、、、
って、山岳テントの必要性を力説する必要もないレベルの話ですよね。
まぁ、この手の登山者はテントに限らず装備品全体に問題ありな事が往々にしてあるので、要注意です。
時計は俺達を中心に回っている(3連発)
一体、何時に到着予定ですか?
下山時に、登山口付近や、テント場から大分離れた地点で、下から登ってくる登山者とすれ違う事はありませんか?
テントが入ってそうな大きなザックを担いで登って行かれる後ろ姿を見ながら、
「えっ、今から登るんですか?テント場着いたら19時くらいじゃ?」と心の中で呟いている事があります。
遅い時間の到着は万が一事故を起こした時の救助活動の遅れ等は勿論として、小屋関係者や既にテントを張っている登山者にも多大な迷惑となります。
また、日没が迫れば自ずと焦って急ぎ足になり汗もかいていると思いますが、山の中では日が沈むと気温も急激に低下しますので、汗冷えの危険もあります。特に秋や冬なんかは要注意です。
夜中の宴会最高!
夏場によくあるのが遅い時間に到着して、そこから酒盛りをする人達。
日が沈む18時頃にテント場に到着し、20時過ぎまでテントの内外で酒盛りをして騒ぐ人たちがいますが、山の中での20時は就寝時刻をとっくに過ぎています。
そして、この類の人達は大抵グループなので、とてつもなくうるさいのです。
山の中は静かなので話し声はよく響きますし、テントの場合、離れた場所の音でもすぐ近くの音のように大きな音で聞こえるのです。
(※テントのすぐ外で話し声や足音がして、他の登山者がすぐ近くでテントを張っていると思って外を見ると、意外と離れた場所だった。という経験があるのではないでしょうか?)
「同じ時刻に寝ろ!」とは言いません。
静かに飲んで下さい。
早朝出発にも限度がある
異常な程早い時刻から、ガサガサと出発準備をしている登山者がいます。
▼小屋泊の場合
・相部屋でヘッドライトで照らしながら、出発準備をする
・通路の荷物棚でガサガサ・ガタガタと大きな音を立てて、出発準備をする
→就寝前に、直ぐに出発出来るようにパッキングは済ませておいたり、小屋のエントランスなど就寝場所から距離を取って準備をするようにしましょう。
▼テント泊の場合
・真っ暗な時刻から撤収作業を開始し、「バサ!!バサ!!バサ!!」と大きな音を立てながら結露したフライシートの夜露を取る
→テントに付着した水分は、マイクロファイバータオルなどで拭き取れば、バサバサしなくとも大分取り除く事が出来ます。
・ヘッドライトを最大光量のままで光をあちこちにバラ撒く
→他の登山者(テント)がいる場合、光量を抑えたりヘッドライトの向きを地面に向けるなどの配慮が必要です。
山は早出早着が原則で、夏山では日の出の2時間前に出発するという事も珍しくありません。
しかし「まだ寝ている他の登山者に迷惑をかけないこと」には十分に注意しなければいけません。
キャンプファイヤー最高?(ふざけんな!)
山の中で、焚き火をしている輩をよく見かけます。
沢筋での焚き火は賛否両論あるので、一旦置いておけば、原則的に山中での焚き火は絶対NGです。
キャンプの延長として捉えているのか、焚き火をする理由は不明ですが、1,000m級の低山で比較的よく見かけます。
- 風の通り道となる峠で焚火をしていたり...
- キャンプファイヤー規模の大きな焚火をしていたり...
- 焚き火の跡をそのまま放置していたり...
まさにやりたい放題です。
この手の人達には「環境」や「マナー」というのは伝わらないとしても、山火事に繋がる大変危険な行為ということだけは分かって欲しい所です。
装備が不十分な登山者
装備が足りていないというか、忘れ物が多い登山者を見かける事があります。
ショベル持ってない奴
冬山でテントを設営するには、ショベルを使って地面を平らにならす「整地」という作業が必要になりますが、ショベルを持参せずに他人に貸して貰っている登山者
ライター持ってない奴
気温が低い冬山では、バーナーに既存の点火装置はほぼ作用しないので、フリント式のライターなどを持参するのが常識ですが、持参せずに他人に貸して貰っている登山者
必要だという事を知らないのか、それとも単純に忘れたのか、理由は不明ですがどちらも雪山で宿泊するのであれば絶対に忘れてはいけない必須の装備です。
この様な登山者は、ロープウェイやゴンドラなどで冬季においてもアクセスが比較的容易な山域で多く見かけます。
雪山は過酷な環境なので助け合いで良いのですが、最初から「知らなかった」という知識不足は、全体的な認識不足を表しており、看過できることではありません。
まとめ
テント泊登山は山の中で寝食の全てを行うので、非常に楽しい登山スタイルの一つです。
しかし、大自然の中で非日常を味わうからこそ、マナー違反な輩や、御一行様に遭遇してしまうと、楽しいはずのテント泊が最悪な時間へと変貌していまいます。
「止めて下さい。」と言って気付いてくれる人であれば良いのですが、中には逆ギレしてくる輩も、、、、そうなったらもうお手上げです。
こういう人達に遭遇しない事をお祈りしています。