いきなり本格的な登山をする訳ではないけれど、「ちょっと山登りをしていみたい」「山の景色を見てみたい」という人もいるのではないでしょうか。
この記事では、本格的な登山始める訳ではないけれど、ちょっと山に山登りをしてみたい。という人に向けて、登る山の選び方や、服装などについてご紹介したいと思います。
目次
【完全初心者向け】初めての登山の始め方「注意点や山・服装の選び方」
はじめに:登山という趣味について
「登山・山登り」は大自然に身を置いて活動をするアクティビティで、山の中では日常生活では見ることの出来ない景色が広がり、自然の素晴らしさを肌で感じることが出来ます。
しかし、それと同時に危険と隣り合わせであり、一歩間違えれば命の危険に晒されることになる為、適切な登山装備を身に付け、緊急時の対応方法を心得ておく必要があります。
本来であれば、装備や知識が揃っていないのであれば、山に入るべきではありません。
しかし「初めての登山」や「ちょっと山の景色を見たい」という程度で、本格的な登山装備を全て揃えるということは現時点ではないでしょう。
注意点をしっかりと抑えて、登る山のしっかりと選べば、それほどお金を掛けずに山登りを体験することは出来ます。
登る山の選び方
初めての山登りで、険しい山を選んではいけない事は勿論ですが、行程が長いとがそれだけリスクが多く、様々なリスクが潜んでいる為、出来る限り簡単で行程が短い山を選ぶようにしましょう。
・標高差は300m~400m
標高差とは、山の高さ(標高)ではなく、登山口から山頂のまでの実際に登る高さのことです。
例えば、標高900mの山を、標高600mの登山口から登る場合、標高差は300mです。
標高差300~400mくらいであれば、普段から運動をしている人であれば問題ないレベルで、普段あまり運動をしない人でも「ワクワク感」でなんとかカバー出来る範囲です。
ロープウェイやドライブウェイがある山を選べば、人工的な手段で標高を稼ぐことができるので、お手軽に絶景を楽しむ事が出来ます。
・所要時間は登り片道2時間まで
登り2時間のコースであれば、下りは1時間半ほどとなるので、途中の休憩を込めても登山開始から終了まで4~5時間程で終える事が出来ます。
9時に登り始めても13~14時には山を下りる事が出来るでしょう。
登山をしたことがない人の体力レベルこのくらいが限界だと思っておきましょう。
・登山道が完全に整備されていて、分岐・急斜面・鎖場などの危険箇所が無い
本格的な登山の経験がなく、登山装備が揃っていない場合、簡単で安全な登山道を選ぶことが絶対条件です。
整備されて安全な登山道の目安としては以下の通りです。
- 遊歩道レベルに整備されている
- 誰が見ても歩くべき道が明白
- 小学生でも歩けるレベル
また、危険個所が無いことは勿論ですが、分岐が殆どないルートを選ぶ事も大切です。分岐の数はそれだけ道迷いの危険が増すという事を念頭に置いておきましょう。
・景色が綺麗であること。
これは絶対ですね。苦労して山に登って、山頂が樹木で覆われていたり、祠やお寺があるだけだとつまらないですよね。
折角なら展望が開けて、爽快感のある山を選ぶようにしましょう。
登山をやったことがない人は、体力不足は勿論ですが、疲れない登り方や休憩の仕方、水分の取り方など、登山経験者からすると基本中の基本も分からないので、
とにかく安全で簡単で疲れない登山コースを選ぶようにし、決してあれこれ欲張らないようにしましょう。
服装の選び方と最低限必要な物
服装について
山登りでは非常に多くの汗をかき、風も強い為、本来は本格的な登山ウェアを着用すべきではありますが、登山ウェアは高価であり、いきなり購入すのも難しいでしょう。他のもので代用する際に、気を付けるべきポイントをご紹介します。
≪上半身≫
・通気性・発汗性に優れた化繊の半袖
・ウィンドブレーカー等の長袖
・お盆以降の標高の高い山の場合は薄手のダウン
≪下半身≫
・伸縮性・通気性・発汗性に優れたパンツ
・速乾性に優れた化繊の下着
≪靴≫
・グリップのしっかりとしたスニーカーやランニングシューズ、トレランシューズ、トレッキングシューズ
・厚手の靴下
服選びで大事なのは、かいた汗が直ぐに乾く服であることです。
大体のスポーツ系のウェアであれば問題ないでしょう。
これらの衣類はイオン(AEON)など1~2万円以内で揃える事が出来ると思います。
ワークマンでも売っていますが、個人的にはあまりお勧めしません。
注意ポイント
綿やジーンズは絶対にNGです。綿は汗を吸うと乾かず、汗冷えを起こしてしまいます。
最低限必要な物
本格的な登山ではなくても、「最低でもこれだけは持っておけ」という装備品をまとめました。
- スマートフォン
通常の連絡手段としては勿論のこと、緊急時の救助要請としても使用します。 - モバイルバッテリー
山の中では電波が弱く、常に電池を探し続ける為、電池の消耗が激しいです。また写真を撮ったりするとあっという間に電池が無くなってしまうので、予備のバッテリーは持っておきましょう。 - 地図
概略図でも良いので何かは持ちましょう。 - 食料(400~500kcal程度)
コンビニのおにぎりやクッキーなで好きな物OK。夏場はチョコレートなどは溶けて凄い事になるので注意しましょう。行動時間×150~200kcalを目安に用意すると良いでしょう。 - 水(1~1.5リットル)
スポーツドリンクなどは逆に喉が渇くので、水や麦茶などサッパリとした飲み物が良いです。コーヒーやコーラなどのカフェインは利尿作用があり、トイレに困ったり脱水症状を誘発する為、極力選ばない方が良いです。 - 懐中電灯(100均の物でOK)
本来100均のライトは言語道断ですが、緊急時の備えとして持っておきましょう。 - エマージェンシーシート(100均の物でOK)
こちらも本来100均はNGですが、あるかないかで緊急時には生死を分ける事になるで常備しましょう。 - 常備薬・鎮痛剤・絆創膏
慣れない運動で頭痛や靴擦れ、膝が痛くなる場合もあります。バファリンやロキソニンなどを持っておきましょう。 - お金(1万円くらい)
途中のコンビニで忘れ物を購入したり、下山後に体調不良でタクシーで帰る場合などを想定して少し多めに持ちましょう。 - リュックサック
上記の物品が入る大きさの物で必ず方で沿おうリュックサックを使用しましょう。ショルダーバッグなどは歩行に影響があるので不可。
※上記の服装と必要な装備一覧は、「現時点では本格的な登山を始めるつもりはない人」を対象とした内容です。本格的な登山を始める場合は、必ず本格的な登山用品を揃えるよにして下さい。
気を付けるべきポイント
- 天気
天気は晴でも曇りでも良いので、降水確率0%の日を選ぶようにしましょう。
上記で紹介した「簡易的な装備」では、山中での雨に対応出来ません。
また、地上の天気と山の天気は違うので、一般的な天気予報が通用しない事もあるので、注意しましょう。 - 季節
標高の低い山であれば4月~10月頃まで、標高の高い山であれば7月~8月がお勧めです。梅雨の時期は雨の日が多いですが、日照時間も長く、気温も真夏ほど高くないので、狙い目でもあります。 - 下山は遅くとも13時まで
本格的な登山であれば行動時間はもう少し長いですが、本格的な登山装備を持たずに山に入っているので、時間には十分な余裕を持ったスケジュールを組みましょう。標準コースタイムの1.5倍で計画を立てましょう。 - 登山届は必ず提出
管理された商業的な敷地内での活動の場合は不要ですが、山という中に入る場合はどんなに低い山でも登山届は必ず提出しましょう。 - 急な計画変更や寄り道は絶対にしない
もう少し先まで。あっちの道にも行って見よう。やっぱりこっちの山にしよう等の計画変更は事故の元になります。また計画外の行動は提出している登山計画書の
お勧めの山
北アルプス
西穂丸山(新穂高ロープウェイ使用)
- 標高差:309m
- コース:新穂高~(ロープウェイ)~西穂高口~西穂山荘~西穂丸山
- 所要時間:合計2時間50分(登り1時間40分/下り1時間10分)
西穂丸山は北アルプス南部にある標高2452mの高山ですが、麓の新穂高(標高1106m)から新穂高ロープウェイに乗れば、西穂高口(標高2142m)まで一気に登る事が出来ます。
新穂高ロープウェイの展望台からも笠ヶ岳・西穂高岳の稜線・遠くには槍ヶ岳の姿も見えるので観光としても十分に楽しむ事が出来ます。
ロープウェイから約1時間20分で西穂山荘に到着です。西穂山荘から20分で西穂丸山に付きます。
西穂丸山からは西穂独標の雄姿を眼前に拝むことが出来、季節によっては高山植物も楽しむことが出来ます。
帰りは、西穂山荘で有名な西穂ラーメンを食べて、来た道を戻れば、日帰りで北アルプスの山々に触れる事が出来ます。
上高地(大正池から上高地まで徒歩)
国内外から多くの観光客が訪れる言わずと知れた景勝地です。
直通バスや最寄りの駅からのバス、またはアカンダナ駐車場か沢渡駐車場からのバスに乗り換えてのアクセスが主流ですが、上高地バスターミナルまで行ってしまうと、「The観光地」という雰囲気になるので、途中の大正池で下りて上高地バスターミナルまで歩くルートをお勧めします。
大正池を間近で眺めて、その後梓川沿いの遊歩道を歩いて上高地まで約1時間で、標高差も僅か6mと道も粗平坦なので、普段運動をやっていない人でも問題ありません。ここを歩く人は決して多くはないので、静かな散策を楽しめます。
上高地に到着したら、河童橋・明神池・徳澤園など名立たる名所を見て回るのも良いでしょう。
小遠見山から五竜岳や鹿島槍ヶ岳を望む
北アルプス北部の五竜岳への主なルートの遠見尾根の末端の小遠見からは、鹿島槍ヶ岳・五竜岳・八方尾根など周辺の山々を見渡す事が出来る景勝地です。
標高は2007mと高地ですが、白馬五竜スキー場のゴンドラとリフトが夏シーズンも営業しているので、実際に歩く標高差は登り361m(1時間半)、下り472m(1時間10分)となるので、日帰りで素晴らしい景色を楽しむ事が出来ます。
近畿地方
蓬莱山(びわこバレイのゴンドラ利用)
標高差:71m
所要時間:1時間5分(登り35分/下り30分)
麓からゴンドラに乗って約800m登り、蓬莱山の山頂まで残り71m登ります。
観光客も多く、ゴンドラ下り場から蓬莱山の山頂までは管理された敷地内の為、私服に近い格好でも問題ありません。
お手軽登山ですが、景色は最高です。
まとめ
今回ご紹介した内容は、「本格的な登山を始める訳ではないけれど、自然に触れて、山の景色を楽しみたい。」という程度の山登りを対象とした内容になっています。
注意点としては、
「自分の知識、装備、経験が全くない」という事をしっかりと認識し、レベル相応の山登りに留めるということです。
登山の魅力を知って「もっと色々な山に登って違う景色を見たい」と思うようになれば、その時はしっかりとした登山の知識を身に付けて、適切な装備を購入して、万全の体制で山に入りましょう。