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登山での遭難事故「SNSの普及で増加?」運用には注意が必要

ネット SNS ジムニー JB64

SNSは現代において、自己表現のツールとして欠かせない存在となっており、それは登山においても同じ事が言えます。

個人が趣味や承認欲求の手段として使用することは勿論のこと、山小屋や登山ガイドなどが、最新情報を配信したり、安全の為の注意喚起をしたり、それと同時に営業拡大の為のビジネスツールとしても使用しています。

今回は、登山でのSNSの問題点や利用に関しても注意点などについてお話したいと思います。

 

登山での遭難事故「SNSの普及で増加?」運用には注意が必要

登山系のSNSの良い点(メリット)

  • ルートの最新情報が分かる
  • 見れない景色が見れる
  • 新しい出会いがある

 

ルートの最新情報が分かる

登山系SNSの最大のメリットは、これでしょう。

  • 登山道の荒れ具合や整備状況
  • 残雪の状況
  • 山小屋の営業状況
  • 駐車場の混雑状況

など、流動的な山の最新の情報を得る事が出来ます。

最新情報以外にもルートの概略・注意点・コースタイムなどが写真と解説文から把握できるので、ルート全体の把握に大きく役立ちます。

また、配信者によっては非常に細かく情報を記載してくれている人もおり、登山雑誌やルート案内の専門書籍よりも情報量が多い場合すらあります。

 

また、山小屋なども登山道や山小屋、気象状況に関する最新情報を公式SNSを通じて、発表していますので、現代において登山系のSNSは切っても切れないものとなっています。

 

見れない景色が見れる

登山系のSNSは、非常に多くの登山者が活動しています。

  • 非常に高レベルな登攀
  • 憧れの縦走路の記録
  • 芸術的な山の写真

などなど、自分が見れない景色をSNSを通じて目にする事が出来るのも、良い所だと思います。

 

新しい出会いがある

山の世界では一昔前は山岳会のような組織登山が主流でしたが、現在は個人や知人同士で山に登ることが多くなり、登山者間の新しい出会いの場が、ネット上に移行していっている所もあるでしょう。

  • 特定のユーザーの投稿を楽しみにしたり
  • SNS上で頻繫にやり取りをしたり
  • 実際の山でユーザーと出会ったり

SNS上での繋がりと聞くと、軽薄な印象を持つ人も多いですが、決して悪いものばかりではなく、現代の登山における良い部分の一つだと思います。

 

 

登山系のSNSの注意点(デメリット)

事故増加・登山者レベルの低下

「SNSの普及に伴い、自身のレベルに見合わない山行をして事故を起こす登山者が増加している」

これは度々山小屋などからも言われている事で、残念ながらこれらは事実として存在するでしょう。

 

では、どうしてそうなるのか?

色々な原因があるとは思いますが、

 

一つに、「情報が無料で簡単に手に入る」というのも関係していると思います。

一昔前であれば有料だった情報が、現在は無料で手に入ります。

昔の入手手段
登山地図
専門書籍
解説ビデオ
プロガイド

全て、有料です。お金を払って情報を入手していました。

それでも、得られる情報は限られており、だからこそ、山への畏怖が今よりも大きく、足を踏み入れる登山者の数も限られていたことと思います。

 

現在は、ヤマレコ、ヤマップ、インスタグラム、Youtubeなど、インターネット上には多くの情報が無料で公開されています。

目の前に沢山のパンフレットが並べてあれば見たくなりますし、見れば見るほど欲しくなるのが人間の欲という物で、それは山においても同じかもしれません。

登山人口が増えれば、それだけレベルや意識の低い人の割合も増えてしまいます。

 

 

いいねを追い求めて事故を起こす

SNSでの「いいね」の欲求はいわゆる承認欲求からくるものですが、これは時に三大欲求よりも強烈だと言われています。

 

無謀な登山を繰り返して、最終的に遭難事故で命を落す。

有名な登山SNSで活動していたユーザーが何度も無謀極まりない山行を繰り返し、その記録をサイト上に公開されており、コメント欄には心配の声や注意喚起の声が度々載せられていました。その甲斐もむなしく事故を起こし帰らぬ人となりました。

無謀山行を賞賛するSNSのコメント

明らかな常識外れの山行に大量のいいねが付き、その行動を賞賛・擁護するコメントを見たことがあるのではないでしょうか。投稿者は勿論のこと、読者側の良識を疑うことは多々あります。

フォロワー数が多ければ無謀が許される

インフルエンサーやフォロワー数が非常に多い人は、かたや崇拝の対象かの様な扱いを受けていることがあります。普通のユーザーが行えば袋叩きにされるであろう山行が、フォロワー数の多いユーザーが投稿すると「大量のいいね」。実際にそういったユーザーも遭難死亡事故、怪我、迷惑行為を起こしていますが、特に炎上することもなく、依然として大量のいいねが付いています。一部、疑問を投げかけるコメントなども存在しますが、該当ユーザーや一部のファンから反撃を受けています。

 

 

 

 

SNSも事故報道と同じ

SNSにより民度や雰囲気が大きく異なるように感じます。

・ヤマップ
・ヤマレコ
・インスタグラム
・スレッズ
・Youtube

勝手な印象としては、登山専門サイトは昔気質な登山者が多い判明、お仲間的な雰囲気があり、「えっ」と思うような山行記録に大量の「いいね」があったりします。

新しいSNSほど若者や登山をやらない人も多い印象で、何かの発信に対して、これでもかと噛みつくユーザーが多いSNSも見かけます。

 

 

承認欲求という悪意ある表現

SNSの発信に対して「承認欲求」という表現を使われますが、「承認欲求の何が悪いの?」と思います。

個人が評価されにくい日本社会では、当然の成り行きだと思います。

 

とはいえ、問題はそこじゃないですよね。

承認欲求の為に無謀な登山をするやつが問題。

 

あとは、備忘録という名のもとに公開している記事とか見ていると、ネットの攻撃への予防策ではないかと思うのは考え過ぎなのか、、、。

 

 

SNSの運用で気を付けるべきポイント

読者側の注意点

読む側が自分で判断すべし

これに尽きると思います。

SNSを登山の情報収集のツールとしてしようする場合、インターネット上に公開されている情報が有益か否かの判断は、読む側が自分で判断しなければいけません。

ココがポイント

書籍などの有料の情報には責任が生じますが、無料の情報はあらゆる意味で自由です。法律に抵触するようなことさえなければ、何を載せようが投稿者の自由ですので、ひとつの山行記録でも表現方法は様々です。

歩行スピードが速い記録もあれば、ありえない装備で登っている記録もあります。

例えば、
残雪があったけど、アイゼンなしで登れました
という記事があったとします。

「へ~、アイゼンなしで大丈夫なんだ」と判断しますか?

アイゼンなしで登れたのは、登山者の歩行技術やその時の雪質や気温など、様々な条件により異なるので、投稿者が出来たからといって、自分も出来ると安易に思うのは間違いです。

ここから得られる内容は「残雪がある」という事実のみ。

そこからどうするかは、自分の経験をもとに判断しなければいけません。

 

それ以外にも注意点はいくつかあります。

 

≪公開されている写真が全てではない≫

ヤマレコやヤマップの無料会員には記録掲載にも写真の枚数や容量など一定の制限があり、配信されている内容には、山全体のごく一部であるという事を忘れてはいけません。

アップロードできる写真に枚数制限があれば、誰でも稜線などの見栄えの良い写真を多く選ぶと思います。

「登山口から樹林帯を登って稜線へと抜ける山行」の場合で、稜線以降の写真が多いと、どうしても樹林帯は直ぐに終わると錯覚してしまいますが、実際には樹林帯の占める割合の方が多い場合なんかもあります。

 

≪危険個所の写真も信用できない≫

本当の危険個所はそもそもカメラを出す余裕が無くて、写真が撮影されていない場合が多いです。

また、写真は人の体感までは映し出さないので、非常に危険で難易度の高い箇所も至って平面的に映る場合が多く、危険性が伝わらない場合があります。

 

≪所用時間は一番信用できません。≫

登山者にはとんでもない体力お化けの人が一定数存在するので、そういう人のコースタイムは全くあてになりません。

単純な山であれば、山と高原地図などの標準コースタイムで計算できますが、バリエーションルートなどの公式の数値がない場合は特に注意が必要です。

 

 

 

投稿者の注意点

先ほども「SNSの情報は読者側が判断する責任がある」と述べましたが、登山者・配信者として投稿への責任は持つべきでもあるでしょう。

自分の投稿が予想以上の人に見られているという自覚を持ち、世間に与える影響力を今一度意識する事が大切ではないかと思います。

 

 

まとめ

色々と登山におけるSNSの注意点や問題点についてお話させていただきましたが、

私はSNSという存在は現代の登山において、とても良い存在だと思っています。

 

何事にも
良い部分
悪い部分
の両方が存在します。

 

登山を取り巻く環境は、時代の流れと共に変わって行きます。

 

そして、登山は自己責任の世界です。

「自分で考えて判断し行動する」ことが求められます。

 

古い考えだけに囚われることなく、柔軟に対応して山登りを楽しんでいきたいです。

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